記者会見

北村外務報道官会見記録

(令和6年7月31日(水曜日)15時46分 於:本省会見室)

冒頭発言

外交専門誌『外交』86号の発売
【北村外務報道官】冒頭、私(北村外務報道官)の方から、1点、外交専門誌『外交』についてご紹介します。本日、『外交』の86号が発売されました。
 特集では、「欧州は国際秩序に担えるか」と題し、ヨーロッパを取り上げています。欧州議会選挙、あるいは英国、フランスの選挙、そして、NATO首脳会合、そういうものも踏まえ、欧州の政治動向、対外政策、今後の国際秩序についての考察を掲載しているところです。また、パケ駐日EU大使の、日・EU関係についてのインタビューも掲載しています。
 続く第2特集として、「FOCUS」というページがありますが、そこでは、インドを取り上げまして、6月4日に終了したインド総選挙を踏まえて、インド及び地域情勢に関する分析を掲載しているところです。
 近くまた、Kindle等でも、オンライン販売を予定していますので、御関心のある方は御活用いただければと思います。
 私(北村外務報道官)の方からは以上です。

ハマス政治局長の殺害

【時事通信 村上記者】中東情勢についてお伺いします。本日、パレスチナのイスラム組織ハマスは、最高指導者のハニーヤ氏が、テヘランで、イスラエルの攻撃によって殺害されたと発表しました。ガザでの戦闘や、中東情勢の悪影響は避けられないとの見方もありますが、外務省としての受け止めをお伺いします。

【北村外務報道官】今、御指摘の事案について、報道は承知しています。外務省として、事実関係を確認中です。
その上で、現時点で、断定的なことを申し上げることは差し控えたいと思いますが、重要なことは、攻撃の応酬を回避し、事態を沈静化させることです。
日本としては、全ての当事者に対し、更なるエスカレーションを回避するよう、強く求める次第です。我が国としても、あらゆる外交努力を行う考えです。

レバノン首都への空爆(邦人保護)

【毎日新聞 小田中記者】やや関連しますが、イスラエルによるベイルート近郊への空爆の関係でお伺いします。邦人保護の観点からお伺いします。イスラエル軍が、攻撃を発表したわけですが、現時点で、レバノン、また、イスラエルの在留邦人の人数や状況等について把握している情報があれば教えてください。また、外務省は、スポット情報発出していて、商用機が動いている間の退避ですとかの検討等を求めているわけですが、邦人保護の観点で、自衛隊機の派遣等についても、議論になり得るとは思うのですが、自衛隊機を派遣する場合には、邦人保護の輸送等についての準備行為の要請を、外務大臣から防衛大臣に行うわけですが、現在の検討状況についてお伺いできますでしょうか。

【北村外務報道官】御指摘の事案は、午前中の官房長官会見でもお答えしているかと思いますけれども、日本政府としては、重大な関心と懸念を持って、現地の情勢を注視しており、更なる事態の悪化・エスカレーションを防ぐために、各国と緊密に連携しながら、外交努力を尽くしてまいりたいと考えています。
 その上で、在留邦人に関しての御質問ですが、レバノン及びイスラエルにおける在留邦人の数、これは、それぞれ約60人、そして約1,000人です。現時点までに、邦人の生命、身体等に被害が及んでいるという情報には接していないところです。
 政府としては、昨30日ですが、今、御指摘がありましたように、レバノン及びイスラエルにおいて、スポット情報を発出し、渡航の中止、あるいは、定期商用便が運行されている間の早期出国、これを呼びかけるなどの注意喚起を行っているところです。
 引き続き、現地の在留邦人とも連絡を取り合うなどをしながら、いかなる事態にも対応できるよう、邦人の安全に万全を期してまいりたいと考えているところです。

鈴木宗男議員の訪露

【北海道新聞 今井記者】北方領土の墓参の関係でお伺いします。ロシアを訪問中の鈴木宗男参議院議員が、30日に、ロシア外務省のガルージン外務次官らとの会談後に、墓参に関する日露間の合意について、合意は破棄されたとロシア側から説明があったと発言がありました。ロシア政府は、これまで墓参の合意については「有効」で、墓参の枠組みも残っているという説明だったと思うんですけど、日本外務省として、墓参の合意が有効であるという認識は変わらないのか。また、ロシア側から、墓参の合意は破棄するといった、そういったことを伝えられたのかどうか、教えてください。

【北村外務報道官】まず、鈴木宗男参議院議員のロシア訪問に関しては、その詳細の一つ一つにつき、政府として、コメントする立場にはありません。
 その上で申し上げますと、政府としては、北方墓参の再開を日露関係の最優先事項の一つと位置づけています。ハイレベルも含め、様々なレベルで、ロシア側への働きかけを続けてきています。
 こうしたやり取りにおきまして、北方墓参の枠組み、これは維持されており、破棄されていないことは確認が取れております。しかしながら、現時点においては、ロシア側から再開に向けた肯定的な反応は得られていないところです。
 政府としては、御高齢になられた元島民の方々の切実なるお気持ち、これに何とか応えたいという強い思いを持っておりまして、ロシア側に対し、今は特に、北方墓参、これに重点を置いた形での事業の再開を、引き続き、強く求めていきたいと考えているところです。

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