記者会見
岩屋外務大臣会見記録
(令和6年10月8日(火曜日)18時56分 於:本省会見室)
冒頭発言:衆・参両院における本会議開催を受けた所感及びベトナム及びミャンマーへの緊急無償資金協力について
【岩屋外務大臣】お疲れさまでございます。冒頭、私(岩屋大臣)の方から、いくつかご報告がございます。
昨日から、衆・参両院で本会議が開催されまして、代表質問が行われました。この中で、外交・安全保障に関しましても、様々議論が交わされたところでございます。こうした国会での議論も踏まえて、しっかりと外交を展開してまいりたいと考えております。
私(岩屋大臣)自身は、昨日は、豪州、オーストラリアのウォン外相と電話会談を行いました。また、パパロ米太平洋軍司令官による表敬を受けたところでございます。日米同盟を基軸にして、友好国・同志国との連携をしっかりと推進して、我が国の平和を守り、地域の安定を実現していきたいと考えております。
また、本日の閣議におきまして、私(岩屋大臣)から、9月上旬に発生した台風11号、「ヤギ」という名前だそうですが、の影響によりまして、ベトナム及びミャンマーを始めとする東南アジア各国で、洪水や土砂崩れという災害が発生をいたしました。これに対する、我が国の支援について、発言をしたところでございます。
被害の甚大なベトナム及びミャンマーにおける被災者に対する支援といたしまして、UNICEF(国際児童基金)、IOM(国際移住機関)、WFP(国連世界食糧計画)を通じまして、合計400万ドルの緊急無償資金協力を行います。
犠牲になられた方々に、心から哀悼の意を表するとともに、今なお避難生活を送っておられる方々に、お見舞いを申し上げたいと思います。一日も早く、現地の皆様に、元どおりの生活が戻ってくることを期待したいと思います。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
パパロ米インド太平洋軍司令官による大臣表敬
【共同通信 西山記者】先ほど言及あった、パパロさんとの面会についてお伺いします。大臣、面会で、沖縄を始めとする地元の負担を軽減しながら、同盟の抑止力・対処力を一層強化すべく、緊密に連携していきたい、というふうにおっしゃいました。特に、沖縄の負担軽減について、今後、特に力を入れたい施策などありましたら教えてください。
【岩屋外務大臣】昨日も、パパロ司令官との間で、同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図っていくということで、合意をみたところでございます。
具体的に言うと、在日米軍の再編の事業を、着実に実施をしていきたいと思います。嘉手納以南の土地の返還、それから、海兵隊要員のグアム移転ですね。順調にいけば、今年の末から始まる予定ではあるのですが、そういったことを、しっかりと進めていきたいと思っております。
それから、普天間飛行場の固定化を避けるということが、政府の目標でございまして、辺野古移設が、そのためには、唯一の解決策であるということを一貫して申し上げてまいりました。普天間飛行場の全面返還に向けての、日米間の取組を着実に進展させたいと思っております。
在日米軍の、言うまでもないことですが、米軍の安定的な駐留のためには、沖縄を始めとする地元の皆様の御理解・御協力が不可欠でございますので、しっかりと、この負担の軽減に、外務省としても、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
在外選挙制度
【読売新聞 塚本記者】在外投票制度についてお伺いします。現在、100万人以上の在外邦人がいる中で、近年の国政選挙での在外投票者数は、2万人程度に留まっていると思います。在外邦人から、投票所が限られるですとか、投票期間の短さといった、制度が不便であるという批判もあったりはすると思うんですけれども、その在外邦人に、十分な投票の機会が確保されているのか、また、どのような課題があるのか、というところについて、大臣のお考えをお聞かせていただければと思います。
【岩屋外務大臣】実は、私(岩屋大臣)は、今おっしゃった問題については、かねてより強い問題意識を有しておりまして、先般まで、自民党の選挙制度調査会の会長代行を務めておりまして、この問題も議論してまいりました。また、超党派の「在外投票を推進する議員連盟」というものがあるのですけれども、そこでも参加して活動してまいりました。
「在外公館投票」については、今、ご指摘があったような、様々な課題があると承知しているんですが、こういうデジタルの時代に、私(岩屋大臣)は、オンライン投票は、あってしかるべきだと考えております。
これまでも、いろいろな、改善はしてきてはいるんですよね。総務省と連携して、例えば、在外選挙人名簿の登録申請について、ビデオ通話を活用して、在外公館に来てもらわなくても登録申請ができるようにするとか、それから、在外選挙人証を在外公館で印刷することによって、選挙人証の交付の迅速化につなげるとか、そんなことは、やってきているんですけれども、やはり公館が遠いとか、行くのにものすごく手間がかかるとか、時間がかかるとか、どうかしたら1泊泊まりで行かなきゃいけないとか、国によっては、そういうところもありますので、やはり、インターネット投票というものに道を開いていくべきではないかと、私(岩屋大臣)は思っておりまして、今、総務省において、制度・運用面の論点整理をやっていると承知しております。
もちろん、選挙の公正というものが保たれないといけないので、導入に向けては、確実な本人確認とか、二重投票の防止だとか、投票の秘密の確保だとか、システムのセキュリティ対策とか、乗り越えなければいけない課題は、あるんですけれども、是非、これが前向きに進むように、我々としても、取り組んでいきたいなと思っております。
しかし、選挙制度ということになると、全ての政党会派に関わる課題でございますので、役所が先導するというよりも、最終的には、そこで、各党・各会派のコンセンサスができないと実現をしないということでございますので、しっかり各党間でご議論をいただきたいなと思っております。
外務省としては、選挙制度を所管する総務省ともしっかり連携して、検討を進めていきたいと思っております。
ベトナム及びミャンマーへの緊急無償資金協力
【朝日新聞 里見記者】冒頭に、ご発言のあった緊急無償資金協力についてなんですが、それぞれの国際機関に対する、この金額の内訳と、あと、例えば、水とか食料とか、どういった支援に充てられるのを想定しているのかというのが分かれば、教えていただけますでしょうか。
【岩屋外務大臣】ベトナムでは、IOMを通じた100万ドル規模の一時的・避難施設支援、それから、非食料援助物資配布、それから、UNICEFを通じて100万ドル規模の水・衛生及び子供の保護、今言った二つは、ベトナムです。ミャンマーでは、WFPを通じた100万ドル規模の食料配布、そして、UNICEFを通じた100万ドル規模の水・衛生及び子供の保護ございまして、それで計400万ドルという中身でございます。
ウクライナ情勢
【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ紛争について、ウクライナ紛争で岸田政権は、一方的にロシアを悪とし、ウクライナに肩入れする硬直した外交を展開してきました。ロシアによる侵攻までの8年間、ウクライナ東部のドンバスで、ロシア系住民への差別政策や民間人殺傷などの民族浄化があった事実を、上川外務大臣や林外務大臣は、全くお認めになりませんでした。岸田政権の対露制裁と、ウクライナへ63億ドル、9,015億円もの支援をしたことで、日本は、ロシアから敵視されています。一方、米国で、トランプ政権が成立すれば、米国のウクライナ政策が変更されることも予想されます。NATO内の対応も一様ではない現在、日本は、対米従属ではなく、自主・主体的に、両国の和平実現を後押しする外交へと転換する必要があると思われますが、岩屋大臣のお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】これは、対米従属とか何とかいうことではないと思います。
私(岩屋大臣)も、就任時の会見で申し上げましたけれども、ロシアには、もちろん、ロシアの言い分があるんだろうと思いますけれども、どんな言い分があっても、国連の常任理事国が、白昼堂々、隣国の独立国を、力によって現状変更をするという行為は、これは許されない行為だと思っております。国際秩序の根幹を揺るがす行為と言わざるを得ないと考えております。
こういう、力による一方的な現状変更というのは、どこであっても、許されてはならないと考えておりますので、それは、我が国独自の判断であって、何か米国の言うことを聞いたということではないと、御理解をいただきたいと思います。
そういう認識のもとに、国際社会全体の平和と安全のために、ロシアの侵略をやめさせて、一日も早く、公正かつ永続的な平和をウクライナに実現すべく、この問題に取り組んできたところでございまして、残念ながら、長期化しておりますけれども、これが一刻も早く解決していくように、我が国としては、ウクライナを、引き続き、支援していかなければいけないと思っております。
衆議院議員選挙
【NHK 米津記者】今月27日に予定される衆議院選挙について、政権与党の安定が外交にも影響するということや、石破総理大臣の総裁選挙で、推薦人代表になられた岩屋大臣にお聞きしたいと思います。石破総理大臣は、収支報告書の不記載のあった自民党議員の一部を公認せず、小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない方針を示しました。この方針について、党内からは、理解する声もあれば、旧安倍派を中心に強い反発も出ています。挙党一致とは遠ざかる党内情勢とも言われておりますけれども、こうした公認などの方針への大臣の評価、また、党内情勢についての御認識、政権として、衆院選挙にどのように臨むべきだとお考えか、お聞かせください。
【岩屋外務大臣】本来、外務大臣としてお答えする御質問ではないと思うんですが、その上で、一自民党議員として申し上げれば、今回の総理の、あるいは総裁のご判断というのは、非常につらく厳しい判断だったろうなと、私(岩屋大臣)は思っております。 それは、決して党内政局などという次元の話ではなくて、やはり選挙に臨むにあたって、自民党の信頼を回復していかなければいけないと。そのためには、厳しいことではあるけれども、不記載の議員に対しては、その状況に応じて、厳しく対処せざるを得ないと、こういう判断をされたということだと思います。 民主主義においては、主権者たる国民の皆さんの審判が最終的で、なおかつ最高の審判ということになろうと思いますので、今度の選挙で、一人でも多くの議員の皆さんが、しっかりと説明して、信任を得て、戻ってきてもらいたいなと、私(岩屋大臣)も思っているところでございます。 選挙が早すぎるというような御批判も一部にありますけれども、国際情勢、これだけ激動していて、この先も何が起こるか分からない。来月には、米国の大統領選挙の結果も出てくるということもありますし、総理が、今日も度々答弁しておられましたが、選挙後には、能登の復旧・復興も含めて、当面の経済対策のためにも、しっかり取り組みたいということを言っておりますので、やはり、ここは、国民の皆様の信任をいただいて、政権基盤を、願わくば、しっかりと安定させていただいて、力強く外交にも取り組むことができ、また、政策を前に、力強く進めることができる体制をいただきたいと思っております。 私(岩屋大臣)も、候補者の1人になりますので、今までのように、ずっと地元に張り付いてというわけにはいかないと思いますが、そこはしっかりと戦いたいと、そして、ご信任をいただきたいと思っております。