記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年5月10日(金曜日)9時22分 於:本省会見室)

安倍政権の歴史認識問題

【フリーランス 上出氏】前回火曜日も同じ質問をしたのですが、歴史認識のことで質問します。米国の議会調査局がかなり厳しい批判の文書、これからのアジアの安定にとって懸念されるというような、そういうのが来ております。今後の日米関係に支障があるのかどうかということも含めて、改めまして前回と似ていますが、今度は一応非公式ではありますけれども議会の文書ということで、それに対してのご所見をお聞かせいただけますか。 

【岸田外務大臣】まず5月1日付で米連邦議会調査局が「日米関係:議会における課題」と題する調査報告書を公表したことを承知しております。これは議会の調査局の報告書でありますので、議会の公式見解でもなければ、米国政府の公式見解でもないと認識しております。同報告書は、日米関係についての状況を随時アップデートしていると承知しておりますが、今回の報告書には、歴史認識についての記述も含まれているということであります。ただ、この今、言いましたように、議会の調査局の報告書の内容について一つひとつコメントするというのは控えさせていただきたいと思います。
 ただ、歴史認識につきましては、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対し多大の損害と苦痛を与えました。安倍内閣としてこれまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
 韓国、中国をはじめとする近隣の国々、日本にとって重要なパートナーであり、これらの国々との関係強化に引き続き努力していくとともに、地域の平和と繁栄に積極的に貢献していきたいと考えております。
 
【フリーランス 上出氏】実際に日米関係にかなり今までとは違う反応がある、今回だけではなくて。実際に日米関係への障害、支障になることはないとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】とりあえず先ほど申し上げました日米関係ということであれば、今回は議会の調査局の報告書であります。これに対していちいちコメントするのは控えさせていただきたいと思っています。
  いずれにしましても、我が国政府の立場は今、申し上げたとおりであります。政府の立場、内外に理解してもらえるよう引き続き説明していきたいと考えています。

日台漁業協定

【テレビ朝日 山下記者】日台の漁業協定が詳細については合意ができないまま発効となりますけれども、沖縄からの反発もあり、漁業の関係でトラブルなども予想されるのですけれども、受け止めと、どういうように対応していくべきかなどをお願いいたします。

【岸田外務大臣】まず、公益財団法人交流協会と台湾側の亜東関係協会、日台漁業委員会の第1回目の会合を5月7日に開催し、取決め適用水域における操業の取扱い等について意見交換を行ったと承知をしております。
 政府としましては、本取決めの目的が達せられ、円滑な実施が確保されるよう、日台漁業委員会の下で沖縄県関係者の意向と懸念をしっかり踏まえた建設的な議論ができる限り速やかに進められることを期待しております。
 今後は、本取決めの実施状況を踏まえつつ、台湾漁船の操業のあり方に関する諸課題が解決されるよう、政府としても全力を尽くしてまいりたいと存じます。同時に本取決めの実施に伴う影響について関係漁業者の意見も十分に聞きつつ、しっかり把握した上で関係省庁が連携して必要な対策があれば、それは検討していきたいと考えております。

歴史認識問題

【朝日新聞 山岸記者】「侵略」という言葉の取り扱いに関してですけれども、今し方大臣は、先ほどの質問の中で、安倍政権でも歴代内閣の立場を引き継ぐというようにおっしゃいました。この歴代内閣の立場というものの中に、これまで村山談話以降は基本的に「侵略と植民地支配に対するお詫び」という表現があったわけですけれども、安倍政権の立場というものの中には「侵略」という行為、この理解も含まれるのか含まれないのか、「侵略」という言葉の扱いに関してお伺いいたします。
 
【岸田外務大臣】先ほど申し上げましたように、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました。
 安倍内閣としては、こうした歴代の内閣の立場を引き継ぐということであります。こうした立場を引き継ぐ、それに尽きてると思っています。
 
【朝日新聞 山岸記者】そうしますと安倍政権としては、今後も先の大戦において侵略行為があったかなかったかということに関しては言明されないということでしょうか。
 
【岸田外務大臣】安倍内閣としては、従来の内閣と立場は変わっておりませんということを申し上げております。
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