記者会見
上川外務大臣臨時会見記録
(令和6年9月19日(木曜日)9時09分 於:本省正面玄関)
冒頭発言
(大臣)昨日18日、登校中に男性に襲われて負傷し、病院で治療を受けていた深圳(しんせん)日本人学校の児童が、19日未明に逝去されたとの報告を受けており、深い悲しみを禁じ得ません。心からのお悔やみを申し上げます。御家族の御心痛は、本当に、察するに余りあるものであります。政府としては、引き続き、全力で御家族の支援にあたってまいります。
本事件発生後、直ちに現地に在広州総領事らを派遣し、必要な支援を行ってきております。また、在中国大使館及び在広州総領事館から中国側に対し、事実関係の説明を求めるとともに、日本人の安全確保について万全を期すよう、強く求めたところであります。そして、昨日18日でありますが、岡野外務事務次官から、呉浩江(ご・こうこう)在京中国大使に対しましても、同様の申入れを行ったところございます。
そもそも外務省といたしましては、本年6月の蘇州における事件の発生を受けまして、これまで日本人学校、補習授業校等に対しまして、安全対策の再点検を早急に行うよう伝達の上、各在外公館からも安全対策の指導を行ってきたところであります。更に、9月18日が柳条湖事件が発生した日であることを踏まえ、14日、中国外交部に対しまして、日本人学校の安全対策について万全の対応を行うよう、申入れを行ったところであります。そうした中で本件事案が起きてしまったことを大変残念に思っております。
私は、今般の事案を極めて重く受け止めているところでありまして、改めて、中国側に対しまして日本人の安全確保を求めていくとともに、日本人の安全対策を含め、再発防止に向けてどのような追加的な措置が可能か、事務方に検討を指示いたしました。私からは以上です。
質疑
(記者)中国側からは、事件の詳細についてどのような説明があったのか、どのような言葉があったのか、お聞かせいただいて宜しいでしょうか。
(大臣)今、犯人の身柄は拘束されているところでございまして、その背景や、また動機についても、これから尋問をした上で明らかになることと思います。今、私自身が予断をもって申し上げるということもできませんので、そうした事実関係につきましては、早急に説明を受けるよう、中国側に対しましても申入れを行ってきているところであります。
(記者)この間の中国側の協力姿勢をどう評価してらっしゃるかということと、あと日中関係に与える影響をどう評価されているか、お願い致します。
(大臣)こうした事案は、あってはならない、これはどの国におきましてもあってはならないことであります。とりわけ、この登校中の児童に対して、卑劣な行為か行われたということに対しては、誠に遺憾であると思っておりまして、私自身大変、親御さんのご心痛も考えると、胸が詰まり潰れる思いでいっぱいでございます。中国側も、そうしたことについては、安全対策、しっかりとするようにという申し入れをしてきたところでありますので、そのことも含めまして、これから、更に、どのような対策がとれるか、ということについては、しっかりと申し入れをし、対策についての具体化を図っていくべく、最善の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
(記者)政務の関連でお伺いします。大臣は、来週、国連総会に合わせてニューヨークを訪問することになりました。総裁選挙の期間中に、その候補者が、外国を訪問することは異例なんですが、行くことになった判断の背景といいますか、どういうふうにお考えでしょうか。
(大臣)私は、今、総裁選に向け立候補し、各地域で遊説を重ねているところでございます。その意味で、今、全力で、これからの日本の未来、あるいは将来について、お一人おひとりに語る、ということに集中しているところであります。
しかし、同時に、私自身外務大臣でございますので、このような国際情勢の中におきまして、公務をおろそかにするということはできません。これは一意専心の思いで、これまで取り組んできておりますけれども、その思いでいるということについては、どういう状況があったとしても、そうした姿勢で臨んでいるところでございます。
国際情勢が、極めて流動的、変化している状況であります。東アジア情勢、あるいは、中東やウクライナ情勢、こういったことにつきましても、待ったなしの様々な決断をしていかなければならない、大変重要な時期にございます。 こういう中にありまして、緊張感を持って、この間、責任を果たしていく、この一意専心の思いで取り組んできているところでございます。国連は、今、9月というのは、各国の首脳、あるいは外相、それぞれの閣僚が集まって、様々な課題、そして問題について話し合う、極めて重要な国際会議であります。この国際会議の場は、日本外交にとりましても、国益をかけた、ある意味では、外交の舞台ということでありますので、こういったことへの参加は、待ったなしであるというふうに思って参りました。これにつきましては、この外交の空白を作ってはいけない、こういう思いでおりましたので、私としては、事情が許せば、今回のニューヨークでの国連総会、このシーズンの会合に参加をしてまいりたいと考えております。