記者会見
河野外務大臣会見記録
(平成31年4月23日(火曜日)11時30分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)平成31年版外交青書
【河野外務大臣】本日の閣議で,平成31年版外交青書を配布いたしました。これは6月をめどに市販する予定ですが,市販する際には令和元年版ということになろうかと思います。今回の青書では,これまで外交青書を見たことがないという方にも手に取っていただいて,外交に関心を持っていただきたいと思いました。ケンドーコバヤシさんの「たびレジ」登録推進大使による活動ですとか,公邸料理人の任地における経験談,あるいは外務大臣が外国を訪問したときにどんな日程なのかというようなことを盛り込んで,親しみやすいものになるようにいろいろ努力をしてもらいました。
同時に,「自由で開かれたインド太平洋」の推進,あるいは歴史問題などについて,日本の立場をしっかり発信する内容にしてございます。慰安婦問題及び旧朝鮮半島出身労働者問題については,これまでの取組を分かりやすく記述した囲み記事を新たに設けました。
さらに,外務省や国連などの国際機関を目指す若い方々に向けて,採用制度ですとかJPOの概要を掲載し,国際社会で活躍されている方々の声も紹介いたしました。
先ほど申し上げましたように,6月頃に市販もする予定でございます。
(2)G20大阪サミット開催に伴う交通規制
【河野外務大臣】G20大阪サミットの開催に伴いまして,6月27日から4日間,阪神高速において大規模かつ長時間の交通規制が行われる予定でございます。
6月28日,29日に開催されるG20大阪サミットは,37の国と機関の長が参加をする,我が国が主催する史上最大規模のサミットとなります。また,国際的な注目が集まり,日本のおもてなしの精神と様々な魅力を発信する,そういうチャンスでもあります。
地元大阪と緊密に連携をしながら,しっかりと準備を進めているところでございますが,このサミットに参加される首脳をはじめとする車輌の円滑な通行を確保しつつ,社会経済活動や市民生活への影響を最小限にとどめるには,なるべく自動車の利用を,この期間,避けていただいて,交通量を大幅に減らすことが不可欠と思っております。いろいろご不便をおかけすることがございますが,サミットの成功に向け,皆様のご理解ご協力をお願いしたいと思います。
前回の伊勢志摩サミットのときには国家公安委員長として,警備それから交通の責任者をやらせていただきまして,あのときには非常にスムーズなサミットの開催をすることができました。改めて国民の皆様,地元の皆様のご理解ご協力を,外務大臣としてもお願いを申し上げたいと思っております。
(3)韓国による日本水産物の輸入規制に係るWTO紛争解決手続
【河野外務大臣】今日の報道の中で,朝日新聞だったかが,やや正確性を欠く記事があって,日本産の食品の安全性に対して疑念を抱かせかねないものがございました。パネルの報告書の中には,我が国が適切な基準値の設定,モニタリング及び適切な出荷制限管理により,日本産食品の安全性を確保し,これらの取組により日本産食品中の放射性セシウムの濃度が日本及び韓国の基準値を下回るということを,パネルが認めております。
パネル報告書のパラグラフ7の309,「パネルが選任した専門家は,日本が提供したデータが,2015年までに日本産食品中の放射性セシウムの濃度が一般的には1kg当たり100ベクレルを下回る水準に戻ったことを合理的に支持することを,確認した。また韓国に輸入された日本産食品188千件以上の出荷物のうち,1kg当たり100ベクレルを超えたものは1件もなかったことを韓国政府は認めている。」ということが明確に書かれており,上級委員会の報告書の中には,「上訴されていないパネルによる事実関係の評価については,異論を述べない」(と記載されており),意見を述べないということが明確にうたわれております。
きちんとした報道をしていただいて,日本産食品の安全性に,誤った疑念が想起されることがないように,厳にお願いをしたいと思います。
スリランカにおける爆発事案,大型連休中の海外安全対策
【時事通信 越後記者】スリランカでのテロに関してお伺いします。邦人の被害について最新の状況を教えていただきたいということが1件と,これから十連休に入りますが,日本人も海外旅行者が増えると思いますが呼びかけたいことがあればお願いいたします。
【河野外務大臣】ありがとうございます。お一人がお亡くなりになり,4人が怪我をされているという状況でございます。スリランカに関しては,いまスポット情報を出させていただいております。十連休,海外へ出かけられる方が多くいらっしゃると思いますが,ぜひ海外安全のホームぺージをご覧いただいて,行かれる先の安全状況の確認をしっかりお願いをすると同時に,くどいようですが「たびレジ」に登録をお願いしたいと思っております。ぜひ自己責任で楽しんできていただきたいと思います。
韓国による日本水産物の輸入規制に係るWTO紛争解決手続
【朝日新聞 鬼原記者】冒頭,お話しいただいたWTOの関係なんですけれども,お話しいただいたことで若干かぶってしまうかもしれませんが,大臣が12日の会見で「科学的に日本の食品の安全が認められた」と何度か述べられているんですけれども,この文言は報告書の中にはないけれども,先ほどおっしゃった100ベクレルを下回っているとか,そういうことをもって科学的に認められたという表現を使われたということでいいのかということが一点と,上級委員会が,今回一審のパネルが認めた安全性について判断していないということなんだと思うんですけれども,それをもって一審,パネルの判断が踏襲されたというふうに言い切っていいのでしょうか。その辺,お願いします。
【河野外務大臣】上級のことについては,そのとおりでございます。このパネルの報告書の文言を読んでいただければ,日本産食品は科学的に安全であるというふうに科学的な知識のある方は当然にご理解できると思います。
平成31年(2019年)版外交青書
【共同通信 福田記者】冒頭,発言がありましたが,大臣が閣議で報告された2019年版の外交青書について伺います。2019年版には2018年版にあった,「北方四島は日本に帰属」との表現が見当たりませんでした。こういう記述とされた狙いについて教えてください。
【河野外務大臣】外交青書はその年の外交について,総合的に勘案をして書いております。政府の法的立場に変わりがないということは言うまでもありません。
河野大臣のロシア訪問
【NHK 奥住記者】大臣の出張予定について伺います。昨日中に提出された資料の中に5月9日から11日の日程で,日露外相会談のためのロシア訪問というのが記載されています。これは,以前,ラヴロフ外相が日本に来て,外相会談を行うということで発表があったかと思うんですが,大臣が行くことになった経緯ですとか,この外相会談に期待したいことをお願いします。
【河野外務大臣】日露の次の外相会談については現在,調整中でございます。
河野大臣の外国訪問国数
【共同通信 福田記者】話題変わりまして,大臣の外国訪問について伺います。大臣,これまで,延べ99か国・地域に訪問されていますが,次回で100か国・地域になります。大臣,日頃,足を使って直接会って話す外交の重要性を強調されていますが,100の節目を迎えることについて所感があればお願いします。
【河野外務大臣】100,国連加盟国だけでも193あるわけですし,恐らく今おっしゃった100というのは延べ100ということだろうと思います。実際の訪問した先の国数を数えれば,まだ63だと思いますが,まだ三分の一にもなっていないわけでございます。国連の安保理改革ですとか,様々なことを考えれば,やはりそれぞれの国に重要性があるというのが今の国際社会,国際機関の仕組みだと思います。そこは日本の外務大臣として,やはりどの国も取り残さないという精神で外交をやらなければならないというふうに思っております。
訪問先だけでなく,UNRWAの関係だったり,ヨルダンの支援国会合であったり,あるいはヨルダンのアブドラ国王が主催されるアカバ・プロセスであったり,様々な国際的な会議に日本が呼ばれるようになったり,あるいは共同議長をお願いされるようになったということは,日本の外交として非常に重要だと思います。
度々申し上げるように,ODAの金額は減ってきておりますし,軍事力を背景としない外交をやらなければいけない日本として,裸の外交力が試されるという中で,やはりいろんなことをやってくるという中で,やはり外務大臣がきちんとそういう国際的な会議に行く,あるいは二国間の関係をしっかり築いていくというのは,非常に重要なことだと思っております。しっかりこれからも取り組んでいきたいと思います。
平成31年版外交青書
【東亜日報 金記者】外交青書に戻りますけど,日韓関係の部分について,「未来志向」という表現が消えましたけれども,この部分について説明していただければ幸いです。
【河野外務大臣】「未来志向」が消えた? 先ほどから申し上げておりますように,外交青書の文言というのは,その時々の対象となっている年の状況を総合的に勘案をして入れているものでございます。ちょっと手元に今年の最新版がありませんが,日韓関係においてこの31年版が対象としている年は非常に,旧朝鮮半島出身労働者問題に関する大法院判決があり,韓国政府による「和解・癒やし財団」の解散方針の発表など,韓国側の否定的な動きが相次いで起こった年であり,その結果,日韓関係が非常に厳しい状況に直面したということになるわけでございます。
他方,北朝鮮問題を考えれば,日韓,日米韓,この連携が重要だという状況は変わりがありませんし,しっかりと連携をしていかなければいけないという状況に変わりはありませんので,いま手元でその場面を読み上げることができませんが,そういうことも同時に掲載をしております。度々申し上げるように,いま日韓,人的交流は1,000万人を超えて,日韓関係2000年近い歴史の中で一番,人の行き来が多いときでありますから,当然にこうした難しい問題が解決されればですね,未来志向の日韓関係を築くため,また様々動けると期待しております。