記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和2年2月25日(火曜日)9時58分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルスへの対応(韓国)

【茂木外務大臣】私の方から韓国の大邱(テグ)広域市及び慶尚北道清道郡(けいしょうほくどうチョンドぐん)に対する,感染症危険情報の引き上げについて発表いたします。
 韓国政府の発表によりますと,2月19日以降,大邱広域市及び慶尚北道清道郡において感染症例が急増し,24日までに計607例が確認されております。
 また,韓国政府は,21日,大邱広域市と慶尚北道清道郡を「感染症特別管理地域」に指定し,23日,感染病危機警報を最高段階の「深刻」段階に引き上げているところであります。
 さらに,大邱広域市においては,韓国政府は全ての新天地関連施設を閉鎖し,感染者は病院で隔離措置がとられ,その他の関係者を全員自宅隔離とする等の措置をとっております。また,集団行事の自粛や,全国の学校等の始業の1週間延期等を発表しております。また,慶尚北道清道郡においても,特定の病院での集団感染が確認されているところであります。
 このような状況を総合的に勘案し,大邱広域市及び慶尚北道清道郡に対して「感染症危険情報レベル2 不要不急の渡航の自粛」を発出いたします。
 なお,外務省としては,海外安全ホームページやメールを通じて,感染症スポット情報や領事メールを随時発出し,現地在留邦人及び海外渡航者に対して,注意喚起を行っているところであります。引き続き,現地政府及び関係機関と連携し情報収集を行い,適時適切な注意喚起を行っていきたいと思います。
 レベル2への引き上げ,このあとすぐに実施をいたします。

新型コロナウイルス(ダイヤモンド・プリンセス号:インドネシア人の帰国)

【エコノミック・マンスリー スシロ記者】ダイヤモンド・プリンセス号のインドネシアの乗員の件なんですけれども,先週,大臣から発表されました,ありがとうございました,許可ですね。私の質問なんですけれども,今,インドネシア政府も準備したところなんですが,チャーター機の許可が発表されたのですが,もし迎えに来るときがチャーター機,飛行機ではなく船を送ることは可能でしょうか。両方とも,例えば今,船で迎えに来て,3月何日とか飛行機で迎えに来て,両方とも可能でしょうか。

【茂木外務大臣】チャーター機につきましては今後の運行予定としては,フィリピン,インドネシア,及びインドが航空機の派遣によりまして,自国民を帰国させる意向でありまして,詳細を調整中であります。おそらくフィリピンが最初になるんじゃないかなと思っておりまして,早ければ本日夕刻にも出国予定であります。そのあとインドネシア,インドと,具体的な日程等を詰めることになると思いますが,船での帰国と,ちょっと今,私(大臣)は初めて聞きましたので確認をさせてもらいますが,どういう手段で帰国をしてもらうか,安全な帰国等が確認できるかどうか等々も考えて検討したいと思います。

新型コロナウイルス(習近平中国国家主席の訪日)

【NHK 山本記者】新型コロナウイルルの関係で,3月5日開会予定だった中国の全人代の延期が決まりました。関連して習近平(しゅう・きんぺい)主席の夏の,春の訪日の日程への影響は避けられない見通しになるかと思いますけれども,現在の調整状況と見通しについてお願いいたします。

【茂木外務大臣】もう夏っていうことになっているんですか。24日,全国人民代表大会の延期が決定されたと承知をいたしております。本件を含めて中国の内政について,日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思っております。
 現在,中国政府としても,新型コロナウイルス感染症の拡大防止や事態の沈静化に向け,国を挙げて取り組んでいるところでありまして,日本としてもできる限りの協力をしていきたいと思っております。
 その上で,新型コロナウイルス感染症への対応と,中国の動向は注視しておりますが,現時点では習近平国家主席の訪日は予定通りでありまして,それに向けた準備を粛々と進めていきたいと考えております。

新型コロナウイルス(国際社会の対応,イスラエルによる日本に対する入国制限)

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 新型コロナウイルスをめぐる国際情勢について伺います。一部の国は,日本や中国の国民の入国を禁止していると聞きました。最近では,イスラエルも同様のことを発表しています。現在,日本人や日本から来た人はイスラエルへの入国が禁止されています。このように複数の国が他国からの入国を禁止している国際的な状況について,ご意見をお聞かせください。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 いくつかの国が,我が国だけではなくて,新型コロナウイルス感染症の発症者が確認された地域からの渡航者等に対する危険情報を出したり,入国制限措置,または入国後の行動制限について,そういった措置を発表しております。もし必要であればお話を申し上げますが,お話のあったイスラエルについてでありますが,23日,現地時間になりますが,イスラエル保健省及び入国管理局は,イスラエル到着前の14日間の,韓国及び日本に滞在した外国人渡航者の入国を拒否する旨発表したと承知をいたしております。日本政府として,これまでイスラエル政府に対して,日本での感染防止の徹底等の対策を説明しつつ,日本の安全性について理解を求めてきたところでありますが,改めて日本の感染防止対策や日本国内の状況等について,イスラエルに対しても丁寧に説明していきたいと思っております。

イラン国会選挙

【朝日新聞 竹下記者】イラン情勢についてお尋ねします。21日にイランの国会で選挙がありまして,保守強硬派が大勝したと報道されています。イランでの反米姿勢の高まりとも見られますけれども,今回の結果の受け止めと,今後,日本として,どう米・イランの緊張緩和を呼びかけていくつもりかお願いします。

【茂木外務大臣】中東情勢について,また中東の各国の動向について,常日頃から高い関心を持って注視をしておりますが,他国の内政,選挙について,逐一コメントすることは適切でないと考えておりまして,差し控えたいと思っております。いずれにしましても,我が国,イランとの長年の友好な関係を活かしつつ,中東の緊張緩和と情勢の安定化に向け,引き続き外交努力を続けていきたいと思います。

新型コロナウイルス(自民党内の募金)

【NHK 渡辺記者】コロナウイルスの関係でお伺いしたいと思っています。外務省の鈴木副外務大臣がご自身のブログの中で,自民党内の一人5千円集めて中国に寄付すると,今回の件で支援するということについて,外務副大臣として,日本の外交の一端を預かる者としてこの支援には賛同しないことにいたしましたというふうに,外務大臣としてということで述べているんですけれども。

【茂木外務大臣】外務副大臣じゃないでしょうか。

【NHK 渡辺記者】外務大臣,副大臣として,と述べているんですけれども,これにつきましては,この見解というのは外務省の考え方とは一致するんでしょうか。役職としてこういうふうに述べていらっしゃるので,ちょっとそこだけお伺いしたいと思いました。

【茂木外務大臣】自民党の義援金,これは各議員個々人の判断で,これをなんというか募り,募金をしていると考えております。私は一議員として募金をさせていただきました。

【NHK 渡辺記者】鈴木さんが外務副大臣として賛同しないと言っているんですけれども,これは外務省の考え方としてはこの鈴木さんの行動というのは,意思表明というのはどう受け止めてらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】ですから今申し上げたように,大臣も個人の考えとしてやっているということです。それが外務省の見解です。

新型コロナウイルス(日本からの入国制限)

【テレビ朝日 大石記者】新型コロナウイルスの関連なんですが,日本に対する渡航を抑制するように呼び掛けている国,前回の会見の段階で9か国と大臣はおっしゃっていたかと思うんですが,現状の把握状況と,あと日本からの入国を制限している国についても合わせて把握状況を教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】入国制限についてでありますが,ミクロネシア,サモア,キリバス,コモロ,ツバル,ソロモン諸島及びイスラエルの7か国の関係当局が,我が国を含みます新型コロナウイルス感染症の感染者が所在する国・地域からの入国制限等を実施をしていると。
 また,我が国を含みます新型コロナウイルス感染症の感染者が所在する国・地域からの渡航者等に対しまして,イスラエル,カザフスタン及びインド・ケララ州が入国後の観察措置,タイ,トルクメニスタン及びキルギスが入国時の医療検査措置,これを実施していると承知をしております。
 これら我が国からの渡航者に対します入国制限措置または入国後の行動制限について,外務省として把握しております情報は,外務省の海外安全ホームページに掲載をしております。海外渡航前には,是非同サイトをご覧いただきたいと思います。

【NHK 高野記者】今の関連でお伺いしたいんですが,日本の対策について理解を呼び掛けているにも関わらずイスラエルのような大国も含めて,影響力のある国も含めて入国制限をとっていることはなぜだとお考えか,そういった国に対してより強い理解というか,抗議するだとか,そういうことは求めることはできないんでしょうか。

【茂木外務大臣】どこが大国でどこが大国でない,こういうことについて私のほうからコメントをするのは控えますが,イスラエル政府に対しては,早期の措置解除等について申し入れをすでに行っております。各国に対して,例えば入国制限措置をとっている国に対しても,先ほど申し上げたように,我が国の現在の状況であったりとか,取組等について個々にも丁寧に説明をしているところでありまして,そういったことを引き続き行っていきたいと思っております。

新型コロナウイルス(クルーズ船を下船した外国人数)

【テレビ朝日 大石記者】チャーター機の関連なんですけれども,これまでにクルーズ船から下船されて帰国された外国人の方,外国人の乗員・乗客の方の合計数の把握状況を教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】936人です。

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