記者会見
岩屋外務大臣会見記録
(令和7年3月7日(金曜日)13時27分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)日英経済版2+2閣僚会合、日英外相会談の開催
【岩屋外務大臣】今日は、参議院の予算委員会がありまして、片道方式で、なかなか時間が正確に読めないものですから、もしかすると途中で切り上げることになるかもしれませんが、御理解をいただきたいと思います。
冒頭、二つ御報告がございます。
まず、本日、日英の外務・経済閣僚が集う初めての日英経済版2+2の会合を開催いたします。
日英両国は、共に国際社会の平和と安定に責任を有する重要なパートナーです。
今回の会合では、経済安全保障、自由で開かれた国際貿易の推進、エネルギー安全保障といったテーマや、グローバル・サウスを含む第三国との連携について議論する予定です。
また、それに先立ちまして、ラミー大臣と日英外相会談を行う予定です。
(2)岩屋大臣のG7外相会合への出席
【岩屋外務大臣】もう一つは、G7の外相会合についてです。
諸般の事情が許せば、3月12日から14日まで、G7外相会合に出席するため、カナダのシャルルボワを訪問する予定です。
この1か月の間にも、国際情勢は目まぐるしく変化しています。このような中で、国際社会の諸課題に関して、G7がしっかりと連携を維持・強化していくことが大切だと考えております。
そのために、来るG7外相会合では、3日間にわたって、ウクライナ、中東情勢、インド太平洋情勢を含む国際社会の喫緊の課題について、率直に意見交換を行う予定でございます。また、この機会に、個人的な信頼関係も更に深めていきたいと思っています。
冒頭、私(岩屋大臣)からは、以上です。
日英関係(日英経済版2+2等)
【朝日新聞 里見記者】冒頭に触れられました日英の経済版2+2についてお尋ねしたいんですけれども、今回のこういった2+2、これ日英では、経済面だけじゃなくてGCAPとか安全保障面でも、これまで、ここ数年協力を強めております。国際環境が激動と言われる中で、今後、英国との関係、これ、戦略的にどのような二国間関係を目指していきたいかというのをお尋ねできたらと思います。
【岩屋外務大臣】今回初開催になりますこの経済版の2+2では、四つのテーマを中心に議論する予定で、一つは、経済安全保障、自由で開かれた国際貿易の推進、エネルギー安全保障、そしてグローバル・サウスを含む第三国との連携ということですが、今、お触れになった、当然、安全保障上の協力についても、これは外務大臣・防衛大臣の2+2ではありませんが、当然話題に出てくることもあろうかと思っております。
いずれにしても、国際情勢・国際秩序が非常に揺れ動いている中でありますから、自由で公正なルールに基づく経済秩序、あるいは、もっと広範な世界秩序の維持・強化に向けて、日英が連携して取り組んでいくということで、ぜひ認識をしっかり一致させたいと考えているところでございます。
日米安保条約(トランプ米国大統領の発言)
【共同通信 阪口記者】トランプ大統領の発言についてお尋ねします。トランプ大統領、ホワイトハウスで記者団に対して、日米安保条約が片務的だとして、御不満を示されました。今後、日本に対して、防衛費の増額を迫る理由にする可能性があると考えられますけれども、どのように対応されるか、お考えか、お尋ねします。先月の日米の首脳共同声明に反するのではないかなというふうにも見られると思いますけど、この点についてはいかがでしょうか。
併せて、ルビオ国務長官との外務大臣会談を含めて、米国側から片務的だとするような発言があったのかどうか、事実確認させてください。よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】トランプ大統領の御発言は報道で承知しておりますが、日米同盟は、我が国の外交・安全保障の政策の基軸でございまして、さきの日米首脳会談においても、この強固な日米同盟というのは、私(岩屋大臣)は再確認されたというふうに受け止めております。
それから、防衛費については、石破総理が、再三、国会でもお答えしておりますとおり、これはあくまでも我が国が自主的に決めるものでございます。また、その際に大事なのは、言うまでもなく、金額や割合ではなくて、中身であるというふうに考えておりまして、私(岩屋大臣)どもとしては、国家安全保障戦略などに基づいて、防衛力の抜本的な強化を着実に進めていきたいと考えているところです。
それから、さきの首脳会談を含む累次の機会に、米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて、日米安保上の義務を果たすということが、また再確認されておりますが、そのことに私(岩屋大臣)どもは信頼を置いていることでございます。
また、平和安全法制によりまして、日米同盟関係というのは、お互いに助け合うことのできる同盟というふうに、その絆を一層強くしてきているというふうに思いますし、そのことによって、同盟の抑止力は、大きく向上してきていると考えております。一層、同盟の抑止力、対処力を強化するための取組を不断に検討し、進めていきたいと考えております。
また、ルビオ国務長官との間では、まさに今、私(岩屋大臣)が申し上げた、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していこうということで、認識を一致させているところでございます。
日本産水産物の輸入規制撤廃
【毎日新聞 金記者】昨日、自民党の水産総合調査会長、水産部会長らが、日本産水産物の輸入規制撤廃に向けた外交努力に関する決議を大臣に申し入れました。決議では、とりわけ中国について、日中間のハイレベルの往来の機会を最大限活用する外交努力の一層の強化を求めています。近く日中韓外相会合の開催に合わせて、王毅(おう・き)外交部長が訪日するということも取り沙汰されておりますが、大臣としては、これらの機会を活用して、どのような働きかけを行いたいとお考えでしょうか、よろしくお願いします。
【岩屋外務大臣】御指摘のように、昨日、小泉自民党水産総合調査会長、また、鈴木水産部会長らが決議をお持ちになりまして、しっかりと承ったところでございます。ALPS処理水の海洋放出を受けまして、中国だけではなくて、を始めとする一部の国・地域が日本産水産物の輸入規制を続けております。この状況は、大変遺憾に思っておりまして、私(岩屋大臣)も昨日の決議をしっかりと受け止めて、輸入規制の解消に向けて努力していきたいという決意を新たにしたところでございます。
中国との間では、昨年9月の日中両政府による発表を踏まえまして、昨年11月の日中首脳会談、それから12月の日中外相会談を含めて、中国側に対して、輸入再開を早期に実現してほしいということを求めてきておりまして、今後とも、あらゆる機会を捉えて、その働きかけしていきたいと思います。
したがって、日中韓外相会合、あるいはその際の日中外相会談等を実現すれば、ぜひ実現させたいと思っておりますが、しっかりと、また申入れを行っていきたいと考えております。
核兵器禁止条約
【中国新聞 宮野記者】国連本部で開会中の核兵器禁止条約締約国会議では、核抑止の不確実性や危険性が議論に上がっています。加盟国は、核抑止が常に機能するとは限らず、仮に爆発した場合、全ての人類を破滅の危険にさらすと訴えています。こうした訴えに対して、日本政府はどのように向き合っていくか、お伺いできますでしょうか。
【岩屋外務大臣】今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しいと言っていい状況にあると思います。
また、世界には1万を超える核弾頭があり、すぐさま使えるものが4,000発以上あると、我が国周辺においては、誠に遺憾なことではありますが、むしろ核軍拡が進んでいるという状況の中にあって、やはり、拡大抑止というものは、我が国の平和を守り、国民を守るという観点から、不可欠なものだと考えております。
核禁条約の締約国並びに参加者の皆さんの御努力には敬意を表したいと思いますけれども、我が国としては、やはり、より現実的な取組をNPTという体制の下で、着実にしっかり、進めていきたいと考えているところです。
核の拡大抑止
【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
日本は「核の傘」の名の下に、核兵器や核抑止力に依存しています。このような保護が世界、特にアラブ地域に広がり、アラブ諸国もイスラエルからの保護を核抑止力や核兵器に依存できるようになるべきだとお考えですか?
【岩屋外務大臣】NPT体制と先ほど申し上げましたが、その目的は、まず、核軍縮、それから核不拡散、もう一つは原子力の平和利用でありますけれども、それは、やはり、核兵器というものが広がっていかない。また、今ある核兵器というものが、軍縮によって減っていくということを、あくまでも目標にして、私(岩屋大臣)どもも現実的な努力を積み重ねていきたいと思っておりますので、核兵器に依存しなければならない、というような国が増えていかないようにすることが望ましいと、そこを目指していかなければならないと思っております。
その上で、各国の安全保障政策は、それぞれ置かれた安全保障環境が違いますので、そこは、それぞれの国において適切に判断されるべきものだと思っております。
中東地域に関しては、我が国は1995年のNPT運用検討会議において採択された、「中東における被大量破壊兵器地帯の創設を求める決議」、これは、一貫して支持してきているところでございます。
ウクライナ有志連合
【日経新聞 馬場記者】停戦後のウクライナの安全を保障する有志国について、20か国ほどが関心を示しているとの報道がありました。日本はこれに入っているのでしょうか。また、現下のウクライナ情勢で、こうした英国主導の枠組みができることの意義をお伺いします。
【岩屋外務大臣】ウクライナについては、まだ国際社会における議論が進行中であって、現時点において、個別具体的な枠組みについて、いろいろな報道がありますけれども、その一つ一つについてコメントすることは控えたいと思います。
ただ、我が国は、これからもウクライナをしっかり支援してまいります。
今行われている米国、あるいは欧州を含む各国の外交努力が、国際社会の結束の下で、この戦闘を終結させ、そして、一日も早く、ウクライナに永続的な平和が実現するように、我が国も、引き続き、G7各国や関係国と連携して、ウクライナに対する支援を継続していきたいと思っておりますし、特に、やがての復旧・復興については、しっかり役割を果たしていきたいと考えています。