記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年4月1日(火曜日)15時54分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

岩屋大臣のNATO外相会合等出席

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から2点御報告がございます。
 まず、4月2日から5日までの日程で、NATO外相会合などに出席するために、ベルギーのブリュッセルを訪問する予定です。
 我が国のNATO外相会合への出席は、これで4年連続となります。NATO加盟国及びインド太平洋パートナーが出席するセッションに参加し、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるという認識の下に、地域を越えた同志国間の協力について、議論を深めてきたいと思っております。
 また、この機会を捉えまして、G7外相との間でも議論を行う予定であります。ウクライナを始め、国際情勢が日々変化する中で、G7の結束が重要な局面であり、各国のカウンターパートとの連携を改めて確認してきたいと思います。
 その他にも、個別の会談を行いたいと思っておりまして、EUのカッラス上級代表とは、第2回目の日・EU外相戦略対話を実施する予定です。ここでは、安全保障分野の協力の強化などについて議論する予定です。また、ベルギーのプレヴォ外相と、初めてとなる会談を行いまして、明年の日・ベルギー友好160周年を見据えまして、二国間関係の強化などに関する意見交換を行いたいと考えております。
 さらに、米国のルビオ国務長官及び韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官との間で、日米韓外相会合を実施する予定です。日米韓が緊密に連携して、地域の平和と繁栄につながる具体的な協力を進めていくことを確認してきたいと思います。

ミャンマーへの国際緊急援助隊・医療チームの派遣

【岩屋外務大臣】次に、ミャンマーについてでございます。
 3月28日にミャンマー中部を震源として発生した地震によりまして、ミャンマー及びタイ国内で、大きな被害が出ていることに大変心を痛めております。被害に遭われた方々に対して、改めて心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 現時点で、ミャンマーのマンダレーで、日本人2名が負傷したことを確認しており、在ミャンマー大使館ができる限りの支援を今行っております。また、マンダレー在住の日本人1名と連絡が取れておりませんで、ミャンマー当局に対して、捜索・救助を要請しているところです。さらに、現地に派遣している大使館員に加えまして、海外緊急展開チームを東京から派遣する予定です。引き続き、邦人保護に万全を期してまいりたいと思います。
 ミャンマーに対する人道支援としては、JICAの調査チーム派遣などを通じまして、目下、具体的なニーズを確認しておりますが、これが確認されたことを踏まえまして、今般、国際緊急援助隊・医療チームを現地に派遣することを決定いたしました。このチームは、外務省及びJICAに登録された医師、看護師を含む32名で構成されておりまして、今晩24時過ぎに日本を出発する予定です。
 物資の支援としては、日・ASEAN統合基金を通じまして、まず、防水シート240枚とテント450張の引き渡しが完了しております。さらに、JICAや国連を通じて、被災者への衛生用品、水・浄水器などを速やかに配布すべく準備を進めております。
 引き続いて、ミャンマーの人々に直接裨益するできる限りの人道支援を実施していく考えでございます。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

日・NATO連携

【共同通信 鮎川記者】冒頭発表いただいた、NATO外相会合への御出席で伺います。日本にとって、NATOとの連携を強化していくことの意義や狙いといった点を、もう少し御紹介いただけますでしょうか。また、トランプ米政権が、NATOへの関与を減らしていくのではないかというような懸念が、NATO諸国の間で出てきている中で、日本として、外相会合に出席した際に、どういった立場を発信していくのかお聞かせください。

【岩屋外務大臣】我が国が、NATOとの連携を重視しておりますのは、冒頭にも申し上げましたように、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だと、密接に、これは連関しているんだと、こういう認識に基づいて、NATOを含む同志国との連携が極めて重要だと、安全保障協力が重要だと考えているからでございます。
 近年、我が国は、このNATOとの間で、日・NATOの協力文書に基づいて、サイバーを始めとする具体的な協力を進めてきております。また、NATOとインド太平洋パートナー「IP4:韓国、日本、ニュージーランド、オーストラリア」の協力も深化してきております。
 先ほども申し上げたように、今回のNATO外相会合の出席は、我が国としては4年連続となりますが、インド太平洋パートナーのセッションにおいて、ロシアのウクライナ侵略を含む力による一方的な現状変更への試みへの対応、それから、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化について、NATO側と認識をすり合わせたいと考えております。
 また、今後の日・NATO、それから先ほど申し上げた、日・NATO・IP4の協力の在り方についても、議論をしっかりしてきたいと思っております。

「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議

【中国新聞 宮野記者】「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議の提言についてお伺いします。政府として、提言をどのように生かしていくか、また、提言が核抑止について、安全保障の最終的な形態であってはならないとした点への評価を伺います。併せて、政府はこれまで、「核兵器禁止条約について、核なき世界の出口として重要な条約としつつ、その出口への道筋は見えていない」としてきました。賢人会議は、核なき世界への道筋を考えたわけですが、今回の提言によって、核兵器禁止条約という出口への道筋は見えてきたか、お尋ねします。

【岩屋外務大臣】昨日まで2日間にわたって開催された、「『核兵器のない世界』に向けた国際賢人会議」ですけれども、私(岩屋大臣)も、第6回の最終会合において、出席して御挨拶を申し上げました。この度、その賢人会議から、2026年NPT運用検討会議に向けた提言が発出されたところでございます。
 今回、全核兵器国や、核兵器禁止条約締約国を含む多様な国々から、個人の資格とはいえ参加者を得て、分断が深刻な国際情勢下において、2年半にわたる真摯な議論の末にこの提言がまとめられております。これは、来年のNPT運用検討会議に向けて、核軍縮の国際的機運を高める上で、大きな意義を有していると思います。
 昨日、石破総理にも、報告をされたところでございます。
 政府といたしましては、核抑止の在り方や、核軍縮に向けた道筋などをめぐって様々な議論がある中で、今回の提言は、各国にとって参考になる、これからの議論のたたき台、土台になると考えています。
 なお、お尋ねの「核抑止が安全保障の最終的な形態ではない」という、この提言の中の指摘については、拡大抑止を含め、国の安全保障を確保しながら、同時に「核兵器のない世界」を目指していくという、我が国の現在の政策と、特に齟齬のあるものではないと受け止めております。
 私(岩屋大臣)個人の解釈ですけれども、これは、つまりは将来において、「核抑止が安全保障の最終的な形態ということになってはならない」と、そこを更に乗り越えて、核兵器なき世界に行かなければならないということをおっしゃっておられると理解しているところでございます。
 政府としては、今回の提言によって、国際社会における議論を喚起いたしまして、次なる運用検討会議の対応を含む、現実的かつ実践的な取組を一層進めていきたいと考えているところでございます。

日米韓外相会合、日米外相会談

【共同通信 鮎川記者】引き続き、大臣の外遊について伺いたいんですが、先ほど発表があった日米韓の外相会談を行う予定であると。これ、トランプ政権発足後、2月にミュンヘンでしたか、初めて開催できて短期間の開催となりますけれども、その意義、重要性、狙いなどを御紹介いただければと思います。関連で、今回の御出張中に、米国のルビオ国務長官とバイ会談の御予定があるのか、調整中なのか、そのあたりの状況を伺いたいのと、もし実現すれば、トランプ政権による輸入自動車への追加関税措置の発動の直後、また、相互関税の詳細が発表された直後の会談になりうると思います。そこで、この関税措置というものに、どういった立場を表明されるお考えか、また特に自動車産業という、日本にとって非常に重要だと思うんですけれども、この措置が発動されることへの受け止め、また、日米関係にどういう影響があるとお考えか、そのあたりをお聞かせください。

【岩屋外務大臣】まず、日米韓の外相会合ですけれども、前回、ミュンヘンで実施して、そんなに時間がたっていないわけでございますけれども、NATO外相会合の機会に、もう一度、日米韓で、しっかりと地域情勢、国際情勢、あるいは、日米韓のこれからの協力について、議論して、認識を一致させておくということは、非常に重要だと思います。
 したがって、できるだけ頻繁に会って意見交換していくという取組の一環として、今般、実施をするものだと御理解をいただければと思います。
 その際に、おっしゃるように、できれば日米の外相会談もセットしたいと、追求していきたいと思いますけれども、非常に短い日程の中で、お互いに都合もあるものですから、今のところ、まだ確定をできておりませんけれども、日米韓の場合は必ずお会いするわけでもありまして、ぜひ直接に意見を交わしたいと私(岩屋大臣)は考えております。その際に、今、米国から発表されている一連の関税政策については、これまでも一貫して申し上げてまいりましたとおり、自動車関税についても、我が国は適用除外されるべきであると、相互関税についてもしかりですが、かかる措置が、我が国の自動車産業界を始め、経済に及ぼす影響についても申し上げて、さらに、この措置の撤回を求めていきたいと考えております。

G7外相会合

【NHK 谷井記者】冒頭の御発言の中で、外遊の際に「G7の外相会合も開かれる見通しだ」と御紹介ありました。カナダ、ミュンヘンに続いて、今回もウクライナの情勢がメインのテーマになるかと推察しますけれども、改めて、岩屋大臣として、日本の立場、どのように主張されるお考えかお聞かせください。

【岩屋外務】冒頭は、「NATOの外相会合に集まるG7の外相の方々とも、しっかり意見交換をしたい」と申し上げたところでありまして、G7外相会合というものについては、現在議長国カナダを中心に調整中でございます。この時点でコンプリートにしっかり固まっているものではありません。
 いずれにしても、この機会を捉えて、G7のカウンターパートの間でも、ぜひ意見交換・議論を行いたいと思っておりますし、先般、カナダでG7外相会合開かれたばかりですが、そこでG7の結束というものを確認いたしましたので、めまぐるしく移り変わる国際情勢の中にあって、今一度、このG7の結束の重要性というものを確認できればと思っているところでございます。

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