記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和2年2月21日(金曜日)9時28分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルス(諸外国によるチャーター機派遣,対外発信)

【茂木外務大臣】ダイヤモンド・プリンセス号の外国人乗客・乗員の帰国オペレーションについて簡単にご説明申し上げます。
 2月17日の米国,19日の韓国,20日の豪州及び香港に引き続き,昨晩から本日早朝にかけて,イスラエル,乗客11名です。そしてカナダ,乗客126名,乗員3名,この方々がチャーター機を運航して,それぞれの乗客・乗員が,我が国から出国いたしました。これまでの合計で759名の外国人の乗客・乗員の方が,出国したことになります。
 引き続き,香港がチャーター機,第2便目になりますが,これを予定しているほか,英国,イタリア,台湾もチャーター機を運航する意向を固め,日程につき最終調整中でありまして,早ければ本日夜にも運航される見込みであります。
 また,インドネシア,及びフィリピンが,今後いずれかの段階で航空機の派遣等により自国民を帰国させる意向を明らかにしておりまして,その他の国からも,今後,同様の要望が寄せられる可能性があります。詳細については,要望を踏まえつつ,今後調整していきたいと思います。
 外務省として,引き続き関係省庁や関係国の大使館等と緊密に連携しつつ,外国籍の方々が必要とされるサポートを得られるよう,できる限り努力をしたいと思います。
 また,昨日改めて,外交団向け,及び外国プレス向けの,新型コロナウイルス感染症についての,日本国内及びクルーズ船の状況についてのブリーフィングを実施しました。在外公館を通じて適時・適切な説明・発信を実施すべく,頻繁に各公館に情報提供を行っておりまして,今後も丁寧に,またしっかり対応していきたいと思っております。

習近平中国国家主席の訪日

【産経新聞 力武記者】習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の訪日についてお聞きしたいと思います。近く楊潔篪(よう・けつち)政治局委員の来日が調整されていると思いますが,そこで習主席の来日についても調整されることになると思います。現状まだ中国の国内で新型コロナウイルスの感染拡大について,まだ収束の兆しが見えない中で,現状,習主席の訪日の準備状況,今後の訪日の見通しについて改めてご認識をお聞かせいただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】まず楊潔篪政治局委員の訪日については,日程等を調整中でありまして,現時点で具体的な日程,決まっているわけではありません。また,習近平国家主席の訪日日程につきましては,今年の春ということで一致をしておりますが,具体的な日程については調整中であります。粛々と準備を進めていきたいと思っておりますが,率直に申し上げていくつかの準備会合等,延期になっている部分もありますので,そういったものも考えながら,準備は加速していく必要がある,こんなふうに思っております。

新型コロナウイルス(各国による日本への渡航制限)

【読売新聞 阿部記者】新型コロナウイルスに関連して,太平洋島嶼国の一部では日本からの入国を制限している国があり,また,米国も日本への渡航注意情報を出しました。外務省が把握しているこうした各国の入国制限や渡航自粛措置の状況と,こうした国々に日本としてどのように理解を求めていくか,大臣のお考えをお願いします。

【茂木外務大臣】これまでに確認しているところで申し上げますと,ミクロネシア,トンガ,サモア,イスラエル,キリバス,ソロモン諸島,韓国,タイ,及びブータンの9か国の関係当局が,我が国を含みます新型コロナウイルス感染症の感染者が所在する国・地域への渡航の抑制の呼び掛けを行っていると承知をいたしております。
 また,米国と台湾の関係当局は,渡航中止や渡航延期の勧告ではありませんが,注意喚起を行っていると,このように承知をしているところであります。米国につきましては,すでに「明らかなコミュニティ感染が認められる目的地」に分類された日本について,レベル1,すなわち「注意レベル」に新たに指定をし,渡航中止や延期を勧告するものではありませんが,通常の注意を払うべき旨の発信をしたと,そのように承知をいたしております。
 いずれにしても,外務省の本省だけではなくて,在米の日本大使館等も通じて,日本での感染防止の徹底や安全性等について,引き続き適時・適切な説明,情報発信を行っていきたいと思っております。

新型コロナウイルス(ダイヤモンド・プリンセス号,旗国主義)

【共同通信 高尾記者】新型コロナウイルス感染症について伺います。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス内で発生した感染症に対し,どこの国が責任を持つのか,その国際的なルールが明確になってないところがあると思います。今回のケースを受けて,日本政府として,国際会議などを通じて,ルール作りを各国に呼び掛けるお考えはあるのでしょうか。大臣のご所見をお聞かせください。

【茂木外務大臣】国際法上,船舶におけます感染症の拡大の防止のための措置については,旗国,そして運航者の母国,寄港国等の関係国のいずれかが,一義的な責任を負うというルールが現在確立されているわけではありません。今回のクルーズ船への対応は,日本の内水であり,また日本の主権が及ぶ横浜港において,防疫上の必要性から,船舶の関係者や関係国と緊密に協力しながら,日本の国内法に基づいて行っているものであります。
 その上で,外交的な観点から,当該船舶の旗国であります英国に対しては,適時・適切に事実関係を説明してきているところであります。
 事態の緊急性ということを踏まえれば,船舶の関係者や関係国が協力して適切に対応すべき,このように思っておりますが,今後のことを考えますと,感染症に対してまずは今ある事態,これに全力で協力をしながら取り組むということでありますが,今後の国際的な協力態勢の構築も含めて,いかなる対応が望ましいのか,一段落したタイミングで検討すべきと,こんなふうに考えております。

新型コロナウイルス(対外発信)

【NHK 渡辺記者】大臣の冒頭のお話で,各国それぞれ,チャーター機で帰国が進んでいるというご紹介がございました。一方で,海外メディアなどを見ていますと,日本の対応に批判が強まっている部分がございますけれども,今後,大臣,日本政府として,帰国が進んでいる中で,そういった誤解もある部分もあると思いますが,そのへんどうやって対外的に説明していくのかというところと,あと,そういった協力関係をどうやって構築していきたいかというところ,そのへんもう少しお願いします。

【茂木外務大臣】冒頭でもお話ししましたように,新型コロナウイルスについて,クルーズ船への対応も含めて,我が国の状況であったりとか取組に関する正確な情報を,透明性を持って国内外に適時・適切に発信していくことが重要と考えておりまして,関係省庁と緊密に協力して対応しているところであります。一つひとつの海外の報道についてコメントする立場にありませんが,是非,正しい報道を発信していただきたい,このように考えております。

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