記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年5月16日(金曜日)16時19分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

麻生特派大使のローマ教皇レオ14世台下就任式典への参列

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から、2点御報告がございます。
 まず、麻生特派大使の教皇レオ14世台下(だいか)就任式典への参列についてです。
 本日の閣議におきまして、現地時間の5月18日、バチカン市国で行われます第267代ローマ教皇レオ14世台下就任式典参列のために、麻生太郎元内閣総理大臣を特派大使として派遣することが決定されました。
 今般の麻生特派大使の派遣を通じまして、日本とバチカンの良好な友好協力関係が、ますます深まることを期待したいと思います。

岩屋大臣による外交史料館の視察

【岩屋外務大臣】もう一つは、私(岩屋大臣)の外交史料館視察についてでございます。
 本日、私(岩屋大臣)は、日米修好通商条約や日米安全保障条約など、幕末以来の我が国の重要な外交資料を保存・展示している外交史料館を視察いたしました。
 外交史料館の展示室は、以前は飯倉公館の隣にありましたけれども、昨年4月に、より足を運びやすい麻布台ヒルズ森JPタワー5階にリニューアル・オープンをいたしました。
 現在、この展示室では、常設展示に加えまして、今月末までの特別展として、「吉田茂展」を開催しております。解説パネルや解説映像も充実しておりまして、日本外交について理解を深めていただけるものだと感じました。是非、皆様にも御訪問いただければと思います。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

カシミール情勢

【日経新聞 馬場記者】インド・パキスタン情勢についてお伺いします。カシミール地方をめぐる武力衝突は、停戦状態に落ち着きましたが、現状をどのように認識されておられるか伺います。また、大臣も、インド・パキスタン双方の外相と電話会談をされましたけれども、今後、日本が果たせる役割は、どのようなものだとお考えになるかお願いします。

【岩屋外務大臣】5月10日、インド及びパキスタン両国が、軍事行動の停止に合意したと承知しております。
 日本政府としては、この両国の合意を歓迎したいと思います。また、今後の情勢を、引き続き、注視していきたいと思っております。
 今般の合意に至るまでの過程におきまして、私(岩屋大臣)も、インドのジャイシャンカル外相、そして、パキスタンのダール外相との間で電話会談を行いました。あらゆるチャネルを通じて、両国が、責任ある行動を取るように伝えてきたところでございます。
 日本政府としては、引き続いて、南アジアの平和と安定のために、インド・パキスタン双方が自制をして、対話を通じて事態の安定化を図ることが重要であると考えております。両国とのこれまでの伝統的な友好関係を生かしまして、我が国も、積極的に役割を果たしてまいりたいと考えております。

東シナ海資源開発問題

【読売新聞 上村記者】東シナ海でのガス田開発についてお伺いします。13日に、「中国側による新たな構造物の設置に向けた動きが確認された」と外務省が発表しています。まず、この所感と、日本政府としてのその後の対応についてお聞かせください。併せて、この問題は、長年状況の改善が見られずに、今も中国による一方的な開発が続けられています。日本政府として、今後どのように日本の権益を守るのかと、中国に対するこのアプローチを変えるお考えはないのか、今後の対応も併せてお聞かせください。

【岩屋外務大臣】今般、東シナ海の日中の地理的中間線の西側におきまして、中国による新たな1基の構造物設置に向けた動きを確認をいたしました。
 東シナ海の排他的経済水域及び大陸棚の境界が未だ確定していない状況におきまして、中国側が同海域において一方的な開発を進めていることは極めて遺憾でありまして、直ちに強く抗議をしたところでございます。
 中国は、東シナ海において資源開発を活発化させており、政府として、このような中国側の一方的な開発や、その既成事実化の試みの中止を求めて、繰り返し抗議してきております。私(岩屋大臣)自身も、昨年12月の日中外相会談において、王毅(おう・き)外交部長に対して、中国による一方的な資源開発について、深刻な懸念を伝え、対応を求めたところでございます。
 政府としては、両首脳間で、東シナ海資源開発に関する日中間の協力に関する「2008年合意」、胡錦濤(こ・きんとう)・福田時代の合意ですけれども、推進・実施し、東シナ海を「平和・協力・友好」の海とすると、この目標を実現することで一致していることを踏まえまして、中国側に対して、一方的な開発や、その既成事実化の試みの中止を求めるとともに、この合意に基づく国際約束締結交渉を早期に再開し、同合意を早期に実施に移すように、引き続き、強く求めてまいります。

対シリア制裁

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 米国トランプ大統領は、3日ほど前、サウジアラビアを訪問中に、シリアに対する制裁解除を表明しました。 日本は、この国際的なシリアに対する制裁解除に関する政策転換に追随するのでしょうか。仮に制裁解除しない場合、その決定の背景には何があるのでしょうか?

【岩屋外務大臣】御指摘のトランプ大統領による発言は承知しております。
 我が国としては、これまで、シリアの暫定政権が、包摂的な政治的解決と国民和解に向けた対話に取り組んできたこと、また、今後も平和的かつ安定した移行に向けて取り組んでいく姿勢を見せていることを評価しております。
 その上で、シリアの国民にとって、より良き状態が作り出されることが望ましいという観点から、制裁については、安保理制裁委員会を含む国際社会の議論も注視しながら、解除することも含めて適切に判断していきたいと考えております。

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