記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和2年2月28日(金曜日)14時02分 於:本省会見室)

日中関係(楊潔篪中央政治局委員の訪日)

【NHK 山本記者】中国の楊潔篪(よう・けつち)政治局委員との会談の調整状況と,会談される場合にどのようなテーマが議題に上がる見通しでしょうか。

【茂木外務大臣】今日の午後,おそらくこれから1時間後ぐらいになると思いますが,会談する予定であります。楊政治局委員との間では,新型コロナウイルスの感染症拡大の防止であったりとか,習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席の訪日に向けた連携などについて意見交換したい,このように思っております。

新型コロナウイルス(各国による日本からの入国制限)

【NHK 渡辺記者】新型コロナウイルスの関係でお伺いします。各国で日本のパスポートを持った日本国民の入国の制限とか,そういったものが広がっておりますけれども,現時点で何か国あるのかということと,昨日,たびレジに登録しているのですが,オマーンで日本の方がクルーズ船から上陸ができなかったという話もあったということで,そういった状況がありますが,日本政府として,今後対外的にそういった日本人の方が上陸できないとかそういうことがあった場合を考えて,どのようなことを考えていらっしゃるのか,対策を含めてお話を伺えればと思います。

【茂木外務大臣】まず,質問でありますけれども,日本だけにこういった入国制限であったりとか入国後の一時観察処置,こういうことをやっている国はない,このように承知をしております。その上で27日時点で外務省が確認をしている限りにおいて,ミクロネシア,サモア,キリバス,ツバル,ソロモン諸島,コモロ,イスラエル,クウェート,サウジアラビア,モンゴルの11か国の関係当局が,我が国を含みます新型コロナウイルス感染症が確認されている国・地域からの入国制限等を実施していると承知をいたしております。  また,オマーンの話もありましたが,カザフスタン,リベリア,インド・ケララ州,タイ,オマーン等15か国・地域においては,我が国を含みます新型コロナウイルス感染症が確認された国・地域からの渡航者等に対しまして,入国時あるいは入国後に,医療検査措置であったりとか観察措置等が実施されていると承知をいたしております。
 こういった国への渡航者に対する入国制限措置又は入国後の行動制限について把握している情報は,外務省海外安全ホームページ等に掲載をして,広く注意喚起をしているところであります。
 また,個別の事案につきましても,今どういう状態でどういう支援が必要か把握をした上で,現地の大使館等におきまして必要な支援等を行っているところであります。
 また,こうした国・地域を含みます国際社会に対して,我が国の状況であったりとか取組に関する正確な情報を,適時適切に発信していくことはきわめて重要だと考えておりまして,引き続き,国内外に対しましてしっかりと情報発信をしていきたいと思っています。

NPT運用検討会議の日本政府の立場

【共同通信 渡会記者】NPT関連でお伺いします。NPTが3月で発効50年を迎えますが,核保有国と非保有国が現在対立した状態です。日本政府は,これまで段階的な核削減の立場を掲げていますが,4月から再検討会議ではどのような姿勢で臨むのか,お聞かせください。

【茂木外務大臣】NPTは,国際的な核軍縮・非拡散体制の礎石でありまして,我が国はNPT体制の維持・強化を重視しております。現在,ご指摘のように,核軍縮の進め方をめぐる国家間の立場に大きな違いが見られるわけであります。この中で,各国が共に取り組むことができる共通の基盤となり得る具体的な措置を見出す努力を粘り強く続けることで,本年のNPT運用検討会議に向けた機運を高めていくことが重要であると考えております。
 具体的にいくつかのことを行っておりまして,その観点から,我が国は,昨年の国連総会におきまして,核軍縮について,各国が共同で直ちに取り組むべき行動の重要性を訴える決議案を提出して,この決議案,核兵器国でありますイギリスやフランスを含みます160か国の支持を得て,採択をされました。また,10月には,我が国が主催します核軍縮の実質的な進展のための賢人会議,議論を総括しまして,「議長レポート」が提出をされたところであります。更に,昨年の11月,G20愛知・名古屋外務大臣会合,これを行った際に,軍縮・核不拡散イニシアティブ,12か国の外相会合,これを私(大臣)が主催をいたしまして,共同議長を務めたわけでありますが,同会合では,本年のNPT運用検討会議に向けた決意を表明する外相共同声明,これを発出いたしております。
 今年のNPT運用検討会議が,意義ある成果を収めるものとなるように,今申し上げたような取組等を通じて,引き続き国際的な議論に積極的に貢献していきたいと思います。

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