記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和3年5月26日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)

​新型コロナウイルス(外国人留学生に対する水際措置)

【ラジオ・フランス 西村記者】外国人の留学生について質問させていただきます。1年以上前から入国できない学生はもう数千人もいると思いますが、何かスケジュールとか、何か新しい情報、ありませんか。新しい仕組みを考えて、その問題を解決するために何かお考えでしょうか。
 特に彼らは今、気になっているのは、アスリートとかあるいはオリンピックの関係者、マスコミが入国できるようになって、彼らだけ、ビザを持っているのに大学は決まっているのに、入国できないのが非常に何というか、つらい状況にあるからです。
 
【吉田外務報道官】おそらくご質問は昨年来、とられている入国者に対する水際措置の関係のご質問と受け止めます。ご案内のように、現在、新型コロナの感染拡大、これは日本においてもそうですが、世界各地で非常に猛威をふるっているということです。加えて、昨今はいくつかの変異株、これは感染力が高い等、取り沙汰されていて、これに対する情報もまだ十分に共有されていないような状況にあるかと思います。こういった極めて、国際社会においてもそうですし、日本においても国民や人々の不安を掻き立てている変異株の猛威という事情もあります。そういった中で、我が国における水際対策については、昨年来、いくつかの措置がとられてきているわけであります。
 今のご質問のあった留学生の方々、既に入国の査証を取得されている方もいるかとはもちろん思います。他方において、例えば既に日本で在留資格を持って、日本に一度入国をされているような方、こういった方々の再入国に対しても、その時々の状況に応じて、感染症の状況を全般的に見ながら、本来はそういった方々に対する渡航について不便をおかけするのは、厳に限定的にしなければいけないというものだとは認識はしておりますけれども、現下の状況を総合的に踏まえて、こういった方にも再入国については、しばらく見合わせていただくこともお願いをしているという状況にあります。
 そういった中で、今後、今ご質問のあった留学生の方々、こういった方を含めて、どのような外国の方々に日本に安全に来ていただけるかということについては、その時々の全般的な感染症の状況に応じて、随時、政府内で検討していかなければいけない、このような問題だと思っています。
 今ご質問にあったような、東京オリンピック・パラリンピック大会のアスリートや大会関係者、こういった方々に、どのような形で安心・安全な大会ということと両立する形で入国していただくかということについては、極めて厳格な検査であるとか、あるいはその行動管理等々をお願いする中で、国内での接触を避けることを確保するような枠組みを提示して、これを守っていただくという前提でお入りいただくということであります。
 これはまさにこの大会における、そういった方々の行動のパターンであるとか、あるいはそういったものの行動管理がどれぐらいできるのかと、当然それにはそのコロナ対策責任者という方を各国で指名していただいて、そうした人が責任を持って入国後の行動を管理していただくといったことも前提になっています。
 ですので、まさにそういった関係者に特有の仕組みとして、お願いをするということであります。従いまして、こういった形のプロトコールというものが、その他のカテゴリーの外国人の方々に、果たしてどれぐらい通用するのかということは、これは簡単には言えない問題だろうと思います。
 従いまして、我々、東京大会が迫ってくる中で、安全・安心、これはまず、この感染症対策に万全を期すことが最優先でありますから、その中でご不便をお願いをしながら来ていただくという形で検討しているものであります。
 そういったタイムスパンの中で行っているものですが、今ご質問にあったような留学生の方々、こういった方々に対しては、それ以外のステータスの外国人の方々も、いろいろいらっしゃるわけですから、そういった方々と比較してどうなのかということは、今後の内外の状況、それから我が国における対応・対策、そういったものを総合的に勘案しながら、また随時考えていくべき問題であろうと、このように考えています。

​東京オリンピック・パラリンピック(対外発信)

【朝日新聞 安倍記者】今、東京五輪についてのご発言がありましたけれども、今、吉田外報官もおっしゃいましたように、新型コロナの感染状況というのが国内でも改善しておらず、海外でも開催に懐疑的な見方というのが、少なからずあると思います。こうした懸念を払拭するために、具体的に外務省としては、今どのような対外発信を行っているのでしょうか。
 
【吉田外務報道官】重複は避けたいと思いますので、詳しくは申し上げませんけれども、オリンピック・パラリンピック東京大会を、安全・安心な大会として行うため、IOC、それから組織委員会、東京都、それと政府が連携して、感染症対策についてこれまで検討してきており、随時、入国の在り方等々、どうやって実施していくかということについては、ご説明をしてきているということです。
 私たち政府としては、こういった東京大会を、国民、それから来場されるアスリート、大会関係者に安全・安心に参加していただくという観点から、今言ったような努力をしているということを、十分にこういった方々にお伝えしていくことが重要だろうと思っています。
 外務省としては、政府の一員として、そういったご説明であるとか、それから外務省の中では、東京大会のときにお越しになる要人の方の接遇を担当しますので、そういった方々にお願いすること等々、在京の外交団等にも、随時説明をしてきているということです。
 まだまだ十分ご理解いただけていない点はあろうかと思いますけれども、今後とも、透明性・わかりやすさをもって、政府の取組については説明をしていきたいと、このように考えます。
 
【朝日新聞 安倍記者】今、外務報道官がおっしゃったのは、接遇を対応するところというのは、外務省の東京オリパラ要人接遇事務局というところだと思いますけれども、ツイッターの公式アカウントを持っているようなので、そこで五輪に関する広報を担うということのようですけれども、例えば今年1月は連日のようにツイートしているような時期もあったんですけど、5月に入ってからの発信で見てみると、5月17日の1回しかなくてですね、あまり積極的に発信をしているように見えないというか、盛り上がっているように見えないんですけど、これはどうしてなんでしょうか。
 
【吉田外務報道官】事務局のツイートについて、内容は、私、つまびらかに承知しておりませんので、そのタイミングであるとか内容について、現時点で、どういうものであるかということをご説明する材料はありませんけれども、基本的には、ここの事務局においては、先ほど申し上げたような、東京大会に来られる各国政府の要人等を、どのようにお迎えするかということを所管しており、そのために必要な情報提供、あるいはそういった発信をしているものだと認識をしています。
 そういったプロトコールについては、先ほど申し上げたような組織委員会、東京都、それから政府、IOCの間で連携して、これまで検討してきている整理、これに基づいて行うものですから、そういったものが随時改定されることに伴って、発信をするというのが基本的な在り方、パターンではないかと思います。
 今後も、大会が2か月に迫る中で、更に詳細な情報発信が必要な部分が出てこようかと思います。そういったことを踏まえて、更に取組が行われるのではないかなと、このように考えます。

在日ミャンマー人外交官

【毎日新聞 飼手記者】在日ミャンマー大使館の外交官お二人について伺います。ミャンマー側から旅券を無効化したという連絡があったものの、在留資格は取り消されていないという説明が大臣からもあったと思うんですが、外交官の在留期間というのは、外交活動を行っている間というふうな規定になっていると思います。実質的にお二人は、外交活動はできていない状況だと思いますけれども、人道的な措置と国軍とのパイプの維持等バランスが必要かと思いますが、どのように対処されていくのかお願いします。
 
【吉田外務報道官】在京ミャンマー大使館外交官の外交官資格について、ミャンマー当局から通報があったということを踏まえまして、3月にあったかと承知しておりますけれども、そういったことを踏まえて、どのように対応するかということについては、これまで政府の中で慎重に検討してきているということです。現時点で、そのお二人の方々、在留資格がないと日本にいる法的根拠が無くなるということですので、在留資格が無くなるということではないということを前提に、外務大臣の方からご説明を差し上げたということです。
 この方々が、外交活動をしているか、していないかということと、それからそもそも日本に滞在してはいけないという不適切な行為があったかどうか、それは無かったという認識をしていますので、この方々の在留資格というか、滞在資格が取り消されることはないということを申し上げたということであります。
 今後の対応とか、あるいはどういう整理をするかということは、その時々の状況、それは当然ミャンマー情勢、ミャンマー当局の対応、こういったことも含めて、総合的に判断していくべき問題、このように考えています。

​東京オリンピック・パラリンピック関係者に対する水際措置

【ラジオ・フランス 西村記者】また、水際対策について質問させていただきます。最近一部の国々に対する水際対策が強化されたと思うんですが、その国々から来る東京五輪の関係者も、特別な措置を受けるのでしょうか。つまり、他の国々から来る方に比べたら、もっと隔離が長いということとか、あるいはホテルで泊まらせることとか、何か違いがあるのでしょうか。インドとかネパールとか。
 
【吉田外務報道官】ご質問のあった水際対策の強化というのは、インドにおいて確認された変異株B.1.617に関連して、予防措置として強化された措置のことをおっしゃっているんだろうと思います。念のため申し上げると、インド等6か国の入国者・帰国者については、検疫所での宿泊施設での待機期間を10日間にすると、それから入国3日目、6日目、10日目に、改めて検査を受けていただく、こういった強化がなされています。
 こういったことと、オリンピック・パラリンピックで来場される、ご質問は、こういった国から来られるアスリートとか、大会関係者についてはどうなのかと。
 
【ラジオ・フランス 西村記者】アスリートは別であると思いますけれども、特にマスコミについてです。
 
【吉田外務報道官】では、こういった国々から来られるオリンピックの関係者と、一般的に称しておきますけれども、に対する対策・対応については、オリンピック・パラリンピックの中で、先ほどご説明申し上げたような水際措置を行いますので、基本的にはそちらの枠組みで考えられることになろうかと思いますけれども、ただ現時点で、まだ今後の感染状況がどうなっていくのか、あるいはこの変異株がどうなっていくのか、こういったことについては、なかなか予断できない部分もあろうかと思います。
 従いまして、実際に東京大会に来られる関係者の方々への対応については、引き続き、それまでの間に「プレイブック」等の改訂なり追加ということもあり得ると思いますし、その時々の状況に応じて適切な対応をとっていくのだろうと、このように考えます。
 
【ラジオ・フランス 西村記者】「プレイブック」は私も読みましたが、そこの中に書いてある、例えば濃厚接触者の定義は「マスクなし、15分以上、1m以内」という定義であるんですが、それはちょっと弱い。特に変異株に対し、弱くないんでしょうか。それを見直すことが必要ではないでしょうか。
 
【吉田外務報道官】今、東京大会に対する水際措置については、これまで検討されてきて、既にIOC等から発表されている「プレイブック」を前提にお答えいたしました。私は、外務省のスポークスマンですので、この対応、「プレイブック」の内容について、これを検討して責任を持って発表を実行していくのは、外務省ではなくて、そういった「プレイブック」を所管しているIOCなり、日本の中では組織委員会ということですから、そこを超えて、今、適否について申し上げる立場にはないということをご理解いただきたいと思います。

ベラルーシ情勢(民間航空機の強制着陸と反体制派の拘束)

【NHK 渡辺記者】既に談話を出されていると思いますが、ベラルーシの上空で民間機が戦闘機を使って、国家によるハイジャックと言われていますけれども、その状況に対して、その後いろいろ、乗っていたジャーナリストが拘束されたりとか、詳細がいろいろ見えてきましたけれども、ロシアはベラルーシに同情するような対応をとっていますけれども。そうしたことに対して改めて、その後の状況を踏まえて、日本政府として今後どういった対応をとるのか。またとらない、とれないのかもしれませんが、何か今の段階でどういうふうに見てらっしゃるのかということをお願いします。
 
【吉田外務報道官】お尋ねにあったベラルーシで起きた事案については、ご質問にもありましたけれども、私(外務報道官)の名前で5月24日付で、談話を出させていただいています。その中で、今回のベラルーシ当局による民間航空機の強制着陸、これは国際民間航空条約に反する疑いがあるということ、更に、強制着陸させた航空機に搭乗していた特定の乗客を、当局が恣意的に拘束したということで、これは不当であるということで、強く非難するという声明を出させていただいています。
 これまでもベラルーシ情勢については、昨年来、幾度も談話を出させていただいていますし、当局に対して申し入れをしてきておりますけれども、市民の恣意的な拘束、法の支配・民主主義の原則に反する対応、こういったものを改めるよう、強く求めてきていると。この中で、今回またこういう事案があったということです。
 今回の事案については、各国、それから国際社会、強く反応をしているかと思いますし、中でも近接する欧州においては、欧州理事会が24日に開催されて、航空会社の乗り入れの停止であるとか、制裁リストの改定等の一連の措置を決める決定が行われたと承知をしています。
加えて、現在はこれは民間航空機の着陸事案ということですから、それを所管するICAOという国際機関がありますけれども、ここでシカゴ条約に基づいて、今回の事案を検討調査するという動向も見られます。
 我々としては、既に明らかにさせていただきました日本政府の立場に基づいて、こういった関係各国や国際社会の取組、こういったものを十分見ながら、連携してベラルーシ当局に行動を促していきたいと考えています。今後の具体的な対応については、現時点では予断は控えたいと思います。

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