記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和2年2月7日(金曜日)10時47分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルス感染症への対応

【茂木外務大臣】第4便のチャーター機,つい先ほど,10時12分に羽田空港に到着しました。今回のチャーター機によりまして,湖北省内に在留する邦人のうち,帰国を希望される大部分の方の帰国,実現をいたしました。
 今日のチャーター機には,湖北省に在住される邦人及び日本国籍保持者の配偶者や親・子関係にある198名が搭乗してきました。帰国された邦人の詳細については,入国審査の際に最終的に確定することになりますが,中国出国時に把握しております情報に基づけば,今回帰国される方の国籍・地域の内訳は,日本119名,中国77名,台湾2名であります。
 また,今回は武漢市内にとどまらず,湖北省全域から帰国が実現いたしました。地域別で言いますと,武漢市内の在住者の方が80名,武漢市外の湖北省内の在住者が118名でありました。帰国を希望される方は日々と言いますか,その日によって希望されたり,また辞退をされたり,若干の変動というのはありますが,今時点では帰国を希望されまだ現地に残っている方は,数名のレベルであります。帰国を希望される邦人の方々が全員帰国できるように,引き続き中国政府,関係省庁等と緊密に連携していきたいと思っております。

新型コロナウイルス(邦人とその家族の帰国)

【読売新聞 阿部記者】今回の便で中国籍の配偶者らも帰国されましたけれども,帰国が実現できた要因と,あとまた日本人以外についても帰国を認めた今回の中国政府の対応について評価をお願いします。

【茂木外務大臣】まず,中国政府,政府自身が全力でこの感染症の対策に当たっている中で,チャーター機の受入れ等々について全面的に協力をしてもらっていることを,高く評価をしたいと思います。その上で,これまで搭乗人員の関係であったりとか様々な形で,邦人のみの帰国ということでありましたが,今回その配偶者の方であったりとか,また親・子関係にある方,人道的な理由も含めて中国側に説明をし,理解をいただいたという形で帰国が実現いたしました。

シリア情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 シリア情勢について伺います。最近,シリアとサウジアラビアを含むアラブ諸国の関係改善が見られます。アラブ首長国連邦は昨年在シリア大使館を再開しました。この件について,日本の見解を教えてください。日本は在シリア大使館の再開を予定していますか。また,日本はシリアに対してエネルギー分野において効果的に大きな支援を過去10年で行ってきたと承知しますが,特にエネルギー分野におけるエネルギー製品の需要が大きい中で,政府開発援助(ODA)の再開を予定していますか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 確かに今,サウジアラビアとシリアの関係に改善が見られると,こういったものが進んでいくということは歓迎をしたいと思っております。一方で現地におきましては,電力不足等の様々な問題があるということも承知をいたしております。シリア危機は軍事的手段によって解決できる問題ではなく,政治的解決を追求しなければならない,これが日本の基本的な考え方であります。そのため,シリア政府をはじめとする,すべての当事者に対して,軍事的措置を停止し,政治プロセスを進展させるための建設的な関与を粘り強く働きかけていく考えであります。
 この点,イドリブ地域での激しい戦闘の継続と,人道状況の悪化,これを強く懸念を致しております。また我が国は,いかなる勢力下に置かれていても,困難に直面しているシリアの人々に人道支援を実施しておりまして,シリア及びその周辺国に対して,2012年以降27億ドル以上の支援を実施してきました。今般新たに約4700万ドルのシリア国内向けの支援を含みます約1.3億ドルの追加支援を決定したところであります。
 なお,現在シリアの日本大使館,一時閉館という状況でありますが,これは主として現地の治安状況の悪化を理由とするものでありまして,大使館のダマスカス地区におけます業務の再開については現地の情勢を注視しつつ判断をしたい,こんなふうに思っております。

新型コロナウイルス(現地に残る帰国希望の方々)

【毎日新聞 田所記者】現地に残る帰国を望む数名について,可能な範囲で,国籍や滞在地域,あるいは事情,今回帰国できなかった事情など分かればと思います。

【茂木外務大臣】毎日,数字変わっております。それぞれ理由というのもあるわけでありまして,一人ひとりについて,この人はこうであると,人の特定にまで繋がることについては,コメントを控えたいと思います。

新型コロナウイルス(邦人以外の日本渡航後の意向)

【毎日新聞 田所記者】あとは別の質問でして,細かいんですが,今回初めての外国人の中国,台湾の方がいらしたわけで,日本人の家族等だということなんですが,検査の後も,日本に留まるつもりなのか,台湾など別の地域に移動する意向があるのかなんて,把握されてますでしょうか。

【茂木外務大臣】詳しくは把握しておりませんけれど,やはり家族で一緒に暮らしたい,こういうご事情,これも配慮してですね,今回邦人以外の方の帰国も実現した,こう考えております。

新型コロナウイルス(チャーター機費用負担)

【産経新聞 力武記者】これまで帰国された方についてはですね,政府の方でチャーター機の費用を負担するという方針をもう示されていますが,今回,帰国された方の中におられる日本国籍以外の方についても,同様の対応をとられるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

【茂木外務大臣】まだ正式に決まっておりませんが,その方向で考えたいと思います。

新型コロナウイルス(チャーター機第5便,親・子関係の詳細,重篤な持病のある在留邦人)

【NHK 高野記者】関連でお伺いします。3点あります。チャーター機第5便,数名が残られているということですが,チャーター機第5便について,具体的に検討があるのかという点と,あと細かいですけれども,親・子関係というのは日本人の子どもということなのか,それとも義理の母親とか父親とか,要はおばあちゃんみたいな人が含まれるのかという点と,あと最後に,重篤である方もいらっしゃると思うんですけれども,他に病気の方もいらっしゃるかもしれないんですけれども,こういう方は帰国希望者の中に,残ってらっしゃる方に入っているかどうかお伺いできますか。

【茂木外務大臣】まず第一点目でありますが,チャーター機の派遣も含めてですね,あらゆる手段を追求して,希望される方,全員の帰国を実現したいと思っております。二点目の詳細につきましては,事務方の方にお問い合わせいただければ,そんなふうに思っております。そして,三点目,重篤だというのは武漢にいらっしゃる重篤の方のことをおっしゃっているんですか。

【NHK 高野記者】そうです。

【茂木外務大臣】少なくとも,今の段階で帰国の希望があるとは承知をいたしておりません。

新型コロナウイルス(日本永住権を持つ中国人女性)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 浜本記者】一点ほど。昨日の新聞報道で,日本に永住権があり,日本で暮らしている中国人女性と,その子どもの搭乗を断ったというのがありましたけれども,これは事実でしょうか。

【茂木外務大臣】ごめんなさい。もう一回言ってください。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 浜本記者】昨日の新聞報道で,日本に永住権があり,日本で暮らしている中国人女性と,その子どもの搭乗を断ったというふうな報道があたったんですけれども,もしそれが事実であれば,現在,この女性の最新の状況というか,そういうのを教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】そのような事実は,私(大臣)は把握をいたしておりません。

新型コロナウイルス(クルーズ船)

【ロシア新聞 レーニン記者】ダイヤモンド・プリンセス・クルーズ船に関連する質問ですが,今日,新型コロナウイルス感染が確認された新しい41人になりますが,この人の中にはロシア人がいますか,どうですか,

【茂木外務大臣】ダイヤモンド・クルーズ,この件に関しましては,所管しております国土交通省そして厚生労働省の方に,情報についてはお問い合わせをいただきたいと思っておりますが,ダイヤモンド・クルーズ,ご案内のとおり多くの国籍,そして人数の方,外国人の方が搭乗されているということでありまして,一昨日の15時30分から外務省におきまして,船内に留まっている乗員・乗客の国籍等の外交団,76か国の国際機関105名の方に対してまして,厚生労働省及び国土交通省の担当者から,検疫等の状況について,説明を行わせていただきました。今後とも,対外的にも丁寧な説明に努めていきたいと思っております。

新型コロナウイルス(第3便で搭乗拒否された方々)

【テレビ朝日 大石記者】チャーター機の話に戻るんですけれども,第3便で,中国側の検査によって搭乗拒否された7名の方がいらっしゃったと思うんですが,この方についても第4便に搭乗できたということでよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】ちょっと待ってください,できたと思うけど,そうだよね。できました。

新型コロナウイルス(クルーズ船)

【テレビ朝日 大石記者】もう一点,クルーズ船の関連でお伺いさせていただきたいんですが,船内に外国人の方も相当数残っていらっしゃるかと思うんですけれども,例えば各国の政府の方からその外国人に対して,何か要望等というのは届いていたりするのでしょうか。

【茂木外務大臣】一つひとつですね,海外から,外国政府から要望等がありましたら,きちんとお聞きして,できる対応はしたいと思っておりますが,クルーズ船の中につきましては,まさに先ほど言いましたように,国交省そして厚労省の方に詳細は聞いていただきたいと思いますが,いずれにしても,そういった要望が海外からありましたら,しっかりとお聞きしたいと思っております。

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