記者会見

上川外務大臣会見記録

(令和6年7月4日(木曜日)17時26分 於:本省会見室)

(動画)上川外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1)在沖縄米兵による事件

【上川外務大臣】私(上川大臣)から2件ございます。
 まず、1件目であります。
 昨日、沖縄県の玉城知事から、今般の事案に関する抗議を受け、米軍人による事件・事故についての県への通報の徹底、再発防止策の策定、米側の綱紀粛正制度の改善、米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム、CWTの開催等につきまして、御要請をいただきました。
また、外務省と地元との間の重要な拠点となっている、外務省沖縄事務所と沖縄県との連携強化等につきましても要請をいただくなど、沖縄県との連携・協力の重要性を再認識いたしました。
 今般の事案の発生を極めて遺憾に受け止めており、被害に遭われた方を思うと、心が痛みます。私(上川大臣)は、現在、外務大臣として女性、そして平和、安全保障、いわゆるWPSを推進しておりますが、その理念は、女性の人権・尊厳を守ることを中心的な課題とし、紛争・災害下における性的暴力や軍関係者による性的暴力・犯罪の防止、撲滅、そして加害者の責任追及と処罰を重視しているところであります。そうした理念に基づき取組を推進している中におきまして、今回の事案が起きたことは、個人的にも耐えがたく思っているところでございます。
 外務省として、米側に対し、具体策も含め、事件・事故防止の徹底を求めてまいりますが、それとともに、昨日、玉城知事から御要請いただきました事項につきましても、どのような対応ができるか検討してまいります。
 地元における犯罪対策や、住民の皆様の不安に向き合っておられるのは地方自治体であります。そういった観点から、情報共有の在り方につきまして、更なる工夫や改善ができないかと考えております。
 特に、今後の重大事件に関する地元自治体への情報共有の在り方につきましては、在日米軍施設・区域を多く抱える沖縄の方々の御不安と御心配を踏まえ、被害者のプライバシーや調査への影響等を踏まえつつ、外務省としても、関係省庁とともに、しっかり検討しているところでございます。近く、政府として発表できるよう、調整を急いでおりまして、こうした点につきまして、先ほど、林官房長官とも相談をいたしました。
 また、外務省として、WPSの観点から、性的暴力・犯罪の防止についての取組をいかに強化することができるのか、検討してまいりたいと思っております。
米軍人等によります事件・事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものでありまして、あってはならないものでございます。外務省として、本件につきまして、しっかり対応してまいりたいと考えております。

(2)ジャーベルUAE産業・先端技術大臣兼日本担当特使との会談

【上川外務大臣】続きまして、2件目であります。
 本日、訪日中のスルタン・アル・ジャーベル・アラブ首長国連邦、産業・先端技術大臣兼日本担当特使と会談を行いました。
 ジャーベル大臣は、私(上川大臣)が昨年9月に、外務大臣に就任して、初めて東京にお迎えをした大臣です。UAEは、中東地域の平和と安定のために重要な役割を果たす国であり、UAEとの協力関係は、従来のエネルギー分野を始めとし、更にそれを超え、今や脱炭素、先端技術、教育、文化、観光、宇宙、防衛等幅広い分野に拡大しています。日本として、戦略的パートナーでありますUAEとの関係を非常に重視しております。
 本日の会談におきましては、ジャーベル大臣との間におきまして、「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ、CSPI」の下、様々な分野での協力関係を更に強化していくことを確認いたしました。
 また、ジャーベル大臣との間では、本年のしかるべき時期に、CSPI第2回閣僚級会合を行うことで一致したほか、国際原油市場の安定化のための連携及び二国間の経済関係強化の在り方についても、非常に有意義な意見交換を行ったところであります。
 今回の会談も踏まえまして、UAEとの包括的・戦略的パートナーシップを更に強化してまいりたいと考えております。
 私(上川大臣)からは以上です。

上川大臣のカンボジア・フィリピン訪問

【共同通信 西山記者】明日から、大臣、カンボジア、フィリピンを訪問されると思いますが、その意気込みについて、お聞かせください。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】7月5日から9日まででありますが、大臣就任以来初めてとなります、カンボジア及びフィリピン、これを訪問いたします。
 今回の訪問でありますが、両国との真の友人としての信頼関係、これを深化させるとともに、具体的な協力を進展させていきたいと考えておりまして、これを確認する機会としてまいりたいと思っております。
 カンボジアにおきましては、フン・マネット政権との関係を強化するとともに、長年の協力とカンボジアの発展の現状、これを踏まえまして、両国間協力の新たなアプローチ、これを打ち出したいと考えております。
 また、同国との地雷対策分野におきましての長年の協力、これを踏まえまして、今回のカンボジア訪問の機会に、今後の地雷対策支援の方向性、これを示してまいりたいと考えております。
 フィリピンにおきましては、外務・防衛閣僚会合「2+2」が開催されます。安全保障・防衛協力の一層の強化、これを確認するとともに、日・フィリピン外相会談等を通じまして、幅広い分野で、二国間関係を更に進化させてまいりたいと考えております。

在沖縄米兵による事件(通報判断)

【読売新聞 上村記者】沖縄県の米軍人による事件についてお伺いします。大臣、冒頭おっしゃったように、情報共有の在り方なんですけれども、情報共有に関しては、日米の間では、通報手続が定められていることは承知しておりますが、今回のケースのように、日本の捜査機関が、既に事件を覚知していた場合には、その情報共有の在り方というのは、判断というのは捜査機関の問題ではないかと思われるわけですが、この点の外務省としての御見解お聞かせください。併せて、今後は、捜査機関が公表していない事件についても、外務省の判断として、沖縄県や地元自治体に通知する可能性があるのかという点についてもお聞かせください。

【上川外務大臣】捜査当局におきましては、従来から対外的な事件広報にあたりましては、刑事訴訟法第47条の趣旨を踏まえまして、個別の事案ごとに、公益上の必要性とともに関係者の名誉、そして、プライバシーへの影響、将来のものを含めました捜査、公判への影響の有無、更に、程度などを判断した上で、公表するか否か、また、その程度及び方法を慎重に判断しているものと承知しております。
 本件におきましても、犯罪の重大性を考慮する一方で、この認知の時点におきまして、公になっていなかったところ、性犯罪であることから、これが公になることによりまして、被害者の名誉、プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得ることなどを考慮して、公表するか否かを判断したものと承知しております。  外務省として、これらの捜査当局の判断を踏まえまして、今般の対応をしたところでございます。
 今後につきましても、外務省としては、捜査当局の判断を踏まえつつ、対応していくことになろうかと思っております。

在沖縄米兵による事件(関係省庁との相談)

【朝日新聞 松山記者】同じく米兵の事件で、情報共有の在り方についてお伺いします。今、大臣、先ほど、冒頭発言でも、今後、関係省庁との情報共有の在り方というのは、御検討されていくというふうに御発言ありましたけれども、早急にというふうにおっしゃっておりましたが、大体いつぐらいまでを目途にということが、もし具体的にあれば教えていただきたいのと、どういう方向性で、今後、改善していくのかということも、併せて、あればお願いいたします。

【上川外務大臣】今後の重大事件に関します地元自治体への情報共有の在り方につきましての御質問でございますが、在日米軍施設・区域を多く抱える沖縄の方々の御不安と御心配を踏まえまして、被害者のプライバシーや捜査への影響等を踏まえつつ、外務省としても、関係省庁と共に、しっかり検討しているところでございます。近く政府として発表できるよう調整を急いでおりまして、こうした点につきまして、先ほど、林官房長官とも御相談をいたしました。
 具体的な内容及び時期ということでの御質問でありますが、現時点におきまして、予断を持ってお答えすることについては、差し控えさせていただきますが、近く政府として発表することができるよう、調整を急いでいるところでございます。

在沖縄米兵による事件(ワーキング・チーム)

【NHK 五十嵐記者】同じく米兵の関連で伺います。沖縄県の玉城知事が、昨日、大臣に要望された後のぶら下がり取材で、米国軍による事件や事故の防止策を日米双方が話し合うワーキング・チーム、CWT、これを早期に再開するよう求めたと明らかにしています。これについて、冒頭、大臣、御紹介されてましたけれども、今後、外務省としてどう対応するのか伺います。

【上川外務大臣】昨日、沖縄県の玉城知事と面会をいたした際に、やり取りの中におきまして、御指摘のような米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム、CWTでありますが、この早期開催のご要請をいただいたところであります。
 外務省といたしましては、米側に対しまして、具体策も含めまして、事件・事故防止の徹底を求めていくとともに、このCWTの開催を含みます沖縄県からのご要請につきましては、対応を検討してまいりたいと考えております。

在沖縄米兵による事件(米国の対策)

【共同通信 西山記者】重ねて沖縄の事件について伺います。大臣、冒頭、ご指摘のあったように、米国側の再発防止策、これがちょっと現状、今、見えていない状態ですけれども、外務省に入っている情報がありましたら、教えてください。

【上川外務大臣】まず、本件につきまして、米側も、深い懸念を持っておりまして、皆様に御心配をおかけしていることにつきましては、遺憾に思っており、引き続き、地元当局の捜査、そして裁判、これに全面的に協力していく旨述べたものと承知しております。
 この、日米間のやり取りの詳細につきましては、差し控えさせていただきたいと思いますが、外務省といたしましては、米側に対しまして、WPSの観点を十分に踏まえた具体的な対応策も含めまして、事件・事故防止の徹底を求めてまいります。それとともに、昨日、玉城知事から御要請いただきました事項につきましても、どのような対応ができるのか検討してまいりたいと考えております。

旧優生保護法に関する最高裁判決

【時事通信 村上記者】話題変わります。旧優生保護法に関する最高裁の判決についてお伺いします。最高裁は、昨日、障害などを理由とした強制不妊手術を認めていた旧優生保護法が違憲だったとして、国に賠償を命じる判決をしました。被害者への補償については、政府が、国連の障害者権利委員会などから、度々勧告を受けておりましたが、今回の判決について、大臣として、どのように受け止められているかお伺いします。

【上川外務大臣】2022年(令和4年)の8月に行われました、我が国の第1回政府報告審査に関します障害者権利委員会によります総括所見には、旧優生保護法に関する見解や、また、勧告が組まれているものと承知しております。
 昨日の最高裁判決につきましては、岸田総理が、「判決内容を精査した上で、国会とも御相談をしながら、新たな補償の在り方について、可能な限り早急に結論を得られるよう、加藤大臣、小泉大臣に対しまして、検討の指示を依頼したところである。」と述べているものと承知しております。
 いずれにいたしましても、総括所見は、法的拘束力を有するものではございませんが、勧告等につきましては、関係府省庁におきまして、内容を十分に検討していくものと承知しております。

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