記者会見

上川外務大臣臨時会見記録

(令和6年9月23日(月曜日)10時45分 於:羽田空港)

冒頭発言

 (大臣)まず初めに、石川県の豪雨災害において、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。ご遺族の皆様には謹んでお悔やみ申し上げます。まだ安否不明の方々がいらっしゃるということです。救命・救出に万全を期して、一刻も早い捜索・救出を願っております。

 私(大臣)は、この後、ニューヨークの国連総会会合に参加するためニューヨークに出発いたします。

 我が国をとりまく国際情勢が厳しさを増す状況でございます。我が国の外交に空白を作ることはできません。国連総会は、各国の外相と直接お会いして、そして集中的に議論を行う場でございます。G7外相会合や、安保理改革について議論をしているG4外相会合等に出席し、各国の外務大臣との間で二国間の会談を重ねていきたいと思っております。

 国連を含む多国間主義に対して信頼が揺らいでいると言う状況がございます。同志国との連携強化は喫緊の課題であると認識しております。戦後80年、日本は平和外交を貫いてまいりました。その上で、我が国に対する信頼と高い期待が寄せられている訳でございます。G4の外相会合におきましては、来年はまさに国連創設80周年の大きな節目の年でございまして、安保理改革を含む国連の改革にしっかり取り組んで参ります。また、G7外相会合や日米韓外相会合を通じ、地域・国際情勢についてもしっかりと意見交換をして参りたいと思います。

 また、私(大臣)がこれまで強く打ち出して参りましたWPS、すなわち女性平和安全保障については、来年は、WPSの安保理決議1325号の採択25周年で、大変記念すべき年を迎えます。(我が国は)国連のWPSフォーカルポイント・ネットワークを重視して進めてまいりましたが、この中で、来年におきましては、リーダーシップを発揮して、日本におきましてWPS関係の会合を開催したいと考えています。

 さらに、この機会に、中国の王毅(おう・き)外交部長との日中外相会談を行う予定です。両国間には様々な課題や懸案がありますが、こうした課題や懸念事項についてしっかりと議論を重ねて参りたいと思います。先日発生した深圳の日本人学校の児童が襲われ逝去されるという大変痛ましい事件が起きました。こうしたこともしっかり取り上げ、中国側に対し、しっかりした事実関係の説明及び、日本人、とりわけ子供たちの安全確保を強く求めて参ります。

 また、ALPS処理水の海洋放出と日本産水産物の輸入規制に関しても、日中両国で共有された認識に基づき議論をさらに深め、規制の撤廃につなげていきたいと考えています。

 深圳の事件に関しては、昨日から、柘植外務副大臣が北京を訪問しておりまして、今まさに孫衛東(そん・えいとう)中国外交部副部長との協議を行っている状況です。この後、現地在留邦人の皆様ともお会いする予定です。

 さらに、中国にある日本人学校、今12校ございますが、その警備を強化するため、緊急措置として現在使える外務省内で使える予算の中から、約4,300万円を充てることとしました。これにより、日本人学校の警備体制の強化、警備員を増強し、スクールバス乗降時のしっかりした警備も含め、また、徒歩通学の子供たちに対する警備といったことについても予算を充当していきたいと考えます。

 迅速に「できることは全てやる」こうした観点から本件の措置を導入いたしますが、引き続き現地でのニーズをしっかり踏まえた上で、対応策について更なる検討を進めていくよう指示をしたところです。

 私からは以上です。

質疑応答

 (記者)国連総会では各国外相とのバイ会談が予定されていると思いますが、具体的にどのような議論をする予定でしょうか。

 (大臣)今回の日程は日本外交の優先課題を網羅する内容でございます。最大の効果をあげることができるように、個人的な信頼関係をベースに各国の外相と、しっかりとした議論をしていきたいと思っております。そして具体的な成果をあげていきたいと思っております。

 安保理改革に関するG4外相会合、G7外相会合、日米韓外相会合、日・エジプト・ヨルダン三者の外相会合に出席いたします。また、日イラン外相会談も行う予定です。戦後80周年我が国が平和外交を貫いてきた実績に裏付けられた我が国に対する信頼と期待に応えること、このことが重要であります。国連を中心とした多国間主義と言う枠組みについては、安保理改革を含めまして国連全体の改革において重要であると認識しておりまして、日本としてのコミットメントをしっかりと打ち出して参りたいと考えています。

 また、各国外相とは、地域の情勢、国際社会の情勢は大変厳しいものがありますので、そういったことについて、率直に意見交換をし、対応していくべく、まさに同志国、同盟国との協調路線、このことをしっかり打ち出して確固たるものとしていきたいと思います。

 また、中国の王毅(おう・き)外交部長と両国間の懸案事項、課題がございます。これについてしっかり議論してまいりたいと思います。特に、深圳で発生した事案、幼いお子様が犯罪により逝去された件につきましてはしっかりとした原因究明とその説明を求め、日本人、とりわけ子供たちの安全確保について申し入れをしたい、そしてきちんと実行していただきたい、この申し入れをしてきます。

 (記者)日中外相会談の関係なんですが、改めてどういったスタンスで中国側に対応を求めていくのでしょうか。今回の深圳の事案について、外務省として改めて対応をお聞かせ願います。

 (大臣)今回の深圳日本人学校の児童の命が絶たれるという大変痛ましい事件が発生しました。この動揺は現地の日本人学校および親御さんの間に広がっているということであります。のみならず中国の中には12の日本人学校があるわけで、中国における子供の安心安全についても極めて重要な影響が及んでいると認識しています。この事案につきまして、様々な申しれをしているところでございまして、事実関係の解明、説明ということについては一日も早く結果を出して欲しいと言うことで強い申し入れをしているところであります。このことについては、今回強く申し入れたいと思っています。

 (記者)今回、総裁選中での外遊は異例だが、今回外遊を決意された理由を教えてください。

 (大臣)やはり外交に空白はあってはならないという強い思いです。特に、今、国際情勢が極めて大きく動いている状況でありますので、まさに国連は閣僚の皆さんが集まる大変重要な外交の場であるということでありますので、ここにしっかりと日本外交としてこれまでとりくんできた様々な課題、全てここに集約して成果を上げて参りたいと言うことであります。

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