記者会見

小林外務報道官会見記録

(令和5年11月22日(水曜日)15時46分 於:本省会見室)

北朝鮮情勢(北朝鮮による衛星打ち上げを目的とした弾道ミサイル技術を使用した発射)

【共同通信 林記者】北朝鮮による、昨晩のミサイル技術を使った人工衛星発射についてお伺いします。今回は、事前通報の時間よりも前倒しする形で、発射が行われましたけれども、これをどういうふうに受け止めて、北朝鮮側の意図等々について、どのような分析をされておられますでしょうか。まず2点お伺いします。

【小林外務報道官】北朝鮮の動向につきましては、軍事動向を含めまして、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めているところです。打ち上げの予告期間より前倒しで発射した北朝鮮側の意図につきましては、断定的にお答えすることは差し控えます。
 いずれにしても、北朝鮮が繰り返す弾道ミサイル等の発射は、断じて容認できないものですし、政府としては、引き続き、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の完全な非核化を目指すと、こういう立場です。

【毎日新聞 村尾記者】関連で、今回の北朝鮮の件ですけれども、安保理決議違反ということですが、国連を含めて、国際場裡で、外交的にどういうふうに取り組んでいくのかお願いします。

【小林外務報道官】まず、米国及び韓国との間では、北朝鮮への対応について、平素から緊密に意思疎通を行っています。21日の北朝鮮による衛星打ち上げを目的とした弾道ミサイル技術を使用した発射を受けまして、本日、鯰(なまず)外務省アジア大洋州局長が、ジュン・パク米国国務省北朝鮮担当特別代表代行及び金健(キム・ゴン)韓国外交部朝鮮半島平和交渉本部長との間で、日米韓電話協議を実施したところです。
 電話協議では、21日の北朝鮮による発射を強く非難した上で、北朝鮮が前例のない頻度と新たな態様で弾道ミサイル等の発射を行っていることは、地域の安全保障にとって、重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとの認識を改めて共有するとともに、安保理における対応を含め、北朝鮮への対応について、引き続き、日米、日韓、日米韓で緊密に連携することを確認しました。
 これらを含め、米国及び韓国とは緊密に意思疎通を行ってきていますが、今後の外交的な取組について、現時点で予断することは差し控えたいと思います。
 今後とも、あらゆるレベルで、日米、日米韓で緊密に連携し、また、国際社会とも協力をしながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の非核化を目指す方針です。

核兵器禁止条約第2回締約国会合(オブザーバー参加)

【中国新聞 樋口記者】27日に、米国で始まる核兵器禁止条約の第2回締約国会議の対応を伺います。我々の取材では、第1回に続いて、日本政府は参加をしないと、オブザーバーも含めて、というふうな情報を得ていますけれども、改めて、今回どういうふうに対応されるのか、政府の対応をまず伺います。

【小林外務報道官】核兵器禁止条約につきましては、「核兵器のない世界」への出口とも言える重要な条約ですが、この条約には核兵器国は一か国も参加しておらず、未だその「出口」に至る道筋は立っていないというのが現状です。
 こうした中で、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければならないと考えています。
 こうした考えに、引き続き変更はなく、今般ニューヨークで開催されます締約国会合に、日本政府としてオブザーバー参加はせず、引き続き、5月のG7広島サミットで発出した「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を強固なステップ台としながら、昨年8月のNPT運用検討会議で岸田総理が表明した「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的かつ実践的な取組を継続・強化していくという方針です。

【中国新聞 樋口記者】理由については、確認ですけれども、核兵器保有国が一か国も条約に加わっていない、という点が一番大きいのかという点と、併せて、同じ米国の核抑止に依存している国でも、例えば、ドイツとかオーストラリアとかノルウェーとか、こういった国々は、今回オブザーバー参加をする見通しになっていまして、被ばく者たちからは、せめてオブザーバー参加して、非保有国の言い分を聞くべきじゃないかという指摘も上がっているのですけれども、こうした点については、どのように応えられますでしょうか。

【小林外務報道官】まず、他国の対応ぶりについては、我が国として、コメントすることは差し控えます。この締約国会合への、オブザーバー参加に関する日本政府の立場につきましては、先ほど述べたとおりでございまして、核兵器禁止条約そのものにつきましては重要な条約であるものの、「核兵器のない世界への出口」、そこに至る道筋というのは、核兵器国が1か国も参加していない中では立っていないという現状の中で、日本としては、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させる努力をしていくと、そういった観点から、今般の会合にオブザーバー参加しないという決断をしたというものです。

ウクライナのエネルギー分野支援に関するG7+外相会合

【読売新聞 谷川記者】G7と同志国の閣僚らが、ウクライナのエネルギー支援をめぐってオンライン会合を開催しましたが、今回の会合の狙いと、日本として、この中で新たに打ち出した支援策は何か教えてください。
 また、会合には、堀井副大臣が出席したようですけれども、上川外相が出席しなかった理由は何か、伺います。

【小林外務報道官】昨日、御指摘の「ウクライナのエネルギー分野支援に関するG7+外相会合」が行われ、G7各国に加えて、欧州の有志国及び国際機関が参加する閣僚級会合が行われました。これは、昨年11月、ウクライナの越冬のためのエネルギー・インフラ関連支援に関する関係国間の情報共有や迅速な支援のために、ブリンケン米国務長官が主導いたしまして、本件枠組みが立ち上げられたものです。
 今般、日本は、G7議長国として、米国との共同議長という形で本会合を開催しました。本格的な冬の開始を控えて、昨年同様、ロシアによるエネルギー施設に対する攻撃が予想される中で、有志国間において、エネルギー分野の支援の重要性の確認をし、認識の共有を図ったというものです。上川大臣は、日程の都合上で出席できなかったため、堀井副大臣が、外相代理として出席しました。
 堀井副大臣からは、日本の支援策につきまして、これまでに表明してきた大型変圧施設に加え、新たにガスタービンの供与を進めていることを説明しました。加えまして、電力や熱供給などの生活インフラ分野の支援について、着実な進捗状況を各国と共有し、2月の日・ウクライナ経済復興推進会議に向けて、官民一体となった協力を深めていくということを表明しました。進捗中の支援によって、550万人以上のウクライナ国民が裨益するという見込みです。

イスラエル・パレスチナ情勢(戦闘休止)

【共同通信 林記者】中東情勢についてお伺いいたします。イスラエルとイスラム組織のハマスが、人質約50人を解放するという対応と引き換えに、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を4日間休止するということで合意したという発表がありましたけれども、日本政府としては、人道目的の休止ということを、ずっと訴えてこられた経緯もあると思いますけれど、今回の対応をどのように受け止めておりますでしょうか。

【小林外務報道官】まず、日本時間22日のカタール政府の発表によれば、イスラエルとハマスとの間で、4日間の戦闘を休止し、少なくとも50名の人質解放、イスラエルにより拘束されているパレスチナ人の釈放、そして、人道支援物資のガザ地区への搬入の増大を行うことで合意したと承知しています。人質の解放と人道状況の改善に向けた重要な動きとして歓迎いたします。また、関係国による努力に敬意を表します。合意が着実に実施されることを期待しています。
 引き続き、我が国も賛成しました安保理決議を踏まえまして、全ての当事者に、国際人道法を含む国際法の順守を求めながら、関係国・国際機関との間で意思疎通を行い、人質の即時解放、人道状況の改善、事態の沈静化に向けた外交努力を積極的に続けていきたいと考えています。

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