記者会見
林外務大臣臨時会見記録
(令和4年4月4日(月曜日)13時57分 於:ワルシャワ)
冒頭発言
【林外務大臣】ポーランドの訪問の最終日になります。今日でございますが、まず、午前中に、ポーランド政府の要人の方々との会談を行いました。
まず、ラウ外相と1時間ほど会談を行いました。結果についてはすでに会談後の共同記者発表で申し上げたとおりですが、最重要課題であるロシアによるウクライナ侵略への対応について、引き続き国際社会が一致・結束して毅然と対応するということで一致をいたしました。また、避難民受入れを含む今後のウクライナ支援につきまして意見を交わしました。先方からは、日本による「連帯」の姿勢に対し、深い謝意が表明されたところです。
その後、モラヴィエツキ首相及びドゥダ大統領を順に表敬させていただきました。結果についてはすでに貼り出しを出させていただいていますが、私からは、今回、岸田総理の指示により、避難民受入れの現場を直接確認して、日本が支援を行う上でのニーズや課題を把握すべく、総理特使として、ウクライナの隣国であり、最も多い数の避難民を受け入れておられるポーランドを訪問した、こういう旨を述べまして、首相と大統領それぞれに岸田総理からの親書をお渡しをしたところでございます。
これに対しまして、首相及び大統領からは、特使としての訪問を心から歓迎する旨が述べられました。そして、ウクライナ及びポーランドを含む周辺国に対する日本の人道支援また「連帯」の姿勢について深い謝意の表明がありました。また、ロシアによるウクライナ侵略についても意見を交わしたところでございます。志を同じくする民主主義国が一致・結束して毅然と対露制裁を継続するということが重要だとの認識について一致をしたところでございます。更に、日ポーランド二国間関係についても意見交換を行い、100年を超えるで両国の友情を更に深めて、基本的価値を共有する戦略的パートナーとして緊密に連携していくことで一致を致しました。 続けて、今回の訪問を締めくくるに当たりまして、訪問の意義と成果について述べさせて頂きたいと思います。
今回、岸田総理大臣の指示によりまして、ウクライナ避難民の置かれた状況や、受入れに関するニーズ、受入れにあたっての課題等を把握して、今後の日本政府の支援策に繋げていくために、総理特使としてポーランドを訪問をいたしました。両隣の中谷総理補佐官及び津島法務副大臣にもですね、同行いただいたところでございます。
3日間の短い滞在ではありましたけれども、ワルシャワ市内の避難民施設の視察、最前線であるウクライナとの国境地帯の訪問、また現場でですね、避難民支援に取り組む国際機関やNGOの方々との意見交換、さらには大使館に新たに設置をされました避難民支援チームの激励、そしてウクライナ政府やポーランド政府要人との会談などの充実した日程を過ごすことができました。
これらの日程を通じまして、まず第一に、ロシアによる侵略によって祖国を追われた避難民の方々、この方々が置かれた厳しい状況というのを目の当たりにいたしまして、避難民の方々が一日も早く元の生活に戻れるように、日本政府として、国際社会とも連携しながら最大限の支援を行っていかなければならないという思いを新たにしたところでございます。
二番目に、これまでの日本政府の累次人道支援、これが、現地のニーズを踏まえた形で、女性・児童・家庭・家族支援、そして医療分野等で、早速有効に活用されていることを確認ができ、今後の課題についてもですね、いろんなご意見を聞くことができました。
そして、第三に、ポーランド政府がですね、自治体や企業、市民団体などと連携ながら、特に女性や子供に対するものを始めとする大変きめ細やかな生活支援等の避難民支援策を提供しておられるということをこの目で我々確かめることができました。日本に来られた避難民の方々に対する国内の支援策を考えていく上でも、大変有益な機会となったというふうに考えています。
そして、避難民の方々の多くが、事情が許せば速やかにウクライナに帰国することを希望されながらですね、ここポーランドを含む隣国に滞在していることも分かったところでございます。その一方で、日本への避難施設への移動を切に希望しているものの、現在自力で渡航手段を確保することが困難な方々も複数いらっしゃるということがわかったところでございます。
そこで、こうした方々に人道的観点から支援の手を差し伸べるということでですね、帰国に際して、政府専用機の予備機に、日本への避難を切に希望しているものの、現在自力で渡航手段を確保することが困難な20名の避難民の方々に乗っていただくことにいたしました。
日本の渡航に際して不安を覚えていいらっしゃるかもしれない避難民の方々に、少しでも安心していただこうというふうに考えまして、本日朝なんですが、搭乗予定の避難民の皆様にですね、直接お会いをして激励の言葉をお伝えしたところでございます。そしてこの日本政府として今回20名の方々を含めたウクライナ避難民の方が、国境から遠く離れた日本に行かれても安心して生活できるよう最大限サポートをして参ります。後ほど詳しくですね、津島法務副大臣からお話いただこうと思っています。政府だけではなくて、多くの地方自治体や企業などからもですね、支援の申し出が寄せられております。政府として、国民の皆様と一緒になってですね、取組を進めて参りたいと考えております。
今回の訪問の結果につきましては、帰国後、速やかに、岸田総理に直接ご報告をする予定にしております。今回の訪問結果は関係省庁にも共有致しまして、ウクライナ避難民支援のために日本政府としてなすべきことを検討していきたいと考えております。私からは以上です。
【津島法務副大臣】では私から、今回日本にお連れをするウクライナの避難民の方が、日本に着いた後の支援策についてお話申し上げます。まず、お一人お一人、お一家族お一家族、それぞれ生活支援、住居の支援、日本語を含む教育支援など、ニーズは異なりますため、一概にこれをやります、ということは難しいのですが、大事なことはお一人お一人のニーズを丁寧にお受けをし、心に寄り添ったほっとしていただける支援をして参りたいと考えております。支援を実施するにあたっては、関係省庁はもとより、自治体、そして民間企業、あるいは民間団体の皆様と十分に連携をしながら進めて参りたいと考えております。
質疑応答
【記者】林大臣への質問です。今ほど、20名の避難民の受け入れの表明がございましたけれど、今朝方お会いになられたとのお話ですが、実際に避難民の方とどのようなやりとりをされたのかという点と、避難民の方の中には日本に知人ですとか、親戚ですとかそういう身寄りのない方もいらっしゃるのかどうか、そういう点についても教えてください。
【林外務大臣】今朝ですね、20名の方々とお会いをして、私(大臣)、また、補佐官、副大臣からご挨拶を申し上げて、我々最大限のこの問題を解決するために支援をやっていくという趣旨を申し上げたところでございます。遠いところでもございますし、ご不安もあろううかと思いますが、お一人お一人のニーズに沿っていけるように、先ほど副大臣の方からおっしゃったようにやって参りたいというふうに思っております。避難民の方々のプライバシーという観点から、詳細にどういう方がいるかについてはお答えを差し控えさせていただきます。
【記者】もう一点ですけれど、今回3日間の滞在となりましたが、この一連の訪問によってですね、20名の避難民の方を受け入れるに当たって、具体的にどんなニーズ、またどんな課題があるというふうに把握できたのでしょうか。
【林外務大臣】数がかなり違う規模の中ではございましたけれども、やはり国境の最初のところからですね、応急用の医療の皆さんがいらっしゃったり、というところから始まりまして、避難民受け入れセンターにおいても、子供がくつろげる場所、また食料の支援等ですね、本当にニーズに沿った対応をされておられる、例えば、心理的なトラウマ等を背負った方に対するカウンセリングとかですね、しっかりとそういう専門の方が研究しておられる等ですね、いろいろなことを見て得ることができましたので、今回日本に来られる方、既に日本に来られている方、ニーズが同じかどうかわかりませんけれど、先ほど副大臣がおっしゃったように、個々のニーズにしっかり寄り添ってやっていくということだと思います。
【津島法務副大臣】先ほど具体的政策について申し上げたところ、より詳細に申し上げると個々のニーズに寄り添っていくことが大前提であります。その上で、先ほど申し上げたことに加えて、住居の紹介、職業訓練、そしてお子様の教育に加えて必要な医療の提供であるとか、そういったことが考えられます。いずれにせよ、一人一人のニーズを的確に把握し、そして心に寄り添う支援というものを基本に進めて所存です。
【記者】大臣にお伺いします。今回20人の方が日本に渡航されると、それ以外にですね今回間に合わないけれども、日本への渡航を希望している方がいらっしゃったのかどうか。もしいらっしゃったとすればですね今後日本政府としてどういう対応をとるのかお聞かせ願います。
【林外務大臣】この引き続きですね、新たに設置をいたしましたウクライナ避難民支援チームこれはワルシャワとジェシュフ両方にありますが、そこを通じてですね現地の渡航ニーズ・支援ニーズの把握に努めるということでございます。今後もですね政府として、どのような形で渡航支援を含めた支援が可能かどうかというのは検討して参りたいと思います。
【記者】お答えできる方で結構なのですけれども、今回日本に渡航される方は日本にどれくらい長くいらっしゃるということを想定しているのかというのと、あとはいずれの方もどんな境遇にしろ日本語というのはかなり大きなハードルになるかと思いますけれども政府としてどのように支援していくかお伺いしたます。
【津島法務副大臣】繰り返しになるのですが、それぞれ状況が異なります。それぞれのニーズ、これを把握するというのがこれは大前提でございますけれども、日本に受け入れるにあたってそもそも我が国は、当面6ヶ月程度は支援が必要になるであろうと想定で進めております。尤もその6ヶ月を過ぎてそこで支援を打ち切るというほどではなくて、それはもちろん状況に応じてできる限りの支援を行っていくことは当然のことであります。もう一つが日本語の教育ですね。先ほど冒頭でも私が申し上げましたように、大人にとってもそれが子供にとっても言葉というものは大事なところであります。そのしっかりとしたサポートというのを行っていけるように体制を整えて参りたいと考えております。
【記者】今回20人の方が政府専用機の予備機で帰られるということですけれども、これは原則的にその希望された方全員ということなのか、それともある程度のその条件、何らかの条件を満たした方ということなのかどちらでしょうか。
【林外務大臣】今回政府専用機に同乗いただくことにしたのは、在ポーランド大使館と在ウクライナ大使館に対しまして、日本へのですね、渡航を相談をしてこられたウクライナ避難民の方々のうちで日本への渡航を切にご希望されておられるのですが、現在ですね、自力で渡航手段を確保することが困難であるというウクライナ避難民の方たちというふうに理解しております。
【記者】関連してなんですけれども、20人方を、その選ばれた理由というのは先ほどおっしゃった経済的な理由とそれ以外にも何かビザを持っていたとかそういった条件などが他にもあれば教えていただければと思います。
【林外務大臣】先ほど申し上げましたようにですね、渡航を切に希望しておられるのですけれども、現在自力で渡航手段を確保することが困難なウクライナ避難民の方々ということでございます。これ以上の詳細につきましては、避難民の方々とのプライバシーとの関係もございますのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】今朝大臣が避難民の方々に会われたときに謝意が示されたですとか、日本の希望の理由ですとか何か印象に残ったことがあれば教えてください。
【林外務大臣】それぞれの皆様と我々握手をしたりして、ご安心をしてくださいというご挨拶をしたあとで、一人一人ご挨拶をいたしました。皆さんからの謝意の表明があってですね、本当に喜んでおられるなということを実感することができましたが、先ほど副大臣からもございましたように、これからまたしっかりですね、向こうでの伝達等をご支援していくことも大変重要であるという認識を改めてしたところでございます。