記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和2年9月30日(水曜日)15時46分 於:本省会見室)

ベラルーシにおける邦人の拘束

【NHK 渡辺記者】ベラルーシの件でお伺いしたいんですけど、邦人の方が拘束された状況が続いていると思うんですけれども、その後のその方の状況、置かれている状況と、日本政府としてその解放に向けてどういう働きかけを行っているのか、その点についてお願いします。

【吉田外務報道官】ベラルーシの情勢につきましては、何度かこの会見でもやり取りをさせていただきましたけれども、依然として、大規模な抗議活動が続いていて、多数の抗議参加者が拘束されたり、亡くなっておられるとか、大変な事態が続いていますので、私どもとして大変な懸念を持って注視をしていますとともに、ベラルーシの当局に対して、即時にそのような拘束をやめて、対話でもって平和的に事態が解決されるように呼びかけているところです。
 お尋ねのありました、拘束されている邦人の方については、以前にもお話をさせていただいたように、ご本人は特に健康上の問題がないということですとか、私どもの大使館として、邦人保護、領事業務として、当局との間でやり取りをさせていただいているという状況でありまして、現時点では大きな変化はないという状況です。

渡航中止勧告の段階的引下げ

【NHK 渡辺記者】別件ですが、政府で出している感染症危険情報を引き下げていくということが、方向性としていろいろ議論になっていると思いますけれども、その対象となっているのは、交渉している16か国が主なのか、今後、目途としてどれぐらい、いつ頃にどういう形で下げていくのか、その辺の今の現時点の検討状況、あるいは決定していることがあれば教えていただけますか。

【吉田外務報道官】昨日の茂木大臣の会見でご質問があって、大臣からお答えをさせていただいたと承知していますが、国際的な人の往来の再開につきましては、感染症危険情報のレベルについても、現在は159か国・地域で「レベル3(渡航中止勧告)」という形になっていますけれども、そういったものをどうするかということについても、視野に入れて検討をしているところです。
 現時点で、何か具体的な内容・方向性が定まっている状況にはありませんけれども、各国・地域の感染状況、どういうふうに収束していくのか、それから各国・地域の移動制限がどういうふうに緩和されていくのか、ビジネスニーズといったものもあろうかと思います。そういったことを総合的に考えて、単に危険情報を引き下げるか、あるいは維持するかということにとどまらず、それに伴うどのような施策、水際の問題も出てきますし、そういったものに対して、ある意味、条件をつけるかどうかとか、そういったことも含めて検討していくという状況です。
 ですから、現在、どこかの国・地域であるとか、そこを対象に具体的に方向性を出すところには至っておりませんけれども、今申し上げたような考え方にしたがって、今後とも誠意を持って、検討していきたいという状況です。

日露関係(北方領土におけるロシアによる軍事訓練)

【NHK 渡辺記者】日露関係でお伺いしたいんですけども、昨日、北方領土の国後島と択捉島で軍事訓練が行われたということで、ロシアの国防省のホームページにそういった事実関係が掲載されまして、日本としては、外務省としては、24日の時点で、通報があった時点で、抗議をしているということなんですけれども、その後のそういったロシアとのやり取りの中で、いろんな報道の切り口を見ていますと、菅総理大臣とプーチン大統領の初の電話会談に合わせてけん制したんじゃないかとか、そういった見方をしている意見が紹介されたりとか、記事そのものがそういう分析に基づいて書かれているものもありますが、日本政府、外務省としてその辺の分析状況、そういった思惑があるものなのか、あるいは航行警報とかがあって、通常のものとして見ていて、そういう深い政治的な背景、意味が、意味付けされたものではないと見ているのか、その辺はどういうふうに見てらっしゃいますか。

【吉田外務報道官】今、ご説明いただきましたが、9月24日の時点において、29日から国後島沿岸において射撃訓練を行うという予告がありましたので、これは累次、官房長官等からもご説明いただいているとおりですが、こういった行為はロシア軍による軍備の強化につながるもので、我が国の立場と相入れないということで、受け入れられない旨、抗議を直ちに行ったところです。
 今、ご指摘のあったような報道・分析が出ていることは承知をしておりますけれども、政府・外務省としてロシア情勢、特に北方四島を巡る情勢については、常日頃から情報収集、それから分析は鋭意行っておりますが、ロシア側がどういう意図を持って行ってきたのかということを、我々の方から予断を持ってお答えすることは、外交上のやり取りに影響を与えますので、この場で申し上げることは差し控えたいと思います。

菅総理大臣の外国訪問

【産経新聞 原川記者】茂木大臣はこの8月以降、何度も外遊されていて、まさにこの瞬間も外国を訪問されていますけれども、菅総理大臣のですね、海外訪問については、政府としてはどのように考えておられるんでしょうか。
 つまり、コロナのこういった状況で、電話会談をされていますけれども、電話会談でやって首脳外交をやっていくのか、あるいはできればやっぱり、できるだけ外に出て行ってもらった方がいいのかなどですね、総理大臣の今後の外遊について、どのように考えていらっしゃるかというのを教えていただけますでしょうか。

【吉田外務報道官】まず、ご案内のように茂木大臣がコロナ禍において、順次、対面外交ということで、相手国の感染の状況であるとか、外交上のニーズ等を踏まえて、対面外交を再開されているのはご指摘のとおりです。同様のことは首脳同士の外交にも通用するだろうと思っています。首脳同士が直接顔を合わせてやり取りすることは、大変重要なことだと、これは原則として言えるかと思います。
 菅総理につきましては、まだ就任されて2週間ほどですが、すでに10か国を超える国、それから国際機関のトップと電話会談をされています。今日もカナダと電話首脳会談を行ったと承知をしております。そういった中で相互の連携、それから諸原則の確認をされているということで、非常に活発にやられていると認識をしております。
 他方におきまして、では具体的に対面外交、あるいは外遊といったものが、どういう形できるのかといったことにつきましては、現時点で具体的な何か決まったものがあるということではありませんが、現下の国際情勢、それから各国の感染状況、こういったものを踏まえながら、タイミング、訪問先といったことを総合的に判断していくことになろうかと思っています。
 特に安倍政権の下で推進されてきた「自由で開かれたインド太平洋」、こういった考え方につきましては、主要国、それから日本と考え方を共にする国々との連携が重要になると思いますし、そういったことを踏まえて近隣国と安定的な関係を築いていくことを、菅総理自身もおっしゃっている、強調されているかと思います。そういった外交上の基本的な考え方、こういったことをベースにして今後、検討されていくものと、このように考えております。

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