記者会見

大菅外務報道官会見記録

(平成31年4月17日(水曜日)16時34分 於:本省会見室)

冒頭発言

外交に関する国内世論調査

【大菅外務報道官】外務省は,毎年度,外交政策についての国内世論調査を実施していますが,今般,本年3月下旬に実施した平成30年度の調査結果がまとまりましたので,その一部を紹介させていただきます。
 例年質問している事項に関しては,まず「地球儀を俯瞰する外交」について,「評価する」との回答が75.6%を占めました。それからもう一つ例年質問している事項,「東アジア地域を取り巻く安全保障環境」について,「いっそう厳しさを増している」との回答が86.7%となりました。 今回の調査では,明年の「東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に際して,世界にアピールすべき点」,本年6月の「G20大阪サミットの課題のうち関心のある分野」,それから8月のTICAD7に関連して「日本の対アフリカ外交で特に力を入れるべき分野」といった設問も設けました。
 更に,昨年末に決定した国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退及び商業捕鯨の再開の方針につきまして,肯定的な評価が約67%にのぼり,「評価できない」との回答を大きく上回りました。
 今回の調査結果の詳細は,このあと外務省ホームページで公開します。

北方領土問題(G20での大筋合意断念)

【共同通信 原記者】6月のG20で予定されている日露首脳会談で,日本政府は平和条約締結交渉の進展が困難と判断し,共同経済活動の実現を急ぐ方針にシフトするという一部報道がありますが,これについての事実関係はいかがでしょうか。

【大菅外務報道官】報道については承知しておりますが,常に申し上げていますとおり,我が国の交渉方針や考え方につきまして,交渉以外の場で申し上げることは交渉に悪影響を与えるという考えから,お答えすることは差し控えたいと思います。 その上で申し上げれば,安倍総理とプーチン大統領はシンガポールでの首脳会談において,領土問題を次の世代に先送りすることなく,自らの手で必ずや終止符を打つという強い意志を共有しています。
 いずれにしても,政府としては領土問題を解決して平和条約を締結するという基本方針のもと,引き続き粘り強く交渉していくという立場です。

駒野元駐イラン大使に係る事案

【朝日新聞 竹下記者】元イラン大使からセクハラを受けたとして,女性職員が刑事告訴されている件についてお尋ねします。昨日,大臣の会見のほうでも外務省として元大使の方に注意をされたということでしたが,これは外務省としてセクハラ行為があったと認定しているということでよろしいでしょうか。

【大菅外務報道官】駒野元駐イラン大使が刑事告訴されているということは承知しています。これまで外務省としては,そのときどきの被害者の意向を踏まえて,今回のように警察に協力することを含め,できるかぎりの措置を誠実に講じてきている次第でありますが,それ以上の点につきましては,警察にて手続きを行っているということもありますので,コメントは差し控えたいと思います。

【朝日新聞 竹下記者】すでに退職された前ケニア大使にもセクハラの疑いについて報道されていまして,こういった事案が続いていることへの外務省の受け止めと,外務省としての再発防止策などの取組などがありましたらお願いします。

【大菅外務報道官】昨日,大臣も会見で申しましたとおり,セクハラ行為というのは許される行為ではないということで,セクハラ行為があったと認定された場合は,外務省として厳しい処分で臨むこととしております。
 一般的な措置ということで申し上げると,これまでも,セクハラ行為について相談できる窓口の設置とか,特に在外公館については,在外公館の勤務状況について申し出ることができるような調査を毎年実施するとか,月1回,セクハラ防止に関する注意喚起をLANで周知するとか,それからセクハラ防止に関する研修を実施する,こういったことを通じて,セクハラ行為について,何よりも相談しやすい雰囲気を作ることに努めております。今回のことも踏まえ,引き続き幹部をはじめとする全職員に対する研修の内容を更に充実させるといった形で,職員の意識向上に取り組みつつ,セクハラ行為があったと認定される事案につきましては,厳しい処分で臨んでいくということです。

英語での日本人の名前表記について

【朝日新聞 竹下記者】昨日の参議院の外交防衛委員会で,河野大臣が人名の英語表記について,ご自身の名刺でも姓・名の順番で表記しているというようなご発言があって,政府全体で考えなければならないというような考えをお示しされましたけれども,現時点で外務省として日本人の名前の英語表記について統一的なルールがあるのかどうか,今後職員の名刺を英語表記にするときに,姓・名の順にするとか,そういった対応を検討されているのかどうか,ありましたらお願いいたします。

【大菅外務報道官】英語による人名表記の扱いについて,現時点では何も決まっていることはありません。今後,関係者による十分な議論が必要な課題だと認識しております。

外交に関する国内世論調査

【産経新聞 原川記者】可能であればお答えいただきたいんですが,冒頭にご紹介いただきました外交に関する調査の結果の中で,「東アジアの情勢が一層厳しさを増している」という設問に対する回答が86%以上にのぼったということですが,これは背景要因としてどういうものがあると外務省としてはお考えになっているんでしょうか。

【大菅外務報道官】詳しくは,このあと発表します資料にもうちょっと詳しく,いろんな設問も出ていますので,それを参照いただきたいと思いますし,また,過去の同様の設問に対する数字もホームぺージで参照していただけると思います。一般論として申し上げますと,我が国を取り巻く安全保障環境につきましては,北朝鮮の核・ミサイル開発,中国の透明性を欠いた軍事力の強化,東シナ海・南シナ海の状況,大量破壊兵器の拡散,深刻化するテロ,新たな領域,すなわち,サイバー空間,宇宙空間,こういった領域における課題の顕在化,こういった様々な要素によって,安全保障環境が厳しさ,不確実性を増しているというふうに認識しております。そういった中での今回の結果かと思います。

韓国水産物等輸入規制,WTO上級委員会報告書

【産経新聞 原川記者】もう一つがですね,先週になりますけれども,WTOの上級委員会の報告書で,一審に当たるパネルにおける主要な判断を否定する内容の報告書が出たことについて,今朝も自民党の水産関連の部会で議論がなされまして,漁業関係者からは風評被害を懸念する声もあがったんですけれども,こういったことも含めて今回の上級委員会の判断後,これを踏まえて政府としては,外務省としては対外的に,あるいは対内的に,どういう説明,広報をされていくお考えでしょうか。

【大菅外務報道官】まず,先週結果が出て以降,強調している点でありますけれども,日本産食品は韓国が定める安全性の数値基準を十分クリアできるものであるという,その事実認定のところにつきましては,パネルの事実認定が上級委員会でも変わらなかったということを強調していく。そういった形でこれまで同様,あるいはこれまで以上に,この点を各国に説明しつつ,風評被害対策にこれまで以上に力を入れていくということかと思います。日曜日に北京で開かれた日中ハイレベル経済対話の場でも,科学的根拠に基づいて,早期に規制を撤廃していくように働きかけることはしておりますし,引き続き力を入れていきます。

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