記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年9月27日(木曜日)17時42分 於:米国・ニューヨーク)

冒頭発言

【河野外務大臣】国連総会のハイレベル・ウィークもあと1日となりました。今日は,「CTBTフレンズ外相会合」と「UNRWA支援閣僚級会合」の二つの会議で共同議長を務めました。そのほか,「北朝鮮の非核化に関する安保理閣僚級会合」,「パレスチナ支援調整委員会閣僚級会合」に出席をいたしました。また,バイの会談はブルガリア,オーストラリア,中国と外相会談を行い,このあと,インドと外相会合をやります。
 「CTBTフレンズ外相会合」では,議長として,CTBTの発効促進,普遍化,検証体制の強化,そしてCTBTが前進する姿を示していく,という重要性について言及し,国際社会に発効促進を呼びかけました。タイが批准をし,ツバルが署名をしております。
 UNRWAの支援のための閣僚級会合では,中東の安定にとっても人道的観点からもUNRWAの活動は重要であるということを申し上げました。
 ポンペオ国務長官が議長を務めた「北朝鮮の非核化に関する安保理閣僚級会合」では,前回来たときは議長席だったのが,馬蹄の一番端っこに席が替わりましたが,歴史的な米朝の首脳会談,あるいは3回の南北の首脳会談など現在進行中の外交努力,あるいは「瀬取り」などの制裁回避活動を踏まえながら,引き続き国際社会が一致して関連の安保理決議を履行していくことの重要性を訴えました。
 パレスチナ支援調整委員会閣僚級会合では、パレスチナ情勢,特にガザの情勢悪化について懸念を表明するとともに,「平和と繁栄の回廊」構想,ジェリコの工業団地,あるいはCEAPADやUNRWAを通じたパレスチナ難民支援,ガザにおける取り組みなどについて紹介をし,関係者の対話のための環境造りに貢献していく日本の独自の試みについて申し上げました。
 ブルガリアとの外相会談では,来年ブルガリアと3つ周年が重なりますので,二国間関係を更に強化をしていくこと,また,西バルカンへの協力を連携してやろうということで一致をいたしました。ブルガリアの外務大臣には来年3月のWAW!に来ていただくようお願いをし,かなり前向きにお返事をいただいております。
 8月の末に就任された新たなオーストラリアのペイン外相と初めて外相会談を行いました。「特別な戦略的パートナー」であり,自由で開かれたインド太平洋を一緒に主導してしこうということで,今後密接に協力をしていきたいと思います。北朝鮮の「瀬取り」に対する対応でオーストラリアと日本がしっかり協力していくことを確認をいたしました。
 中国の王毅・国務委員との間では,10月に実施する方向の安倍総理の訪中を成功させるために,万全の準備を行っていこうということで一致をいたしました。今年だけで外相会談4回目になると思いますが,かなりハイレベルな意思疎通がしっかりできていることが,相互信頼の強化につながっているというふうに思います。また,最近「瀬取り」が中国の近海に場所的にずれているということで,そこは中国に対応していただかなければなりませんので,中国と情報共有をしっかりしながら「瀬取り」対策をしっかりやっていこうということで一致をいたしました。また,中国の旗を掲げている船が「瀬取り」に加わっているという事例もあったことから,情報共有をしっかりやっていこうということを申し上げました。
 このあとは,インドのスワラージ外務大臣と,モディ首相の訪日も視野にいれて,二国間関係を強化していくこと,インド太平洋地域における情勢についての意見交換,それから,その後日本人の国連関係機関の職員の皆さんと意見交換をしていきたいというふうに思っております。
 昨年もハイレベル・ウィークに参加をいたしましたが,昨年は外務大臣に就任して2か月弱でしたので,なんとなく借りてきた猫のような感じでございましたけれども,おかげさまで外相会談,この一年間ずいぶんやらせていただいて,かなりいろんな外務大臣と目で会話ができるようになったというのは実感いたしましたし,いろんな会合に行ってもほとんどの外務大臣は顔なじみで,事前にいろんな打ち合わせも簡単にできるようになりましたし,そういう面では日本の外交の存在感というのを出せたかなというふうに思っております。今日だけでもUNRWAと調整委員会とパレスチナ関係の会合二つ出ましたし,昨日は夜遅く二国家解決の会合もあり,出席をしましたし,パレスチナ関係の会合にかなり多く今回出席をいたしました。日本の中東での関与というのは,シリアの支援会合もありましたし,様々なところで日本が中東に関与している,関与しようとしているということを明確にすることができたのではないか,というふうに思っております。私からは以上でございます。

質疑応答

【記者】大臣,まず北朝鮮の閣僚級会合で,アメリカに対して,今日中国とロシアのスピーチを聞いていますと,北朝鮮の非核化に向けての進展が見られるとして,制裁緩和を求める意見が両国から出ていましたが,こうした意見と日本としてはどう向き合っていくのか。

【河野外務大臣】結局,満場一致で可決されているこの安保理決議は今も厳然と生きていますし,すべての国が,中国,ロシアを含めたすべての国が,この安保理決議に基づいた制裁はしっかり履行していくということですので,そこについては立場は一致していると思います。王毅さんとの二国間の会談の中でも,中国はしっかりこの制裁をやるんだという話がございましたので,いろいろ考えていることはあろうかと思いますけども,少なくとも現実面として安保理決議をしっかり履行しなければならないというところで,国連加盟国,齟齬はないと思っています。

【記者】関連なんですが,中国の王毅さんとの外相会談で「瀬取り」対策を強化されたということですけれども,国連安保理自体は制裁緩和の流れというか動きですね,そういった考えというのは王毅さんから示されなかったのですか。

【河野外務大臣】中国は安保理決議に基づいた制裁をきちんとやると,朝鮮半島の非核化が中国のゴールでもあるとこれまでもたびたび意見交換してきておりますし,今日制裁に関して,場所が中国の近海に移動しているので,自衛隊を始めなかなか我々がそこまで入っていってやることはできませんので,中国にしっかりやっていただかなければいけないということと,中国の旗をつけて「瀬取り」をやっている国については,これは中国に対応していただかなければなりませんので,情報共有をしっかりした上で「瀬取り」対策についても協力をしていこうということになりました。そういうことで,中国を含め国連加盟国,一致をしていると思っていいと思います。

【記者】その関連なんですが,これまでその中国の旗を掲げている「瀬取り」の船に何度も関心表明を日本はしてきたと思うのですが,これについて説明とか今後の中国がどうしていくという話はあったのでしょうか。

【河野外務大臣】中国はきちんと厳しく対応するとふうに国務委員も述べられていましたので,しっかりと情報共有をしてやっていきたいと思います。

【記者】大臣,UNRWAの関連についてお伺いしたいんですけれども,初めて日本として共同議長を務められ今回日本も新たに450万ドル表明されて,各国も支援表明したと思うんですが,今回意義,会合の意義と今後の日本の役割について改めてお願いします。

【河野外務大臣】まあUNRWAが財政的に困難な状況にあるというのはそのとおりでありますし,このUNRWAが例えば学校の運営ができなくなればですね,難民キャンプの若者がすることがなく通りに出るということにもなりかねませんので,このUNRWAが活動を継続していけるというのは非常に大事なことだと思っています。今日クウェートをはじめかなり大きなプレッジがありましたので,非常に会合をやった甲斐があったというふうに思っておりますが,これは来年以降もUNRWAの活動をしっかり継続していくためには少なくとも3年ぐらいの計画をもって,財政の健全性を維持していく必要があると思いますので、今日の会合でよかったねということには当然なりません。これから少なくともまず次の3年間どうしていくかということを関係する国々の間できちんと意見調整していきたいというふうに思います。

【記者】今回は長期的なスパンの話はなかったということですか。

【河野外務大臣】様々な国が複数年でコミットするんだというようなことをおっしゃっておりましたので,今年の残りどうするかということだけでなく,次の何年間を含めしっかり支えていこうということで意思疎通はしっかりできたと思っておりますし,かなり多くの国に賛同していただいたのは非常に喜ばしいことだと思っております。

【記者】大臣,先ほどですね,この一年間の実績を踏まえて今後も日本の外交の存在感を示したいということをおっしゃいましたが,来週2日に内閣改造するというふうに安倍総理大臣おっしゃられてまして,そのあたりの兼ね合いを我々どう受け止めたらいいのかという点と,もう既に総理からですね,何らかのご指示があるのかという,そのあたりいかがでしょうか。

【河野外務大臣】あの,別に何も総理からご指示ありません。日本の外交としてやはりこうしたしっかりとした活動は,誰が外務大臣になっても続けていかなければならないと思いますし,今の日本ならばそれができるというふうに思っております。むしろ軍事的に何もやらない日本として,あるいは財政難でODAが減っているという中で,やはり外務大臣が先頭に立って存在感を示していく必要というのは,これまでと比べても必要性はあると思いますので,誰が外務大臣をやろうがしっかりとした活動を続けていくということは大切だと思いますし,今の外務省の体制を見れば,それをしっかり支えていくことはできる思っています。

【記者】大臣,ちょっと戻っちゃうんですけども,今の日中外相会談でですね,今回の日中外相会談は総理の訪中を控える中での会談だったと思うんですが,その総理の訪中に関してですね,どのようなやりとりを行われたんでしょうか。

【河野外務大臣】総理の訪中について様々準備をしっかりしていこうということで,いろいろこういう協力を前向きに進めていこうという細かな話まですることができました。最後の詰めは事務方でこれからやっていくことになりますが,かなりの時間を割いて総理の訪中の議論をさせていただきました。

【記者】訪中の日程自体は固まったのでしょうか。

【河野外務大臣】あの日程についても事務方でこれからしっかり詰めていきたいと思います。

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