記者会見

岩屋外務大臣臨時会見記録

(令和6年10月9日(水曜日)19時42分 於:本省大臣接見室)

冒頭発言

(日中電話外相会談)

 まず日中電話外相会談について申し上げます。
 先刻、中国の王毅外交部長と初の電話会談を行いました。同部長とは、まず、日中両国が戦略的互恵関係を包括的に推進をして、建設的かつ安定的な関係を構築するという大きな方向性を共有していることを確認をしたところでございます。本日の電話会談は、この大きな方向性に沿って日中関係を進めていくことを外相間で確認する、重要なスタートになったと思っております。
 また、私から課題や懸案も取り上げました。ALPS処理水の海洋放出と日本産水産物の輸入規制については、先般の両政府の発表を共に評価し、その上で私から、日本産水産物の輸入回復の早期実現を求めたところでございます。
 また、東シナ海情勢や中国の最近の軍事活動といった懸案につきましても、深刻な懸念を改めて伝えました。特に8月の領空侵犯について十分な説明を求めたところでございます。台湾につきましては、最近の軍事情勢を含む動向を注視しているということを申し述べた上で、台湾海峡の平和と安定の重要性についても改めて強調したところでございます。
 それから、邦人拘束事案や更には深センでの事件により、中国在留邦人の不安がとても高まっていることを指摘しました。その上で、深センでの事件につきましては、一刻も早い事実解明を求めるとともに、再発防止のあり方について意思疎通を行っていくこととしました。
 また、日中両国の協力の可能性ですね、これについても議論しました。それを具体化していくための協議を今後しっかりと重ねていきたいと思います。いずれにしましても、日中間においてはハイレベルの対話をしっかり積み重ねていくことが重要でございまして、今後も王毅部長と率直な対話を引き続き行っていきたいと考えております。

(日イスラエル外相電話会談)

 王毅部長との電話会談の後にですね、イスラエルのカッツ外相とも、初めての電話会談を行いました。
 私から、今般のイランによるイスラエルに対する攻撃を含む中東情勢の悪化について、我が国として深く懸念していること、そして、このようなエスカレーションを強く非難しているということを申し述べました。また、外交的解決のためにイスラエルとヒズボッラーの間の即時停戦が重要だということを伝えたところでございます。
 事態の更なるエスカレーションは、地域や国際社会全体の利益にならない、これ以上地域における緊張を高めることがないようにあらゆる外交努力がなされるべきであるということを強調し、イスラエルに対しても自制を強く求めました。当然イランに対しても自制を求めていかなければならないと思っております。
 それからガザの情勢についてですが、人質の解放と人道状況の改善につながるように、停戦の実現、そして事態の早期沈静化が必要であるということを申し上げました。危機的な人道状況を深く我が国として憂慮しているということを申し述べ、人道支援活動の強化に向けた最大限の協力を求めたところでございます。引き続き、我が国としては全ての関係者に対して粘り強く働きかけていきたい、というふうに思っております。私からは以上です。

質疑応答

(記者)まず日中電話外相会談について伺います。深圳での日本人の児童が亡くなった事件について、冒頭でもお話がありましたが、王毅外相から被疑者の動機について何か言及は王毅外相からありましたでしょうか。また、日本が求めているSNSの反日的な投稿、これに対する取り締まりについて、先方からどのような反応があったか教えてください。

(大臣)私からですね、深圳の事件によって、中国在留邦人の不安がとても高まっている、それから日本企業の関係者の皆さんの不安も高まっているということを指摘し、一刻も早い事実解明を改めて求めたところですが、今日の段階では王毅外相からは詳しい説明があった訳ではありませんが、王毅部長の発言からは、これまでの中国側の発表の範囲内ではあったんですけれども、再発防止のあり方についてしっかり意思疎通を行っていくということについては、共通の認識に立つことができたと思っております。引き続いて、中国側にですね、事実の解明と再発防止をしっかり求めていきたいと思っております。

(記者)今後の日中外相間の相互訪問について、会談で話題にのぼりましたでしょうか。大臣の訪中に関する見解もあわせてお願いします。

(大臣)明日はASEANの会合で日中首脳会談が行われる予定だと承知をしております。今日、私は王毅外交部長と電話で会談しましたが、日中間しっかり対話を行っていくことが大切だと思っていますので、今後はお互い行ったり来たりすることが大事だと思っております。まだ日程について現時点で決まっているわけではない、調整ができているわけではありませんが、直接お目にかかってしっかり対話を重ねていきたいと思っております。

(記者)最後に、イスラエルとの外相電話会談についてお訊ねします。冒頭でもお話ありましたが、イスラエルはパレスチナ自治区ガザやレバノンへの攻撃を続けています。イスラエルによるイランへの反撃というのも検討される中で、日本としてどのような立場を伝えたのかというのも改めて教えてください。

(大臣)先ほど申し上げたとおりですが、私から、今般のイランによるイスラエルに対する攻撃を含む中東情勢の悪化について、我が国として深く懸念しているということを伝えましたし、このようなエスカレーションを強く非難しているということを申し上げました。外交的解決のためにはイスラエルとヒズボッラーの間の即時停戦が重要だというふうに思っております。これ以上のエスカレーションは、地域や国際社会の利益になりませんし、エスカレーションさせないために、全ての関係者に対してあらゆる外交努力がなされるべきであるというふうに思います。その意味でイスラエルに対しも自制を強く求めたところでございます。ガザ情勢については、人質の解放と人道状況の改善につながるように、停戦の早期実現が必要であること、そして事態の早期沈静化の必要であるということを強調いたしました。危機的な人道状況が早く終わるように日本としても最大限の努力を続けていきたいと思っております。

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