記者会見
上川外務大臣会見記録
(令和6年1月23日(火曜日)13時39分 於:本省会見室)
冒頭発言
地方の魅力を世界に発信するプロジェクト
【上川外務大臣】私(上川大臣)から、1件ございます。
本日夜、飯倉公館において、花角(はなずみ)新潟県知事との共催で、「地方の魅力を世界に発信するプロジェクト」の一環として、新潟県の多様な魅力を発信するレセプションを開催いたします。
本日のレセプションには、駐日外交団や、また新潟県にゆかりのある方々をお迎えし、「佐渡島(さど)の金山」をはじめ、地元産品、観光情報、伝統工芸品、伝統芸能、錦鯉などの新潟県の多様な魅力を共有いたします。
地方には、豊かな伝統、文化、自然が溢れており、各国の日本に対する幅広い関心や交流を高め、日本の総合的な外交力を強化していく上で、重要な存在だと考えています。私(上川大臣)自身、海外出張のたびに、外交は幅広い相互の国民の交流、理解と共感に支えられているものであり、姉妹都市や企業の経済活動等を通じ、地方が大きな役割を担っていることを感じております。先日もドイツ・ハンブルクを訪問し、その市長とお会いした際に、そうした考えを改めて確認することができました。
本日のレセプションを通じまして、駐日外交団等との参加者の「佐渡島の金山」を始めとする、新潟県の多様な魅力に対する理解が深まるとともに、これら参加者と新潟県とのネットワークが構築されることを期待しております。
今後も様々な形で、地方にアウトリーチする形での外交活動を進めてまいります。
私(上川大臣)からは、以上です。
「佐渡島の金山」の世界遺産登録
【共同通信 桂田記者】冒頭のご発言に関連して伺います。「佐渡島の金山」の世界遺産登録が審査される今年の世界遺産委員会では、韓国も委員国を務めます。韓国は、登録をめぐり、朝鮮半島出身者の強制労働があったとして反発してきましたが、大臣は、これをどう受け止めていらっしゃるでしょうか。また、韓国側の理解を得るために、今後どのような働きかけしていくお考えかお聞かせください。
【上川外務大臣】「佐渡島の金山」に関しましての韓国側の立場については承知しております。
その上で、我が国としては、「佐渡島の金山」の登録実現に向け、その文化遺産としての素晴らしい価値が評価されるよう取り組んでまいります。そのために、韓国との間におきましても、引き続き、誠実かつ不断に、丁寧な議論を行ってまいりたいと考えております。
露朝関係
【朝日新聞 松山記者】ロシアと北朝鮮の関係でお伺いします。ロシアのプーチン大統領は、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相との会談で、北朝鮮を早期に訪問する用意があると表明し、北朝鮮側も、これを受け入れる姿勢を示しました。これに対する受け止めと、昨今、露朝は、武器取引などで軍事協力を強めて、ウクライナ攻撃にも加担しているとされていますが、今後、日本として、どう対応されていくか、改めて教えてください。
【上川外務大臣】まず、御指摘のこの発表についてでありますが、政府としてお答えをする立場にはございませんが、露朝関係を含めまして、北朝鮮をめぐる情勢については、ご指摘の点も含めまして、我が国といたしましては、平素から、重大な関心をもって情報収集・分析に努めているところでございます。
その上で申し上げれば、北朝鮮からロシアへの武器供与につきましては、ウクライナ情勢の更なる悪化につながり得るものであり、また、北朝鮮との間の武器及び関連物資の移転等を全面的に禁止する関連の安保理決議に違反するものであることから、これを強く非難いたします。また、ロシアから北朝鮮に対する軍事支援の可能性について、懸念をもって注視しているところでございます。
我が国といたしましては、米国及び韓国を始めといたします国際社会と協力をしながら、関連する安保理決議の完全な履行を求め、そして、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく考えであります。今後とも、安保理理事国として、尽力してまいりたいと考えております。
イスラエル・パレスチナ情勢(イスラエルの行動に対するICJでの審理)
【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】イスラエル・パレスチナ問題について質問します。上川大臣は、11日、国際司法裁判所に行かれました。南アフリカがイスラエルのジェノサイド提訴した11日の審理をお聞きになったのでしょうか。日本政府は、南アフリカの訴えを支持し、ジェノサイドを即刻やめるようイスラエルに迫るお考えはおありでしょうか。この問題は、G7、特に米国の顔色をうかがうことではなく、自らの良心の問題のはずです。大臣は、日本国民の良心を代表して、決定を下すお気持ちがおありでしょうか。
【上川外務大臣】私(上川大臣)の1月11日のICJ訪問でありますが、ICJの所長との会談を目的としたものでございまして、御指摘の口頭弁論は、傍聴しておりませんが、ガザ地区をめぐる情勢につきましては丁寧にフォローしておりまして、本件提訴につきましても状況を注視してまいりたいと考えております。
御指摘のイスラエルの行動に対するジェノサイド条約上の評価につきましては、まさに、現在、ICJが審理を行っているところでもありまして、我が国としてコメントすることにつきましては、差し控えさせていただきます。
我が国は、このハマス等によるテロ攻撃を断固として非難し、人質の即時解放、これを求めるとともに、イスラエルに対しまして、自国及び自国民を守る権利の行使に際して、国際人道法、これを含む国際法の順守をまとめてきているところであります。
引き続き、関係国・関係機関と緊密に意思疎通を行いつつ、全ての当事者に、国際人道法を含む国際法の遵守、また、関連の安保理決議に基づく誠実な行動を求めつつ、人質の即時解放、人道状況の改善、そして、事態の早期沈静化に向けた外交努力を粘り強くは積極的に続けてきておりまして、これからも、そうした姿勢で臨みたいと思っております。
自民党岸田派の解散
【NHK 五十嵐記者】自民党の派閥関連で伺います。自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、先ほど、岸田派の会合で、政治の回復を図る観点から、岸田派を解散する方針が正式に表明されましたが、岸田派に所属する大臣としての受け止めを伺います。また、今日も、自民党の政治刷新本部が開かれますが、大臣ご自身は、派閥の在り方についてどのようにお考えでしょうか。
【上川外務大臣】外務大臣の立場といたしまして、それぞれの政策集団の対応につきましてコメントすることにつきましては差し控えさせていただきますが、国民の信頼回復の必要性を重く受け止めております。
現在、自民党におきまして、様々な検討・議論が行われていると承知しております。私(上川大臣)といたしましても、国民の信頼回復に向けて、しっかりと取り組む必要があると考えております。