記者会見
岩屋外務大臣臨時会見記録
(令和7年3月22日(土曜日)18時17分 於:東京)
冒頭発言
本日、日中韓外相会議に続きまして、日韓外相会談、日中外相会談及び日中ハイレベル経済対話を実施しました。
韓国のチョ・テヨル長官との会談及び昼食会では、世界情勢が激動の時代を迎える中で、日韓関係の良好な基調をこれからも維持・発展させていこうと、そして日韓米の連携を更に強化していくことが日韓双方にとっての戦略的利益であるとの認識を確認をしたところでございます。
また、北朝鮮への対応を含む地域情勢や国際情勢についても率直な意見交換を行いました。日韓・日韓米で緊密に連携していくことで一致を致しました。さらに、私からチョ長官に対して、拉致問題について、韓国政府の一貫した支持に改めて謝意を表明し、引き続いての協力をお願いしたところでございます。チョ長官との間では、これまで対面や電話の形で対話を積み重ねてまいりました。現在の戦略環境において日韓関係の重要性はいささかも変わっておりません。むしろ一層高まっていると認識しております。両国間で今後も緊密に意思疎通していきたいと思います。
それから中国の王毅部長との会談では、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていく、この歩みを確かなものとしていくことで一致しました。
その中で、グリーン経済や少子高齢化への対応をはじめ、幅広い分野において互恵的な実務協力を推進していくということを確認できたところです。また、一方で懸案を解決していく重要性を強調しました。具体的には、尖閣諸島を巡る情勢でありますとか東シナ海情勢、中国軍の活動の活発化、ブイの問題、邦人の拘束の問題、日本人の安心・安全、台湾や南シナ海、新疆ウイグル自治区等の状況といった課題や懸案につきましても、率直に我が国の考えや懸念を伝達し、中国側の対応を求めたところでもございます。
約6年ぶりに開催された日中ハイレベル経済対話では、協力案件の議論のみならず、課題や懸案の解決に向けた率直な議論を行いました。非常に活発な議論で時間も長引きましたが、実り多い議論だったと思います。こうした観点から、本日、王毅部長との間で、日本産水産物の輸入再開に向けた関連のプロセスの進展を確認できたことは有意義であったと思っております。
中韓両国とは、今後日中韓サミットの開催に向けしっかりと準備を進めてまいりたいと思います。
冒頭私からは以上です。
質疑応答
(記者)日本は議長国として日中韓外相会議に臨みましたが、大臣としてどのような成果を得られたとお考えでしょうか。加えて日中韓外相会議や、日中、日韓のバイ会談の場などにおいて、アメリカのトランプ政権について意見交換はしたのでしょうか。特にウクライナ戦争の停戦交渉や関税引き上げ措置による懸念についての言及はありましたでしょうか。
(大臣)午前中の共同記者発表で述べたとおり、今回の日中韓外相会議では、日中韓協力や地域・国際情勢について、大局的な観点から率直な意見交換を行って、3か国間で未来志向の協力を推進していくことを確認致しました。
その上で、日本で開催する日中韓サミットに向けて、相互理解の促進・暮らしを創り守るための協力・全世代による共通の課題解決、この3つの柱に沿って具体的な成果を得るため調整を加速することでも一致をみたところです。
次回の日中韓サミットについては、日本で主催するわけですから、なるべく早期で適切な時期の開催に向けて作業を加速することで一致しました。開催時期については調整が整った段階で発表したいと思います。
米国については、本日のいずれの会議や会談においても主たる話題とはなりませんでしたけれども、韓国との間では、引き続き日韓米でも緊密に連携していこうと、米国ともしっかりお互い意思疎通していうことで一致をみたところでございます。
(記者)先ほど冒頭お話のあった水産物に関して、中国側と輸入再開に向けた関連プロセスを確認したと仰いましたが、具体的にどういう内容だったのか、今禁輸になっている牛肉も含めて措置の緩和のメド、時期など具体的な今後の進め方を伺えますか。加えて、石破総理の年内の訪中は今回の外相会談でみえたのか、また先ほどサミットの開催時期について言及ありましたけれど、念頭においている具体的な時期、大体の目安を教えていただけますか。また、一昨日、元自衛隊の統幕長が台湾総督府(発言のママ)の顧問になられたという報道がありまして、台湾を巡っては日米首脳会談で台湾を巡る表記について中国側が抗議をしているということもありました。今回外相会談でこういった台湾の問題をめぐって王毅さんとどのようなやりとりがあったのか、教えていただけますか。
(大臣)まず、日本産水産物の輸入規制については、昨年9月に発表した日中間の共有された認識が着実に履行されていることを共に評価した上で、輸入再開に向けた関連の協議を推進していくことで一致をし、プロセスの進展を確認できたところです。また、牛肉・精米を含む日本産農産物の対中輸出の再開拡大については、私から、早期に解決できるものから優先的に解決していくことが大事だということをお話して、早期の再開あるいは拡大を求めたところです。
それから石破総理の訪中を含め今後のハイレベルの往来については現段階で決まったものはございませんが、これもですね、よく両国間で調整をしていきたいと思います。
そして、日中韓サミットの時期ですが、できるだけ早期にとは考えております。日本が今年議長国ですから年内に開催しなければということですが、調整を加速させたいと思っています。それから韓国の政情の安定も待たなければいけないということもありますので、三カ国で調整していきたいと思っております。
それから台湾についてですが、今般の元統幕長が台湾行政院の顧問に就任したということについては、先方から提起がありましたが、私からはこれについて政府が関与したものではない旨を説明したところでございます。
(記者)一番最後の点で、元統幕長について中国側から提起されたとのお話がありましたが、具体的にどのような提起があったのかお訊ねできますか。
(大臣)それは外交上のやりとりですから控えさせていただきたいと思いますが、提起に対して私から日本政府として関与したものではないということを申し述べたところです。