記者会見
上川外務大臣臨時会見記録
(令和6年1月12日(金曜日)15時47分 於:米国(ワシントンD.C.))
冒頭発言
【上川外務大臣】先ほど、ブリンケン米国国務長官との日米外相会談を行いました。冒頭、ブリンケン長官から、能登半島地震や羽田空港における事故によって命を失った方々やご家族に対する哀悼の意を表する発言があり、私(大臣)から温かいお見舞いのメッセージへの謝意を述べたところであります。
外相会談では、主に以下の点につきまして、ブリンケン長官と率直な意見交換を行いました。
まず、グローバルなパートナーシップとなっている日米関係について、これを一層強化をし、G7広島サミットでも確認したとおり、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するとともに、一人一人の「人間の尊厳」が守られる世界を確保すべく、連携して取り組んでいくことで一致しました。そして、本年早期の岸田総理大臣の国賓待遇での米国公式訪問の成功に向け、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。そして、本年早期の岸田総理大臣の国賓待遇での米国公式訪問の成功に向け、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致をいたしました。
日米安全保障協力につきましては、私から、同盟国・同志国間協力が深化している旨述べ、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に向けた取組を進めていくことで一致いたしました。また、私から、昨年11月末に発生したオスプレイ墜落事故について、亡くなられた8名の方々に対し、改めて心より哀悼の誠を捧げ、生前の日米同盟への献身への感謝を述べました。
次に申し上げる地域情勢についても意見交換を行いました。
まず、中国をめぐる諸課題への対応に当たりましては、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致をいたしました。さらに、ブリンケン長官と、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促しました。また、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応について、引き続き日米、日米韓で緊密に連携していくことで一致をいたしました。
中東情勢については、私から、人質の解放や人道状況の改善、事態の沈静化に向けた米国のたゆまぬ努力に敬意を表し、ブリンケン長官と引き続き緊密に連携していくことで一致をいたしました。さらに、ブリンケン長官とは今回の衝突が中東地域に波及することを防ぐために外交努力を継続していくことで一致しました。
ロシアによるウクライナ侵略については、私から、7日のウクライナ訪問の結果を説明しつつ、G7を中心とする同志国の結束とウクライナへの連帯を示していくべきであること、そのために来月に東京で開催する日ウクライナ経済復興推進会議、これを含めまして、我が国として率先して取り組んでいることを伝え、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続していくことで一致いたしました。
ワシントンDCでは、この日米外相会談に加え、サリバン国家安全保障担当大統領補佐官との面会やレモンド商務長官との会談を行いました。また、米国連邦下院議員とのWPSに関する意見交換も行いました。私からWPSを更なる高みに引き上げるべく、各国関係者と対話を重ねていること、今回の欧州訪問でもウクライナの女性や子供たちの話を直接伺い、具体的な取組を行っていく決意を新たにしたこと等を述べ、今後もWPSに関し協力していくことで一致いたしました。こうした日本の取組と各国との連携をさらに力強く、総合的に進めていくため、近く外務省において「WPS担当大使」を任命する考えです。
私からは以上です。
質疑応答
【記者】本日の日米外相会談では日米同盟の深化に加え、今年早期の岸田首相の公式訪米について緊密な連携で一致されたということで、岸田首相の公式訪米の時期、バイデン大統領との首脳会談で取り上げる議題などについて、今回の上川大臣の訪米により具体的になった点を伺います。
【上川外務大臣】今回の訪米では、ブリンケン国務長官との会談やサリバン国家安全保障担当大統領補佐官との面会で、本年早期の岸田総理大臣の国賓待遇での米国公式訪問について意見交換を行い、同訪問の成功に向けて、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。
国際社会が様々な課題に直面する今こそ、日米の固い結束が重要である。そして総理の米国公式訪問は、日米両国間の緊密な連携を、あらゆる分野でより一層深める上で、非常に価値ある機会となるものと確信しています。その上で、具体的な時期や行事等、詳細については現在調整を行っているところであり、正式に決まり次第、発表したいと思います。
【記者】今年最初の外遊ということで、今年を展望する質問をさせていただきます。今年はG20議長国がブラジル、APEC議長国はペルーと、「南米イヤー」になります。その他、インドネシアやインドなどのグローバルサウスの一部では重要選挙も控えております。今回の日米外相会談で、こうしたグローバルサウスとの関係強化については、ブリンケン国務長官とはどのような議論がありましたでしょうか。また、昨年日本はG7議長国としてグローバルサウスとの連携強化に尽力された大臣として、今年はどのような姿勢で関係強化に臨むかもあわせてお聞かせ下さい。
【上川外務大臣】今、世界のパワーバランスが大変変化をしている状況であります。国際社会の中の多様化も進んでいる中、国際社会を協調に導き、また諸課題に対応していく上で、いわゆるグローバルサウスを含む幅広い国々との連携、これが不可欠と考えます。昨年来G7議長国としてさまざまな機会に議論を進めてまいりました。本日の日米外相会談におきましても、G7広島サミットの成果を踏まえまして、また日ASEAN特別首脳会議などの我が国の取り組みにも触れつつ、グローバルサウスへの関与、特に東南アジア諸国や太平洋島嶼国との協力の更なる強化につきまして議論をしたところであります。
私自身、今の外交活動におきまして、グローバルサウスから日本外交に対する信頼あるいは期待の高さ、また、日本への協力、これを求めていく、いきたいという意欲を感じているところであります。我が国といたしましては、国際社会の幅広い支持とそして関与を得るためにも、多様性そして包摂生を重視するきめ細かな外交を続けてまいります。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するとともに、一人一人の人間の尊厳が守られる世界を作るべく各国と連携して取り組んで参りたいと思います。
【記者】会談では、ウクライナ問題について、強力なウクライナ支援の継続を確認したとのことですが、実際問題アメリカは追加支援について、予算上もう手当が出来てません。この点について、国務長官から今後の見通しについて説明がありましたでしょうか。あるいは大臣から対応を促される場面はありましたでしょうか。
【上川外務大臣】外交上のやり取りに係る質問でありますので、詳細について述べることは差し控えたいと思いますが、ブリンケン長官とは、ロシアによるウクライナ侵略について、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続していくことで一致をしたところであります。G7を中心といたします同志国が結束をしまして、ウクライナへの連帯を示していく、示し続けていくことが極めて重要になります。来月東京であります日ウクライナ経済復興推進会議これを含めまして、政府としては率先してウクライナ支援に取り組んでまいります。
【記者】日米外相会談の中でも出てきた、台湾情勢の関連で伺います。台湾総統選挙は、現地時間13日に投票が行われますが、大臣としてはどのような点に注目していますか。また、選挙の結果が地域に与える影響についてどのように考えていますか。うかがいます。
【上川外務大臣】海外の選挙の見通しということでのご質問でございますので、コメントすることは差し控えさせていただきますが、台湾は日本にとりまして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配、こういった価値、原則を共有する地域であります。緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーでありますし、また、大切な友人でもあります。政府といたしましては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの従来の立場を踏まえつつ、日台間の協力と交流の更なる深化を図ってまいりたいと考えております。