記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和元年10月25日(金曜日)10時18分 於:本省会見室)
安倍総理と李洛淵(イ・ナギョン)国務総理との会談
【NHK 山本記者】日韓関係について伺います。昨日,安倍総理大臣,韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相と会談しました。関係改善のきっかけになるかと注目されましたけれども平行線に終わったようです。韓国側は文在寅(ムン・ジェイン)大統領との首脳会談に期待を寄せているようですけれども,改めて日韓関係をめぐる日本政府としての立場について説明をお願いいたします。
【茂木外務大臣】昨日の会談,限られた時間でありましたが,旧朝鮮半島出身労働者問題について,安倍総理自ら韓国の政治指導者に対して,直接我が国の明確かつ一貫した立場をしっかりと伝えたこと,これは意義があったと,このように思っております。
国と国との約束を守ること,これが基本になるという日本の立場を明確に伝えられたと思っております。また両国の間で,外交当局間の対話や様々な交流の重要性についても認識を共有できたことも意義があったことだと考えております。
首脳会談については,韓国側がそういった首脳会談を行えるような環境を整えられるかどうか,これに私(大臣)はかかっているのだと思います。
【読売新聞 阿部記者】関連でお伺いします。李洛淵総理からは,韓国は日韓請求権協定を遵守しており,今後もそのようにするというような発言がありましたけれども,韓国の総理からこうした認識が示されたことについて,大臣の受け止めをお願いします。
【茂木外務大臣】そこは日本側とは認識が違っております。
「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」議長レポート提出
【朝日新聞 竹下記者】核軍縮に関する賢人会議の関係でおたずねいたします。先日,2年間にわたる議論をまとめた座長名のレポートを外務省に提出しました。会議としての合意文書ではなくて議長レポートという形になりましたけれども,この報告書についての大臣の受け止めと評価をお願いします。
【茂木外務大臣】まず白石賢人会議座長をはじめ,メンバーの皆さんには様々な形でご尽力いただいたことを,心から敬意を表し感謝を申し上げたいと思っております。
その上で今回の議長レポートは,核兵器廃絶に向け真に乗り越えなければならない,軍縮と安全保障の関係に関する困難な問題に焦点を当てつつ,これまでの賢人会議における議論を総括するものとして,「議長レポート」という形で取りまとめていただいたものだと承知をいたしております。
核兵器のない世界の実現に向けて,核兵器国と非核兵器国,双方の協力を得て,現実的かつ実践的な取組を積み重ねていくことが重要であります。2020年のNPT運用検討会議に向けて,同会議が意義ある成果を収めるものになるように,今回の賢人会議における議論の成果を活用し,またNPDIメンバー国との連携を通じて,引き続き議論に積極的に参加していきたいと思います。
【朝日新聞 竹下記者】関連なんですけれども,報告書の中では盛り込まれなかったんですけど,有識者から今後,政府関係者を交えて1.5トラックのような会合で議論してほしいというような要望も出ています。大臣として設置をするお考えがあるかどうか。言及ありましたら,NPT再検討会議も控えておりますけれども,設置の時期はいつごろが良いと考えておられるかお願いします。
【茂木外務大臣】今後の取組につきまして,1.5トラック会合の開催の可能性も含め,今回の「議長レポート」を踏まえて検討していきたいと思っております。それ以外はまだ日程的に決まっているものはございません。
日韓関係(安倍総理と李洛淵国務総理の会談を踏まえて)
【産経新聞 力武記者】昨日の安倍首相と李洛淵首相との会談について,先ほど李洛淵首相が請求権協定を遵守してきたと述べたことについて,茂木大臣は日本側と認識が違っているとおっしゃいましたけれども,この1年間、大法院判決が出てから,日本側は再三にわたって国際法違反の是正というものを求めてきたと思いますが,ここに至っても李洛淵首相の認識が違っているという中で,日本企業の資産の現金化という手続きも進んでいますけれども,今後、韓国側の対応をどのように求めていかれるおつもりでしょうか。
【茂木外務大臣】旧朝鮮半島出身労働者問題をめぐる問題につきましては,丸一年,現在に至るまで,韓国政府が国際法違反の状態を是正せずに,また原告によります資産差し押さえの動きが進んでおりまして,政府として事態を深刻にとらえております。先ほど申し上げましたが,政府としては韓国政府に対して国際法違反の状態の是正を強く求める,こういった立場に変わりはないわけであります。そして,いずれにせよ,日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも,あらゆる選択肢を視野に入れて,毅然として対応していきたいと思っています。
即位礼に併せた外交
【共同通信 高尾記者】即位礼に併せた外交について伺います。安倍総理と各国元首らによる会談,相次いで開催されていて,茂木外務大臣も各国の外相らと会談しました。まだ続いている部分もあるんですが,これまでの評価,あるいは今後,将来に向けた課題などあればお聞かせください。22日に大臣も即位礼正殿の儀に参列されたと思いますが,その感想も合わせて聞かせていただければと思います。
【茂木外務大臣】今回の即位礼正殿の儀,世界191の国・地域・国際機関の代表も参列をされて,正に日本の伝統と文化に根ざした歴史的な機会であったと,このように考えております。私(大臣)も即位の礼に参列する各国の要人との間で,外相会談等を重ねたわけでありますし,また,関連する行事の機会に,例えば王岐山(おう・きざん)副主席とは,ちょうど一昨日の総理主催の晩餐会の同じテーブルで隣の席でありましたから,かなり長い時間にわたって話をする機会があったり,様々な国の代表と,こういった関連行事の機会にもお話をする機会があったところでありますが,一連の行事,そしてまた個別の会談,これは令和の新しい時代を迎えた日本について各国のご理解・関心を一層深めていただくとともに,世界の平和と繁栄に向けて,国際社会と共に手をたずさえ,諸課題の解決に向けて取り組んでいく我が国の考え方,これを共有する,また,発信する良い機会になったと,こんなふうに考えております。
李洛淵総理の請求権遵守発言
【東亜日報 キム記者】先ほど,李洛淵総理の請求権遵守発言について日本側との認識が違うとおっしゃったんですけれども,具体的にどういうふうに違いますか,ちょっと伺いたいんです。
【茂木外務大臣】日韓関係につきましては,ご案内のとおり,1965年の請求権協定,これによりまして全ての問題が解決されている,これが日本側の基本的な認識であります。そこについてなんらかの形で,個人であれ,日本の企業に対して,その後請求をすると。それに対して,大法院であろうが,そういう請求について支持をする,これは請求権協定に決められた内容とは異なっている,反しているという意味において立場が違っているということです。
菅原経済産業相の辞任
【朝日新聞 楢崎記者】菅原大臣の辞任について伺いたいんですけれども。茂木大臣,経産大臣時代に副大臣を菅原大臣,務められていたんですが,今回の辞任についての受け止めと,安倍内閣に与える影響についてお願いします。
【茂木外務大臣】政治家の出処進退,正にこれは政治家自身が決める問題であると,このように考えております。