記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和2年9月9日(水曜日)15時46分 於:本省会見室)

冒頭発言

国際機関邦人職員数

【吉田外務報道官】冒頭、私の方から1件、発言があります。国際機関で活躍する邦人職員の人数について、最新の数値が出ましたのでご紹介をいたします。  昨年末現在において、外務省の独自の集計調査として、国連関係機関における邦人職員数は過去最多の912名となりました。これは前年比で30名の増加になります。
 2015年6月に閣議決定された、日本再興戦略改訂2015の工程表において、2025年までに国連関係機関の日本人職員を1,000人とするとの政府の目標が示されていますが、今回の数字は、この目標に向けて、着実に進捗していることを示していると考えます。
 背景として、国際機関への若手人材派遣制度、JPO(junior professional officer)という制度がありますが、この制度の下において派遣された方々が、派遣の終了時に国際機関のポストを獲得することに成功したことが、主な要因になっていると分析しています。
 外務省としては、現在の新型コロナウイルスの感染状況の下において、様々な制約がありますけれども、その中においてこのJPO制度の選抜試験、通常対面で行っていますが、これをオンライン化するなどして、引き続き国際機関への日本人職員のJPOの派遣を継続して、国際機関にチャレンジする方々を支援してまいりたいと、このように考えています。冒頭、私の方からの紹介は以上です。

国際機関邦人職員数

【読売新聞 大藪記者】今の件に関しまして、幹部以上の88人も過去最高でよろしいのかという点と、あと先ほど数字が増えてきた背景として、JPOで派遣された人がその任期を終えた後、国際機関のポストを獲得する例が増えてきているということですけれども、これはJPOで派遣する数そのものを増やしているんでしょうか、それともそのJPOの任期が終わった後の正職員への登用を支援するところに力をおいてこられたのか、そのあたりをお願いいたします。

【吉田外務報道官】まずお手元の資料で、左側のグラフにありますように、こういった統計等を取り始めて、赤線で示している幹部職員についても、88名というのはこれまでで一番高い数字だったと承知しています。
 お尋ねいただいたJPOの制度ですが、私、手元に数字がありませんけれども、本年の受験者は325名と聞いています。この数字は、具体的な数値を比較した資料を受け取っていないものですから、直接のご質問にお答えできないのですが、必要であれば担当の部局にご照会いただければと思いますが、担当部局から聞いているのでは、その数字が大幅に飛躍しているということでは、最近はないということのようですし、以前は更に多くの受験者がいらっしゃった年もあったと伺っています。
 したがいまして、そういう中でJPOに応募されて派遣された方々が、努力をされてポストを取られたというふうに認識をしています。

【読売新聞 大藪記者】追加で1点。こういった邦人職員数の増加を通じて、日本として、こういった国際機関への影響力がどう強まっていると感じていらっしゃるか、あるいは今後どのように強めていきたいというふうに考えてらっしゃるか、お聞かせください。

【吉田外務報道官】これは昨年の外務大臣の会見でも、この問題が取り上げられたと承知しています。そのときにも、当時の河野外務大臣からご説明があったと思いますけれども、国際機関の中に職員を増やしていくというのは、必ずしも日本の利益を代弁するということではなくて、国際公務員ですから、国際社会の利益を増進するために、力を発揮していただくということではありますけれども、他方において、国際機関の職員は日本のプレゼンスを国際社会に示す一つの指標、バロメーターでもありますし、またそういった国際機関における日本の考え方を理解している人が政策を遂行していくことにおいても、重要な意味を持っているというふうに考えています。
 冒頭ご紹介しましたように、これは日本再興戦略の中でも目標に掲げられていて、これを2025年までに1,000人を達成すると、これに着実に向かっているかと思いますけれども、その中で日本のそのプレゼンスを、日本のこれまでの国際社会への様々な関与、貢献に見合った姿にしていくことは、我が国の国益につながると考えていますので、引き続きそのような姿勢で臨んでまいりたいと考えています。

【NHK 渡辺記者】関連なんですけれども、グラフがちょっと分からないのですけれども、一番左のグラフです。これ「JPOを除く」と書いてあるのは、JPOの出身者が入ってないで、これだけ増えたということでいいんでしょうか。あるいはJPOの制度っていうのはいつから始まったのか。何年から始まったんですか。

【吉田外務報道官】まず、このグラフについてですが、このグラフというのは冒頭ご紹介した数字ですけれども、JPOの制度は政府がそういった支援を行って、国際機関に若い人たちを派遣する制度です。そういう意味では、ある意味スポンサー付きになっています。冒頭ご紹介した数字であるとか、ここに示してあるグラフの数字は、そういった形で今、JPOの制度の下で派遣されている方そのものは除いた数字を書いています。したがいましてJPOで現在派遣している方を含めた数字になりますと、先ほどの912名というのは、1,021名になります。
 それからJPOの派遣制度、経緯について、ご質問いただきましたのでご紹介させていただきますと、これは外務省が1974年からこの制度を運用しています。JPOそのものは日本の制度ではなくて、他の国もこの国連諸機関の下で採用している制度で、そういうことではもうすでに40数年にわたる日本としての活用の歴史があります。基本的には35歳以下の若い方に、原則2年間、国際機関に派遣して勤務経験を積んでいただいて、その上で正規の国際機関の職員を目指していただく、こういう制度です。

【NHK 渡辺記者】詳細はちょっとまた担当の部署に聞こうと思いますけれども、今おっしゃっておりましたJPOの方も含めると1,021人ということなんですけども、これはつまり、あれでしょうか、2025年までの1,000人とするという政府目標というのがありますけれども、それはJPO抜きで考えた政府の目標ということでしょうか。

【吉田外務報道官】ご指摘のとおりです。

ナヴァリヌィ氏事案に関するG7外相声明

【NHK 渡辺記者】今朝のですね、日本時間の6時に外相声明、G7の、ロシアの野党指導者が毒物を使用された件で出しましたけれども、この文章を読むと、最初の部分に声明を出した、非難する相手国っていうのがですね、すっぽり抜け落ちてるんですけども、ロシアだと思うんですけど、最初の「我々」っていうところにG7の国の名前があって、「毒物の使用を、可能な限り最も強い表現で、結束して非難する。」と。ただし、そこにその非難されるべき国の名前が書いてないんですけども、これは何かあれでしょうかね、ロシア、基本的にこれ、日本語版だけ変えるってわけにはいかないと思うんですけど、平和条約交渉とかですね、クリミアにロシアが侵攻したときにも、日本の制裁というのは他のヨーロッパ欧米諸国に比べれば引いた立場だったと。そういったものがまだここにも反映されているのかどうかっていうふうにも思ったんですが、どうでしょうか。

【吉田外務報道官】今お尋ねいただきましたのは、本日発出されましたG7外相声明ということで、ナヴァルヌィ氏に対する毒物使用の件についてのG7の声明であります。
 この声明は、冒頭、主語が「我々」となってG7の国を言及して、「7か国の外相およびEUの上級代表は結束して非難する」という文章で始まっているかと思います。したがいましてこれはG7の総意として、一致して採択されたものです。
 今回の声明では、ドイツ政府による調査の結果を踏まえて、G7としてナヴァリヌィ氏に対する毒物の使用を強く非難するとともに、事案の発生地がロシアであったということを踏まえまして、ロシア政府に対しては、透明性の確保、それから犯人の処罰を求めるということが内容として記載されております。
 この毒物は巷間、ノビチョクと言われていますけれども、そうであるとすれば、化学兵器禁止条約で禁止される神経剤、化学兵器ですので、国際的規範に反します。これは誰がいかなる目的で、どういうものに対して、どういう形で行われたとしても、そういった使用は許されない、容認できないというのが日本政府の立場でありますので、そのような立場に基づいて、今回の声明にも加わっていると承知しています。

【NHK 渡辺記者】すみません、多分私の誤解で、多分これ、国家的関与があったかどうか分からないので、国家がそこにロシアというのが入ってなくてっていうことですよね。つまり、ロシアにちゃんと原因究明は、ロシアで起こった以上は求めているけれども、別にそのロシアがやったっていうわけじゃない、そこは国家的関与があったかどうか分からないから、ロシアを非難するとはなってないっていうことなんでしょうか。発生した事柄を非難していて、それに対してロシアの関与、説明をちゃんと求めているという趣旨であって、ロシアを非難するっていうことではないってことなんですかね。

【吉田外務報道官】今回の声明そのものは、ドイツ政府の方からいろいろご説明があったやに伺っておりますので、その他、調査結果を踏まえて、G7の間で様々やりとりした結果として、その総意がロシア政府に対しては、透明性確保、それから犯人の処罰、これが要するに行為地がロシアであると、そこを認識して、この声明にそのまま記述したというものだと認識しております。

記者会見へ戻る