記者会見
北村外務報道官会見記録
(令和7年7月30日(水曜日)16時15分 於:本省会見室)
冒頭発言
第3回東京国際法セミナーの開催
【北村外務報道官】冒頭、私(北村外務報道官)から1件ございます。
既に報道発表を発出をしていますが、8月4日から8日にかけ、外務省は、東京・渋谷にある国連大学において、第3回「東京国際法セミナー」を開催します。
この東京国際法セミナーは、インド太平洋地域の行政官、あるいは日本の弁護士、国際法研究者を対象に、国際法分野の著名な研究者・実務家による講義を中心とした実務者向けの研修を提供することで、このインド太平洋地域における、法の支配の強化と、日本における国際法分野の人材育成を目指すものです。
このセミナーの開催に当たりましては、アジア諸国の学生を対象として、毎年、日本で開催している国際法全般を扱う模擬裁判の国際大会である、アジア最大規模の国際模擬裁判の「アジア・カップ」というものも、昨年に引き続き、併せて開催する予定です。
この東京国際法セミナーが、国際法関係者の間の知見の共有とネットワーク作りの場を提供して、「法の支配」に導かれた平和の実現に、引き続き、寄与することを期待いたします。
冒頭、私(北村外務報道官)からは以上です。
米中関税協議、日米関税協議
【日経新聞 馬場記者】関税交渉についてお伺いします。米中は、関税措置の停止をさらに90日間延長することで合意しました。米中の関税協議や貿易関係は、日本の経済や外交にも影響力がありますけれども、今回の件についての受け止めをお伺いいたします。また、改めて、日米の関税交渉で妥結した相互関税15%など、米国の履行確保に向けて、外務省として、どのように取り組まれるかお伺いします。
【北村外務報道官】まず、米中の貿易協議についてですが、この動向については、もちろん外務省として、日本政府として、きちんとフォローをしています。
既に米中双方から、それぞれ発信もなされているところですが、日本政府としては、今般の米中協議の動向を含め、関連の動向を、引き続き、高い関心を持って注視してまいります。また、その影響を十分に精査して適切に対応していく考えです。
もう一点、日米合意についての御質問ですが、まず、一般論として申し上げますと、国家間で政治的合意を行う際に、必ずしも共同文書の作成というものが求められているわけではありません。実際、米国の関税措置に関する他国との合意を見ても、ベトナムやフィリピンと米国との間では、これまで共同文書を発表されていないと承知しています。
その上で、米国と我が国との協議について申し上げますと、この協議は、本年4月以降行ってきていますが、これは長年にわたる日米通商関係の歴史的経緯もある中で行われているものであり、結論に至ることは決して容易なものではありませんでした。
しかし、石破総理とトランプ大統領との間で、本年2月、あるいは6月の首脳会談、あるいは、その間の一連の電話首脳会談においてやり取りを行い、また、閣僚間の議論を積み重ねた上で、最終的には皆様御存じのとおり、7月22日の赤澤経済再生担当大臣とトランプ大統領とのやり取りも踏まえ、両国の国益に資する合意ができたものです。このようにギリギリまで折衝を行った、そういう経緯からして、共同文書は作成していないということです。
また、共同文書を作成するか否かは、相手のあることでもあり、かつ、米国は先ほどの御質問にありました、米中の協議にもありますように、我が国との合意の後も、多くの国との間で関税に関する交渉を行っていると承知しています。そういう諸事情も勘案する必要があると考えています。
そして、何よりも今後重要なことは、日米双方が合意の実施に努めることです。特に、米国側の関税引下げに必要なのは、大統領令の発出などの米国側の国内の措置になります。したがって、まずは米国側に対して、こうした措置が速やかに取られるように求めていくことが重要であり、既に米国側に対して、こうした働きかけを行ってきているところです。
また、日本国内においても、既に昨日の午前中、官房長官会見で林官房長官が述べられたとおり、今後は、まず早期に米国の関税措置に関する総合対策タスクフォースを開催した上で、関係府省が適切に連携し、米国側の関税率の引き下げを含め、日米合意の履行状況の進捗をしっかりと管理していくことが重要であると考えています。
いずれにしても、日本政府としては、今後とも米国側としっかり意思疎通を続け、米国側に必要な措置を取るように求めていく考えです。