記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和元年11月5日(火曜日)9時30分 於:本省会見室)

日韓首脳間のやりとり(ASEAN関連首脳会議)

【NHK 山本記者】日韓関係について伺います。安倍総理大臣と文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪問先のタイでおよそ10分間,言葉を交わしました。着席して言葉を交わしたというのは,去年九月以来となるそうですが,大臣の率直な受け止めと,今回の対話が関係改善の契機となりうるというふうにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】昨日,安倍総理ですね,ASEAN+3首脳会議の開始に先立って,首脳控室で文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領と余人を交えず,約10分間言葉を交わしました。安倍総理は控室に入った際に,各国首脳と握手をしていたようでありますがその中で文大統領とも握手をし,空いているソファに自然の流れで,腰掛けて会談したということのようです。安倍総理からは文大統領のご母堂のご逝去に弔意を伝えるとともに,先の即位令正殿の儀の礼に李洛淵(イ・ナギョン)国務総理を派遣していただいたことに,謝意を伝えたところです。これに対し,文大統領からは弔意に対する謝意とともに,天皇陛下のご即位に対する祝意と,李洛淵国務総理へのもてなしについての謝意の表明があったということです。また,安倍総理から文大統領に対して,二国間の問題に関する,我が国の原則的な立場をしっかり伝達をしたことでありまして,これまで申しあげているとおり,外務大臣を含め,外交ルートでの意思疎通,こういったものは引き続き継続していきたいと,このように考えています。

RCEP協定交渉

【読売新聞 阿部記者】話題変わりまして,RCEP交渉についてお伺いします。昨日,年内の妥結を見送り,来年の署名を目指すことが,共同声明に盛り込まれました。一方ではインドは不参加を表明している状況ですけれども,インドを含む16か国での妥結を目指している日本として,今後どのような方針で交渉に臨むのかお願いします。

【茂木外務大臣】昨日,バンコクにおきまして開催されました第3回のRCEPの首脳会合では,安倍総理から16か国で早期に交渉妥結し,未来を見据えた,世界最大の自由で公正な,経済圏を完成させることを目指すとともにRCEPの署名を2020年に実現させるべく,引き続き主導的な役割を果たす決意,これを表明したところです。また,今般発出されました共同首脳声明では,ご案内のとおり,15か国の,全20章のテキスト交渉と基本的にすべての市場アクセス上の課題への取組を終了したことを留意し,2020年のRCEP協定の署名に向けて,法的制裁(リーガルスクラブ)を開始することになった。また,インドの未解決の課題の解決に向け,すべての交渉参加国が,共に作業していくことに合意をした。また,このように書かれておりまして,我が国としては,共同首脳声明を踏まえて,16か国での,2020年のRCEP協定署名に向けて,引き続き主導的な役割を果たして行きたいと考えています。

中東和平に対する日本の貢献

【パンオリエントニュース アズハリ記者(英語で発言)】日本の中東政策についてお伺いします。最近アラブ・ニュースによる世論調査が行われ,中東和平の仲介役として日本が適していると考えるアラブ人が約56%を超えたとの結果が出ました。また,同紙は,多くのアラブ人は日本を好意的な国であると考えており,中東における日本外交の更なる役割を期待している旨報じています。この世論調査の結果について,どのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】たしか世論調査の結果は,56%だと思っています。これまで日本が中東和平について果たしてきた役割,これが大きく評価された上での今回の世論調査の結果であったのではなかったのかと思っております。日本としてはイスラエルそして独立したパレスチナ,この二国家の共同によります和平の実現,こういった事が極めて重要であると考えています。先日,アッバース大統領と私(大臣)で会談を持ったところですが,アッバース大統領からも日本の役割に対して,大きな期待が寄せられているところであり,しっかり期待に応えながら,関係国,中東の諸国も含め連携して平和的な解決に向けて,日本としても出来る限り役割を果たしていきたいと思っています。

知沖での米軍墜落事故に係る調査結果

【共同通信 高尾記者】アメリカ海兵隊岩国基地所属の戦闘機部隊で重大事故につながりかねない規則違反が横行していた問題について伺います。軍の報告書で手放しの操縦や飛行中の読書,自撮りなどそういった実態が明らかになりました。実際に戦闘機部隊では空中接触が相次いで,墜落事故に発展しました。外務省,日本政府として,こういった事実を把握されているのでしょうか。また,アメリカ側に何らかの申し入れを行ったのか,あるいは今後,行う予定があるのか,合わせてお聞かせください。

【茂木外務大臣】平成30年12月に高知沖で発生をしました岩国飛行場所属の米軍機2機によります空中接触,墜落事故に関して,本年9月26日,同事故の調査結果の報告書が日本側に提出をされるとともに,米海兵隊のホームページにも公表されているところであります。同報告書によりますと,事故発生要因に関する詳細な調査がなされ,その要因の一つとして,当時,事故を起こした部隊において,規律違反が常態化していたことが挙げられているわけであります。様々な規律違反について,記述もされているところであります。また,平成28年に同じ部隊が起こした類似の空中接触事故につき,言及の上,「当該事故の調査が行われていたならば,平成30年12月の事故のような類似の事故の発生を防止する是正措置が適切にとられていたかもしれない」,このようにされております。米側からこれらの調査結果を踏まえ,部隊の複数の幹部を解任するとともに,プログラムやマニュアルの見直し,管理体制の改善に取り組んでいる旨,説明を受けているところであります。米軍機の飛行の安全確保は米軍が我が国に駐留する上での大前提でありまして,地元の方々に不安を与えるようなことがあってはならないと考えております。我が国におきます,米軍機の運用に際して,安全性が最大限確保されるよう,これまでも,累次にわたり,米側には申し入れているところでありますし,先週,デービッドソン・米インド太平洋軍司令官が,私が表敬された際にも,自分から申し入れを行ったところであります。引き続き,米側に対して,安全面に最大限配慮するよう,強く求めていきたいと思います。

日韓首脳間のやりとり(ASEAN関連首脳会議)

【産経新聞 力武記者】先ほどの日韓関係について,ちょっと戻ってお聞きしたいんですけれども,昨日の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との10分間の対話の中で,文大統領からは,旧朝鮮半島出身労働者の問題などについて,解決策は具体的には示されなかったようですけれども,そういう意味で今回の対話は,日韓関係について,前進したものではないというふうに見た方がいいのか,それとも,首脳間の対話が久しぶりに実現したという意味で,一歩前進したと見た方がいいのか,そこらへんはどのように評価されておられますでしょうか。

【茂木外務大臣】今回の所謂ですね,10分間の言葉を交わしたことをもって,そこまでの大きな評価をするというのは難しいと思います。

日露関係(観光パイロットツアー,日露外相会談見通し)

【朝日新聞 楢崎記者】日露関係について伺います。観光パイロットツアーが天候の関係で一日短縮されました,一行が無事に,二日に根室に戻ってきました。受け止めをお願いします。あと,元島民の間では,この共同経済活動と並行した領土交渉を強く求める声があリます。観光ツアーを含む共同経済活動の取組についての考えをお願いします。

【茂木外務大臣】今回の観光パイロットツアー,日本人観光客の方々が,北方四島を訪問した初めてのツアーでありまして,6月の日露首脳会談の合意を着実に実施した意義がある,このように考えております。今回のツアーで得られた課題であったり,今後への可能性等について,しっかりと精査をした上で,次につなげるべく,今後,ロシア側と協議に取り組んでいきたい,そんなふうに考えているところであります。

【朝日新聞 楢崎記者】少し,話は変わるんですけれども,一部報道で,ロシアのラヴロフ外相とモスクワでの会談について,12月15,16日でのスペインでのアジア欧州会議の後に行われるふうに調整しているというように報じられていますけれども,事実関係の確認をさせていただきたいんですけれども。

【茂木外務大臣】9月の国連総会の際に,日露外相会談におきまして,ラヴロフ外相から訪露の招待を受けたところでありまして,諸般の情勢が許せば,年内にもモスクワを訪問したい,日程的に決まっているのはそこまでです。

日韓首脳間のやりとり(ASEAN関連首脳会議)

【朝日新聞 太田記者】日韓関係について話戻るんですけれども,韓国大統領府の説明によると,安倍総理と文在寅大統領との対話の中で,文氏が必要であれば,高位級の協議を提案した。

【茂木外務大臣】ごめんなさい。

【朝日新聞 太田記者】高位級の,ハイレベルの協議を検討したいと提案して,安倍総理が,「あらゆる可能な方法を通じて,解決方法を模索するように努力しよう」と応じたとされていますが,この点の事実関係を教えてください。

【茂木外務大臣】韓国側,高官級協議と,こういうふうに表現をしていると思います。安倍総理としては,従来から述べてきているとおり,外務大臣も含めた外交当局間の意思疎通,この重要性,これについては確認をしたわけでありますが,率直に申し上げて,なんていうか,高官級協議かどうか,そういったレベルの問題よりも内容が重要だと,そんなふうに思っています。

【朝日新聞 太田記者】ということは,そのような会話はなさっていないということなんでしょうか,安倍総理からは。

【茂木外務大臣】何がですか。

【朝日新聞 太田記者】高官級の,よりレベルをあげた協議をする必要性とかのやりとりはなかったんでしょうか。

【茂木外務大臣】ですから,私の前半部分の答えがそうで,もう一回言いましょうか。

【朝日新聞 太田記者】すみません。

【茂木外務大臣】韓国側は,高官級の協議と,これについて言及したと。安倍総理はですね,従来から述べてきているとおり,外務大臣も含めた外交当局間の意思疎通が重要であると,このように述べたということです。

核兵器廃絶決議案の採択

【朝日新聞 竹下記者】週末に採択されました核廃絶決議案について,お尋ねします。大臣談話も出されておりますけれども,今回の決議案はですね,前回の委員会採決より12か国,賛成国が減っておりまして,アメリカも棄権しております。有識者からは,大幅に減退したのではないかと,決議案の内容についてですね,批判もありますけれども,この決議案の評価と採択の結果について,改めて,大臣の考えをお願いします。

【茂木外務大臣】前回と比べて,昨年と比べて減っていると,一昨年と比べると増えていると,こういう状況でありますが,二日,我が国が提出致しました,「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来思考の対話」と題する決議案が56か国の共同提案国を含みます148か国の支持を得て,採択をされたところであります。本決議案の採択を通じてですね,各国が一致して取り組むことができる共通の基盤の形成を促すとともにですね,明年のNPT運用会議に向けた機運が高まることを期待しているところであります。今年の決議案,核兵器国については,共同提案国であります英国に加えて,昨年は棄権でありましたフランスも支持をしてくれました。更に,核兵器禁止条約を支持する国を含め,様々な立場の多くの国々の支持を得て採択をされたと考えております。橋渡しに努めている我が国の取組や考えが一定の支持や理解を得られたものと,このように考えているところであります。

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