記者会見
岩屋外務大臣臨時会見記録
(令和7年4月25日(金曜日)11時00分 於:本省正面玄関)
冒頭発言
諸般の事情が許せば、本日から5月4日まで、バチカン市国、米国・ニューヨーク、セネガル、サウジアラビア及びフランスを訪問します。まず、バチカン市国ではローマ教皇フランシスコ台下の葬儀に出席させていただく予定です。日本政府として、フランシスコ台下のこれまでの御功績に対する心からの敬意とともに、謹んで哀悼の誠を捧げてきたいと考えております。
ニューヨークにおきましては、NPT運用検討会議第3回準備委員会に出席をいたしまして、一般討論演説を実施します。また、「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議のイベントへの出席や、この際にグテーレス国連事務総長との会談も予定をしております。
セネガルにおきましては、本年8月の第9回アフリカ開発会議、TICAD9も見据えまして、日・セネガル関係及び日・アフリカ関係を強化するべく、ファル外相と会談する予定です。
続くサウジアラビアにおきましては、ファイサル外相と会談します。二国間関係に加えまして、中東地域の喫緊の課題を含む国際情勢全般につきましても、率直な議論を行ってきたいと考えております。
最後にフランスですが、バロ外相との会談を実施いたします。G7の同志国でもあり、現在国際社会の平和と繁栄に向けて大きくリーダーシップを取ろうとしているフランスとの間で、緊密な意思疎通・連携を再確認してきたいと思っております。
国際社会が分断を深める中、率直な対話と国際協調を通じて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することは、かつてなく重要でございます。こうした観点から、今回の出張では、多国間主義の拠点である国連を皮切りにいたしまして、中東、アフリカ、欧州の主要国を訪問することと致しました。対話と協調により、各国との連携をしっかり深めてきたいと考えております。
質疑応答
(記者)NPT運用検討会議の準備委員会に日本の外務大臣が出席するのは7年ぶりとなります。今回出席を決めた理由と、今回2週間ある準備委員会で政府としてどのような成果を目指すか、お伺いします。これに関して、来年の再検討会議に向けた勧告について、全会一致での採択を目指すのかもあわせてお聞かせください。その後はセネガル、サウジアラビア、フランスの3か国を訪問されます。これらの国々を訪問先に選んだ理由と、どのような成果をそれぞれ期待されるかあわせてお願いします。なお、今回の外遊に関しては先ほどの参議院の議院運営委員会で野党の反対で認められませんでした。このことに対する所感をお願いします。
(大臣)まず、NPTの運用検討会議準備委員会への出席についてですが、NPT体制は言うまでもなく、核兵器国、非核兵器国が幅広く参加する「核兵器のない世界」に向けた唯一の普遍的な取組でございます。先般、核禁条約についてはオブザーバー参加をしない、あくまでもNPTの下で、我が国は「核兵器のない世界」に向けて汗をかいていくということを申し上げました。そういうこともあってですね、「核兵器のない世界」に向けた道のりが一層厳しさを増す中だからこそ、NPT体制の維持・強化が必要だと考えております。こうした考えから、来年のNPT運用検討会議に向けたプロセスにおいて我が国がリーダーシップを取るべく、そのために、私自身が準備委員会に参加することにしました。今回の会合は、来年の運用検討会議につながる重要な会議であると認識しています。分断を乗り越え、真摯な対話と建設的な議論を通じて充実した成果を上げられるよう、我が国としても努力していきたいと考えております。過去2回は成果文書を出せなかったということでもありますので、来年の会議は非常に重要な運用検討会議になると思いますので、そこに向けて我が国の考え方をしっかりと訴えていきたいと考えております。
セネガルについては、民主主義が定着した西アフリカにおけるいわば安定国であります。我が国にとっても、価値や原則を共有する「戦略的に重要なパートナー」でありまして、TICADの良き理解者でもあります。したがって、TICAD9に向けて重要な一国であるセネガルとの連携を強化していきたいと考えています。
それからサウジアラビアは、まさにアラブの雄でございますけれども、中東地域の安定の要でありまして、現在その役割は一層高まりつつあります。ウクライナの協議もガザの協議も、あるいはイランの問題も含めてサウジアラビアが舞台になって様々な会合が行われております。先般、外相がお越しになった際、日本で会談しましたけれども、現地に赴いてしっかりと意思の疎通を行ってきたいと思います。また、言うまでもなく我が国にとっては、エネルギー安全保障上の最重要パートナーでもございます。さらに、本年、外交関係樹立70周年を迎えたということもあって、サウジアラビア訪問を決めさせていただきました。
フランスは、言うまでもなく安保理の理事国でもありますし、G7メンバーとして、ウクライナ情勢を始め、国際社会でリーダーシップを発揮しています。欧州がこれからどういう対応を取っていくかというのは、我が国にとって極めて重要なファクターになると思っております。欧州ではどうしても英独仏が中心になっていくと思うんですけれども、ドイツは政権が代わったばかりでございますし、イギリスは先般石破総理に電話首脳会談を行っていただきました。フランスにおいて外相を始め要人とお目にかかって、フランスの考え方をよく聞いて、我が国との意思疎通をしっかり図って参りたいと思います。
どういう事情で参議院の方で御了解いただけなかったのかは分かりませんが、国会開会中ですから国会への影響を最小限にしながら、必要と考える外交活動をしっかり行っていきたいと考えております。