記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和6年11月29日(金曜日)13時27分 於:本省会見室)

岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1)G7外相会合

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から、御報告を申し上げます。
 去る25日から26日にかけ、私(岩屋大臣)にとりまして、初めてとなるG7外相会合に出席してまいりました。
 会合では、分断や対立が深刻化する現在の国際社会において、欧州及びインド太平洋の安全保障環境が、これまで以上に不可分になっている。この点が、繰り返し強調されまして、G7の結束を維持していくことの重要性を確認したところでございます。また、招待国、アウトリーチの国々の外相を始めとして、国際社会のパートナーとG7が連携を深めていくことが不可欠だという点でも、一致を見たところでございます。
 さらに、個別の会談、バイの会談も、いくつも行いましたけれども、各国外相と今後の協力関係につながる個人的な信頼関係を構築できたと感じておりまして、これも貴重な財産になったと思っております。今回の議論の成果も生かしつつ、引き続き、力強い日本外交を展開していきたいと考えております。

(2)アフリカ大使会議・TICAD

【岩屋外務大臣】それから、本日までの3日間、外務省では、アフリカ地域駐在の大使の出席を得て、アフリカ大使会議を開催しております。アフリカに関連する外交的取組について、幅広く議論を行っているところでございます。
 来年8月には、横浜でTICAD9を開催する予定です。今回の大使会議での議論も生かしながら、TICAD9を、アフリカと共に革新的な課題解決策を創り上げる機会とすべく、準備を進めてまいりたいと思います。

(3)第216回臨時国会の開会

【岩屋外務大臣】最後に、昨日から、臨時国会が開会いたしました。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日本外交の取組を進めていくためには、国会・国民の皆様から、御理解と御支援をいただくことが必要不可欠でございます。
 与野党の垣根を越えて共通認識を作る努力を行い、全力で外交に取り組む上でも、これからの国会での議論にしっかりと対応してまいりたいと考えております。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

臨時国会開会

【NHK 米津記者】冒頭の臨時国会の関連でお伺いします。国民民主党など野党の政策を取り入れたり、国会の運営上の配慮をしたりですとか、今回の国会というのは、非常に、これまでと違う難しい点があるかと思いますけれども、どのように進めていかれるお考えでしょうか、お願いします。

【岩屋外務大臣】冒頭にも申し上げましたとおり、我が国を取り巻く安全保障環境、非常に厳しいものがございます。そういう中でありますから、やはりその外交を進めていく上においては、国民の皆様、そしてその代表者たる国会の御理解、また、御支援をいただくということが不可欠だと考えております。
 そもそも外交と安全保障については、できるだけ与野党の垣根を超えた幅広い共通認識を作っていくということが、もとより大事なことだと思いますけれども、少数与党となっている現状を踏まえれば、とりわけ、そのことが重要だと。幅広い共通認識を作っていく努力を、しっかりとしていかなければならないというふうに思っておりますので、そういう考え方に立って、これからの国会での議論に臨んでいきたいと考えております。

日中関係(大臣の中国訪問)

【共同通信 鮎川記者】日中関係について伺います。大臣は就任以来、記者会見等の機会で、できるだけ早く、中国の王毅(おう・き)外交部長と対面したいと率直な対話を重ねたいというご発言をされてきました。最近、12月末にも、大臣の訪中調整という一部報道も出ました。日中間に、中国軍の軍事活動の活発化や、水産品・農産品の輸入再開の問題等々、また、邦人の安全・邦人の拘束等の課題がある中で、また、さらに最近、一方では、中国側がビザの再開、日本人に対する短期ビザの再開というものを打ち出すという動きがある中で、訪問された場合に、どういった成果を期待したいか、そういった点、可能な限りで御紹介いただけますか。

【岩屋外務大臣】中国との間には、様々な、今ご指摘があったような問題があるわけでございますが、問題があるからこそ、対話を重ねていかなければならないと思っております。
 先般のペルーでの、日中首脳会談におきましても、外相の相互訪問、及び、それに伴う日中のハイレベルの人的、あるいは文化交流対話、また、経済対話を適切な時期に実現していこうと、その調整をやっていこうと、首脳会談で、意見の一致を見ているわけでございますから、私(岩屋大臣)としても、できるだけ早く、カウンターパートである中国の王毅部長とお会いして、様々な課題について、対話を重ねていきたいと思っております。
 今、ご紹介があったように、短期査証の再開は、実現を見たわけでございますが、残された課題もいくつかございますので、そういう課題についても、しっかり議論していきたいと思っておりますし、大きな文脈で言えば、首脳会談でも確認されたように、戦略的な互恵関係を包括的に進めていくということでございますから、それはもう、外交・安全保障、経済、様々な分野における課題について、意思疎通を一層強化して、その中で懸案事項はできるだけ減らしていく、解決していくということを目標にして、王毅部長との間でも、そういう議論を深めていきたいと考えております。

日中関係(日本人向け中国短期滞在査証の免除措置)

【NHK 米津記者】今の関連でお伺いをします。中国の日本人向けの短期ビザの免除、短期ビザの免除の再開についてですけれども、この間、外務省として、中国と長きに渡ってやり取りをしてきて、実現するということですけれども、改めてこの受け止めと、今後活発化していく、この両国の関係についての期待感をお聞かせください。お願いします。

【岩屋外務大臣】やはり良好な両国の関係を築くためには、やはり国民全員同士が交流するということ、行き来をするということが、何より不可欠だと思います。
 したがいまして、この短期滞在の査証免除措置の再開を、累次にわたって要請してきたわけでございますが、いよいよ11月30日ですから、明日から、これが再開されるという発表が、先般あったところでございます。
 これによって、両国の国民間の交流に、弾みがついていくと思いますし、経済交流も、より活発になっていくということを期待しておりますし、そのことが日中間の相互理解を更に進めていくことにつながっていく。それを期待しているところでございます。

TICAD9

【毎日新聞 金記者】冒頭、お話ありましたTICADについてお伺いします。来年開催ということで、これまでも創設以来30年越えて、地道にアフリカ支援取り組んでこられたと思いますけれども、近年は、新型コロナウイルスの感染拡大を機に首脳級の参加の減少等、指摘されております。また、アフリカ地域において、中国、ロシア、特に、中国のプレゼンスの増加なども指摘されていると思いますが、来年のTICAD開催の成功に向けて、改めてどのような取組、また、意気込みがあるか、お聞かせいただければと思います。

【岩屋外務大臣】TICADは、我が国が、世界に先駆けて、開始をした取組だったと思います。それが、コロナの時期には、やむを得ない事情で、ちょっと変則的になったということもありましたけれども、来年は、フルの形でしっかりと、これを行いたいと思っております。
 日本のこれまでの、アフリカに対する支援協力については、私(岩屋大臣)は、高い評価をいただいてきていると思います。やはり、日本の支援というのは、非常に丁寧で、また誠実だという評価をしっかりいただいていると思いますので、そういう、これまでの蓄積の上に立って、現在のアフリカの現状に沿った、次なる展開をどうしていくかということを、来年のTICADに向けて、しっかり準備していきたいと思っております。
 一方、同様の取組が、他の国によっても、御承知のように、行われてきておりまして、その度にアフリカの国々が全部を集められるということに対して、今のやり方のままで果たしていいのだろうかと、私(岩屋大臣)どもだけではなくて、アフリカ側からも、いろいろなご意見もあると聞いておりますので、そういったものもしっかり聞かせていただいて、次なる時代のTICADの在り方というものも、ぜひ検討していきたいと思っております。

日中関係(光明日報記者の裁判事案)

【共同通信 鮎川記者】また、日中関係の質問なんですけれども、本日、中国の方で、中国共産党の主要紙である光明日報というところの幹部を務めていた董郁玉(とう・いくぎょく)さんという方が、日本人外交官に情報を渡したとして、スパイ罪で問われていたのですが、有罪判決が出ました。この方は、2年前に、北京で日本側の外交官が中国当局に一時拘束されるという、当時日本政府は強い抗議をしたのですが、その時に一緒に拘束された方なんですけれども、その判決文の中で、日本外務省の情報統括官組織をスパイ組織だというふうに名指しして、また、複数の日本人外交官とみられる方の名前を某何々、某(なにがし)ですかね、そういう形で指摘して、その人たちをスパイ組織の代理人、エージェントだというふうに判決が指摘したというふうに取材等々で判明しています。このことに関して、日本政府としての受け止めがもしあれば、お伺いできますでしょうか。

【岩屋外務大臣】今のお話については、一部報道で承知しておりますが、今、御質問で初めて聞かされた内容もございますが、この段階で、政府としてコメントすることはございません。
 いずれにしても、我が国の、在外公館での外交活動は、外交官として正当な業務を行っていると認識いたしております。

自民党「アジアの安全保障のあり方特命委員会」

【日経新聞 馬場記者】自民党での議論についてお伺いします。昨日、自民党で、「アジアの安全保障のあり方特命委員会」の初会合が開催されました。アジア版NATOや日米地位協定の改定も含めた、次期トランプ政権も見据えたアジアにおける安全保障政策について議論して、総理に最終的には提言することを目指すという説明もあったのですが、この委員会での議論への期待だったりとか、外務省としてどのように対応されるか、併せてお願いいたします。

【岩屋外務大臣】総理から、党に対して、今後の安全保障政策全般を、どう考えていくべきか検討されたいという指示が出されて、それを受けて、いよいよ、党での議論がスタートしたということだと思います。議論が今、スタートしたばかりですから、これについて詳細にコメントすることは控えたいと思いますが、大きな安全保障の枠組みをこの地域でどう作っていくべきか、また、日米同盟の今後の在り方、どうあるべきかということなどを中心に、党の方で、まず、しっかり議論を煮詰めていただけるものと期待しております。そのお話も聞かしていただく中で、次なる外交方針の策定に、是非生かしていきたいと思っているところでございます。

IR贈収賄事件

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】米司法省が、日本へのIR事業をめぐり、中国企業500ドットコム、現在BITマイニングLimitedの元CEO潘正明を海外腐敗行為防止法違反で起訴しました。告訴状によると、潘氏らは2017年(平成29年)から19年の2年間で、複数の日本の国会議員に総額190万ドル、2億9000万円の賄賂を渡したとされており、その中に現職の岩屋大臣が含まれていたと供述しているとのことです。岩屋大臣は、当時この容疑を否定しており、現在、既に控訴時効を迎えているため、国内的には、問題は終わった話とされています。しかし、米国の時効にはかかっておらず、米国において、贈賄側である潘氏らが、有罪答弁で贈賄の起訴事実を認めているため、収賄側である岩屋大臣も容疑者となるとの指摘もあります。岩屋大臣は、米国に収賄容疑者とされている状態で、海外への渡航なども多い外務大臣としての職務を全うできるとお考えでしょうか。

【岩屋外務大臣】まず、はっきり申し上げておきたいと思いますが、これは既に終わった話だと思います。私(岩屋大臣)は、令和2年の1月4日に記者会見を行って、申し上げたとおりでございまして、私(岩屋大臣)が、中国企業から金銭を受け取った事実は断じてありません。まして、工作を受けたこともありません。私(岩屋大臣)自身、報道されている中国企業とは、全くお付き合いはありません。政治資金規正法上も、外国企業から寄付を受けることなどはあり得ません。そのことを当時の記者会見で、質問が尽きるまで、私(岩屋大臣)の方から、お答えをさせていただいているところでございますので、今、御指摘があったような嫌疑は、晴れていると、確信しております。

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