記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年3月18日(火曜日)16時51分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1)日中韓外相会議、日中ハイレベル経済対話

【岩屋外務大臣】まず、冒頭、いくつか御報告がございます。
 最初は、日中韓外相会議でございます。
 3月22日土曜日、東京で日中韓外相会議を開催する予定です。私(岩屋大臣)が議長を務めて、中国からは、王毅(おう・き)外交部長、韓国からは、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官が出席されます。
 日中韓3か国は、言うまでもなく重要な隣国同士でございまして、この地域、そして国際社会の平和と繁栄に、大きな影響力と責任を有しております。未来志向の協力を進めていくべく、日中韓3か国の協力や、地域情勢についても、率直な意見交換・議論を行いたいと思っております。
 また、この機会に、中国との間では、外相会談及び6年ぶりとなりますハイレベルの経済対話を行う予定です。「戦略的互恵関係」の包括的な推進と、「建設的で安定的な関係」の構築を進めていくという大きな方向性の下に、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくという方向で、共に取り組んでいくことを確認する考えでございます。
 さらに、韓国とも外相会談を行う予定です。現下の戦略環境に鑑みれば、日韓関係の重要性はいささかも変わりません。こうした共通認識の下に、二国間関係及び地域情勢・国際情勢についての率直な意見交換を通じて、北朝鮮への対応を含めて、幅広い分野で、緊密な連携を引き続き確保していきたいと考えております。

(2)2024年版開発協力白書

【岩屋外務大臣】二番目に、「2024年版の開発協力白書」、これを14日に公表いたしました。昨年70周年を迎えた我が国のODAは、世界各国からの我が国への信頼や、二国間関係の強化を下支えしてきた、重要な外交ツールの一つです。
 今後とも、開発途上国の課題や地球規模課題の解決に資するようなODAの在り方、そして、我が国の平和と安全の確保、更なる繁栄の実現に一層寄与するようなODAの在り方を、不断に追求してまいりたいと思います。

(3)TOFU「アメリカで沖縄の未来を考える」プログラム

【岩屋外務大臣】三番目には、米国で沖縄の未来を考えるプログラムについてでございます。
 外務省では、2017年度以降、「アメリカで沖縄の未来を考える」と題しまして、沖縄の高校生や大学生などを米国に派遣する、通称TOFUプログラムを実施しております。
 今年度のTOFUプログラムは、明日3月19日から開始いたします。一行のワシントンD.C.、ニューヨーク訪問に先立ちまして、明日の夕刻、私(岩屋大臣)は、参加される学生の皆さんを激励したいと思っております。
 沖縄の若者たちは、「沖縄の国際化」の鍵を握る存在でございます。約30名の参加学生の皆さんが、米国で多くの学びを得ることに期待しているところです。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

日中韓外相会議

【共同新聞 鮎川記者】冒頭発表いただいた、日中韓の外相会談と、それぞれのバイについて関連でお尋ねいたします。まず、日中韓の3か国の方で、実務的な協力や地域情勢について話をしたいというご発言でしたが、もう少し具体的に、見通しているものをご紹介いただければと思います。
 併せて、この3か国の外相で、並んで共同発表等をなされる予定があるのかどうか、あるいは成果文書を出す予定があるのかどうか、このあたりもお伺いしたいです。
 また関連の日程で、日中と日韓のそれぞれの外相会談と、日中ハイレベル経済対話、これらは、いずれも22日の開催ということで良いのか、日程感を少し、午前、午後と、もし現在差し支えない範囲であれば、ご紹介いただければと思います。長くてすみません。

【岩屋外務大臣】日中韓外相会議というのは、先ほども申し上げたように、地域や国際社会に影響と責任を有している3か国で、未来志向の交流と協力を推進していこうと、国際社会を分断から協調に導く上でも、我が国に一番近い、中国、韓国との間で、そういう未来志向の関係を築くということが重要だと考えております。
 これは、1年4か月ぶりの会談になりますが、王毅外交部長とも趙兌烈外交部長官とも、率直な対話をしたいと考えております。
 日程については、21日金曜日に、私(岩屋大臣)が主催する、日中韓外相夕食会、ワーキング・ディナーを行いまして、22日土曜日に、日中韓の外相会議、それから、日韓外相会談、日中外相会談、さらに、日中のハイレベル経済対話を順次行っていく予定でございます。ちょっとタイトなスケジュールになりますが、しっかりこなしていきたいと思っております。
 そして、共同文書の発出は特に予定しておりませんが、日中韓外相会議の後に、共同記者発表を行う予定でございます。
 バイ会談の狙いは、先刻申し上げたとおりでございまして、日中関係も重要な二国間関係ですし、日韓関係も申し上げたとおりでございまして、幅広い分野について、率直な意見交換をし、未来志向の関係を築いていきたいと思っております。

日中ハイレベル経済対話

【朝日新聞 里見記者】関連でお尋ねなんですけど、どちらかと言うと日中に寄った質問にはなるんですが、ハイレベルの経済対応は、これ先ほどもおっしゃったとおり約6年ぶりということで、今回のこの開催の意義というか位置付けを一つ改めて伺いたいのが一つと、前回は自由貿易の重要性とかについて、日中で意見交換しておりますが、この国際情勢の中で、今回の主要議題みたいなものを、どのようにお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。

【岩屋外務大臣】日中ハイレベルの経済対話は、昨年11月の日中首脳会談で調整を進めていくことを確認しましたし、その後、私(岩屋大臣)が昨年の12月に訪中をした折に、王毅部長との間で、王毅部長の方に訪日時にあわせて開催するということで、一致をしていたところでございます。
 日中関係、様々なレベル、分野がありますけれども、やはり、経済関係の協力というのも大切な課題の一つだと思っております。
 様々な問題・課題もございます。水産物の輸入の話もありますし、今から成果について、予断をすることはいたしませんが、課題と懸案を一つずつ減らし、協力と連携を増やすと、経済分野においても、そういう考え方に基づいて、ともに取り組んでいく機会にしたいと考えております。

ベラルーシ邦人拘束

【時事通信 川上記者】ベラルーシの裁判所が、同国で拘束された邦人男性に対して、スパイ活動罪で禁錮7年などの判決を言い渡しました。裁判は非公開で行われました。今回の判決の受け止めと、今後の政府の対応方針について教えてください。

【岩屋外務大臣】今、御指摘があったように、3月14日にベラルーシのミンスク市の裁判所において、2024年7月にベラルーシで拘束された邦人に対する判決公判が行われまして、7年間の自由剥奪刑と、罰金2万1,000ベラルーシ・ルーブル、日本円に換算すると約95万円の有罪判決が言い渡されたと承知しております。
 政府といたしましては、本事案が発生して以降、当該邦人の即時釈放を強く求めてきたところでございます。
 今般の判決を踏まえまして、政府として、引き続き、ベラルーシ側に対して、即時釈放の働きかけを行うとともに、当該邦人との領事面会、あるいは御家族との連絡等、できる限りの支援を実施していきたいと思っております。

石破総理の商品券配布問題

【読売新聞 上村記者】政務の関係でお伺いします。石破総理が、新人議員に商品券を配った問題で、内閣支持率が下がり、自民党内からは公然と退陣を求める声も出ています。岩屋大臣は、総裁選で選対本部長として、石破総理の誕生を支えたお立場でもありますが、この状況をどのように御覧になっているかお聞かせください。

【岩屋外務大臣】個々の世論調査の結果について、外務大臣としてコメントすることは控えたいと思います。
 その上で、石破総理は、自民党総裁として、「公職選挙法にも、政治資金規正法にも触れるものではないが、一般の感覚からすると違うということで、国民の皆さんの御理解が得られたというふうには思っていない」ということをおっしゃっておられます。
 また、「御理解を得るためには、更なる努力が必要だ」と。「ただただ、ひたすら、誠心誠意努力する他にない」ということを述べておられると承知しております。
 私(岩屋大臣)も、そのとおりだろうと思います。しっかり説明の努力を、総理において、果たしていただきたいと考えております。

政治資金収支報告書

【テレビ朝日 飯田記者】政治資金収支報告書についてお伺いいたします。石破総理と岩屋大臣を含む閣僚14人の政治団体が、個人献金者の住所として企業などの所在地を政治資金収支報告書に記載しており、総額が、およそ1,472万円と報じられています。有識者は、虚偽記載に当たると指摘していますが、岩屋大臣についての事実関係と、事実とすれば、今後訂正の御予定があるのかお伺いします。

【岩屋外務大臣】報道については承知しています。
 事務所に、私(岩屋大臣)も問い合わせをいたしましたが、担当者からは、「個人の方から寄付をいただいた際に、その寄付者から申告していただいた住所を、収支報告書に記載している」と報告を受けております。
 また、寄付者に対しましては、収支報告書に記載の住所に、「寄付金控除のための書類」をお届けしておりまして、住所変更等の指示や要請を受けた場合には、その都度修正してきたと聞いております。
 私(岩屋大臣)も、中身をちょっと聞いてみましたら、128件で144万円ぐらいの御寄付をいただいていたということでございまして、それぞれ、本当に、そういう浄財を出していただいて、支えていただいていることに、改めて感謝の気持ちを持ったところでございます。
 企業献金というと、何か皆さん、大企業のことばかり思っておられるかもしれませんが、個人商店等も含めて、そういう事業者の方々が、浄財を持ち寄っていただいていることだと思います。そういう事業者は、事業所と自宅が同じところであるという方も、たくさんいらっしゃいます。そういうことで、何か一部誤解の下に報じられたのかなと思っておりますが、いずれにしても、御指摘をいただいた点について、今後とも適切に対応するよう、改めて担当者に指示をしたところでございます。

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