記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年4月22日(火曜日)16時43分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

ローマ教皇フランシスコ台下の崩御

【岩屋外務大臣】昨日、ローマ教皇フランシスコ台下(だいか)の訃報に接しました。フランシスコ台下は、2013年から、教皇台下の立場にあられ、強い発信力をもって、環境保護や平和外交の推進に尽力をされてこられました。改めて、フランシスコ台下のこれまでの御功績に、深甚なる敬意を表し、哀悼の誠を捧げたいと思います。

「日・スイス」「日・デンマーク」「日・コスタリカ」外相会談

【岩屋外務大臣】もう一つは、万博外交でございます。
 4月22日から27日まで、大阪・関西万博に参加するために、スイスからカシス外相、デンマークからラスムセン外相、コスタリカからはアンドレ外相が、それぞれ訪日の予定です。私(岩屋大臣)は、今週、これらの大臣と、それぞれ会談を行う予定でございます。
 スイスとは、昨年、国交樹立160周年を迎えました。デンマークからは、今回、フレデリック10世国王陛下が訪日されます。コスタリカとは、本年、国交樹立90周年を迎えております。
 いずれの国も、我が国にとって、価値や原則を共有する重要なパートナーでございます。会談を通じて、各国との二国間関係の強化を図ってまいりたいと思います。また、地域情勢や国際社会が直面する諸課題に関しても、協議をしたいと思っております。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

グラス次期駐日米国大使の大臣表敬

【読売新聞 上村記者】大臣、昨日、米国の新しく着任されたグラス大使と面会されました。面会された率直な御感想と、大使は指名公聴会で、日本に米側の駐留経費の負担増を求める方針を述べるなど、経済と安全保障の両面で、日本に対する要求にも言及しています。これらを踏まえて、どのような関係を構築して、どのように関係を深めていきたいか、を伺いをさせてください。

【岩屋外務大臣】昨日、今、お話がありましたように、グラス次期駐日米国大使の表敬を受けました。
 実は、グラス大使と私(岩屋大臣)は、2回目でございまして、1月に大統領就任式に参加をさせていただきましたが、その夜の祝賀のパーティーの席上で、グラス大使御夫妻とお目にかかりました。「もし、日本に赴任をする、着任をするということになれば、息子家族もいるし、とても楽しみにしているんだ」という、そのときお話をいただいたのですが、実現して、本当に嬉しく思います。非常に親しみやすい方で、今、申し上げましたが、御家族を非常に大事にされるとともに、人と人との信頼関係を重視される方であるという印象を受けました。
 その前は、ポルトガルの大使であられたということですけれども、大使館員からの信望も非常に厚かったと承っております。
 昨日の表敬では、米国による関税措置を含む現下の日米関係や、日米同盟の抑止力・対処力強化に向けた日米間の安全保障・防衛協力の取組についても、意見交換を行いました。
 引き続き、グラス次期大使に対して、安全保障、それから経済などについて、我が国の考え方や立場をしっかり伝えて、日米同盟の更なる強化、そして、日米の経済関係の更なる拡大・発展に向けて、緊密に連携、協力していきたいと考えております。
 安全保障分野については、最初の対談でございましたので、幅広い意見交換を行いましたが、それ以上の詳細については、外交上のやり取りでもございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、いわゆる同盟強靱化予算(HNS)、ホストネーション・サポートについては、これまで日米両政府の合意に基づいて、適切に分担されていると考えております。協定の終了は、再来年ということになっておりますので、基本的には、来年以降、しかるべきトラックでしっかり議論をさせていただきたいと、日本側の適切な負担の在り方について、不断に検討していきたいと考えております。

ヘグセス米国防長官の更迭報道

【共同通信 阪口記者】ヘグセス国防長官についてなんですけれども、ずさんな情報管理で批判を受けており、後任選びにホワイトハウスが着手したと米国のメディアが報じております。更迭について検討しているんではないかとされていますけれども、関税交渉が続いている中で、トランプ大統領が、今もありましたように、防衛負担について言及している中で、国防長官がもし変わった場合、日本の安全保障であったりとか、そういった交渉に与える影響については、どのようにお考えなのか、ちょっと伺えればと思います。お願いします。

【岩屋外務大臣】御指摘の報道は承知しておりますが、この段階で、その一つ一つについてお答えすることは差し控えたいと思います。
 日米同盟は、我が国の外交・安全保障政策の基軸です。我が国として主体的に、抑止力・対処力を強化するための取組を不断に検討して、引き続いて、防衛力の抜本的強化を着実に進めるとともに、同盟の抑止力・対処力の一層の強化のために、日米で緊密に連携していきたいと思っております。
 ヘグセス長官は先般、訪日されたばかりでもございますし、石破総理にも会っていただき、また、中谷大臣とも意思の疎通をしっかり図っていただいたばかりでございます。
 米側の動向は、注視していきたいと思いますけれども、日米間で、緊密に今後ともしっかり連携していきたいと考えているところでございます。

日本の対東南アジア外交

【朝日新聞 加藤記者】米国による関税措置の影響を受ける東南アジアとの外交についてお伺いします。中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が、東南アジア3か国への外遊を終えましたが、この間、石破首相は、マレーシアの首相と電話会談を行っています。また、中国は、インドネシアと初の「2+2」も行いましたが、高関税を打ち出すトランプ政権を念頭に、中国が東南アジアへの外交攻勢を強めているように見えるかなど、どう受け止めているか伺います。また、ベトナムやマレーシアなど、東南アジア諸国と、現下の情勢を踏まえて、日本は、どのような外交関係を築くことを目指すのか伺います。

【岩屋外務大臣】御指摘の中国の習近平主席の外遊や、また、王毅(おう・き)外相の活動などについては、我が国としても関心をもって注視しております。
 ただ、中国の動きがどうであるかということではなくて、我が国としては、世界の成長センターである東南アジアとの関係強化は、非常に重要だと考えております。「自由で開かれたインド太平洋」の礎・鍵・要でもございます。東南アジアは、日本外交の最優先事項の一つだと考えております。
 先般のマレーシア及びシンガポールとの首脳電話会談では、石破総理から、現下の情勢は東南アジア各国に進出して現地の経済に貢献している日本企業にも直接的な影響を及ぼすということを指摘された上で、東南アジア諸国の声にも、しっかり耳を傾けていきたいと、伝達していただいたと承知しております。
 引き続き、東南アジア諸国との間で、自由で開かれた、国際秩序及び多角的自由貿易体制の維持、そして、強化に向けて、首脳レベルはもとより、外相レベルを含めて、緊密に連携を図っていきたいと考えております。

中国・深圳における日本人学校児童殺害事件

【読売新聞 上村記者】中国の関係で伺います。深圳(しんせん)で、昨年9月に発生した日本人男児の殺害事件で、犯人の中国人の男の死刑が執行されたと承知しております。この執行日も含めて、中国政府から日本政府には、今のところどのような説明があったのかということと、事件の背景であったり動機であったりといった、事件の詳細について、判決内容以上の説明が、これまでにあったかどうか、死刑に対する受け止めてと併せてお伺いします。

【岩屋外務大臣】4月21日に、中国外交部から、在中国日本国大使館に対して、中国の深圳における事件について、故意殺人罪で死刑が確定していた鍾長春(しょう・ちょうしゅん)死刑囚に、刑を執行したとの連絡がありました。
 今回、中国側からは、刑が執行されたことについてのみ、通報があったところでございまして、刑の執行日等については、現在確認中でございます。
 日本政府としては、全く何の罪もない児童を殺害した犯行は、到底許されるものではないと考えておりまして、今回の刑の執行を厳粛に受け止めております。
 海外に渡航、あるいは滞在する邦人の安全・安心の確保は、政府の最も重要な責務の一つでございます。日本政府としては、今般の事件も踏まえつつ、今後とも、邦人の安全対策に万全を期すとともに、中国における邦人の安全確保を中国側に対して、引き続き、強く求めてまいりたいと思います。

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