記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年9月24日(月曜日)16時58分 於:米国・ニューヨーク)

冒頭発言

【河野外務大臣】今日から,国連のハイレベル・ウィークが始まりました。いろんな会合が朝からずっと続いておりますが,まず第6回GUAM,ジョージア,ウクライナ,アゼルバイジャン,モルドバのGUAM+ジャパンの外相級会合を開催し,民主主義,法の支配といった普遍的な価値の重要性を指摘をすると同時に,国際社会における法の支配の確立のため,このGUAM4か国と日本の協力,これをしっかりやっていきたい旨表明をいたしました。
 また,先ほどの日・カリコム外相会合では,「日本の対カリコム政策」の三本の柱に基づくカリコム支援を含めた一層の関係強化,そして国際場裡での引き続きの協力を確認をいたしました。
 お昼は,イギリス,フランス両国が共催をしたラカイン州の情勢に関する閣僚級のワーキングランチがございました。私からは,ラカイン州情勢への対応で今必要なのは,まず避難民のキャンプでの生活環境を維持していく,あるいはよくしていくためのバングラデシュ政府の負担軽減策,これは財政支援を含め,これをしっかり国際社会でやっていく必要があるということと,ラカイン州のイスラム教徒の帰還・再定住を促進するための環境整備に関するミャンマー政府の取組み,これをしっかり支援をしていくことが必要だと,これに対して国際社会としてしっかり協力をしていこうということを申し上げました。ミャンマー政府が独立して調査団を作りましたので,そこに対しても国際社会として専門家の支援,そういったことをやっていく必要があろうかと思います。もう一つ大事なのは,ミャンマーの民主化というのがようやく進み始めた,長く続いた軍事政権が先の選挙で終わって,ようやくまだよちよち歩きの民主化,民主的な政府が,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問の下でスタートしたばかりですから,これが逆行するようなことが起こらないように,国際社会として,アウン・サン・スー・チー政権をしっかり支えていくべきだ,ということを申し上げました。
 また,国連総会の議場で行われております「ネルソン・マンデラ平和サミット」に出席をし,マンデラさんと日本との深い関わりに触れながら,来年のTICAD7あるいは日本の開発支援や平和構築に今後とも積極的に取り組んでいこうという決意を表明をいたしました。
 また,「新興する課題と変化するパラダイム」に関する会合が行われましたが,国際連帯税を含む革新的な資金調達が必要だ,少なくともこの問題についての議論をする必要性に言及しながら,SDGsを推進し,国づくり,人づくりに日本として貢献をしていく考えを示しました。
 議長から,やはりこの国際的な連帯税,政府を経由してODAとしてサポートをするのではなく,なんらかの直接必要なところに財源としていく国際連帯税というものに非常に興味を示されました。
 また,朝一番に,トランプ大統領が主催をされました世界薬物問題のハイレベル・イベントがございましたので,これに出席した他,トルコとの外相会談を行いまして,少しトルコおよび地域情勢に関する意見交換をさせていただきました。私からは以上です。

質疑応答

【記者】ミャンマーの会合について2点お伺いしたいのですが,1つめは,国連の報告書でジェノサイドと批判されるなど,かなり批判が強まっている,一方日本は寛容政策をとってきていると思うのですが,そのあたり,今回参加されてみて,スタンスの違いというのはどうだったのでしょうか。また、米国のニッキー・ヘイリー大使が新たな人道支援を発表したというふうに発表されてますが,受け止めいかがでしょうか。

【河野外務大臣】ミャンマー政府が,日本人を含む独立調査団を設置をし,何が起きたかということをしっかりと調査し,提案をするということになっておりますので,日本としては,この独立調査団から要請があれば,専門的な支援を含め,しっかりと支えていきたいと思います。透明性が高い,そしてクレディビリティーのある調査報告が行われることを期待をしたいというふうに思っております。
 ミャンマーの大多数の仏教徒,それと国連,なかなかお互い不信感があるようですから,そこを日本としては,お互いの不信感を取り除きながら,ラカイン州のイスラム教徒がしっかりと帰還再定住できるような支援をすることが大切だということを訴えて参りました。
 もう一つ,さきほども申し上げましたけれども,ミャンマーの民主化プロセスようやく始まったばかりですから,これを逆行させるようなことがあってはならないというふうに思っております。
 日本として,ミャンマー政府が設置した調査団の調査がしっかり前へ進むということと,この帰還再定住を国際社会として支えていく,それからバングラデシュが100万人近い避難民をしっかりと受け入れてくれておりますので,バングラデシュ政府に感謝する意味でも、この財政的なギャップを国際社会としてしっかり埋めていく必要があろうかと思います。
 先ほどのランチミーティングの中でもヘイリー国連大使が支援の話をされておりました。非常にいいことだというふうに思います。国際社会がしっかりとミャンマー,バングラ両政府を支えていきたいと思います。

【記者】先ほどアメリカのトランプ大統領が,韓国の文在寅大統領との会談の中で,二回目の米朝首脳会談について近く発表することになると発言されましたが,これについて受け止めと期待されることがあればお願いします。

【河野外務大臣】きちんと非核化のプロセスが進むことが大切だというふうに思っております。ポンペオ国務長官とはたびたびやりとりをしておりますが,この二度目の米朝首脳会談が行われるならば,非核化のプロセスがきちっと進む,国連の安保理決議がしっかりと履行される,そういうことになることを期待をしたいと思います。

【記者】北朝鮮問題で関連なのですが,昨日総理は記者団に拉致解決のための日朝交渉の進展に期待感を示されていますけれども,国連総会には李英浩外相も出席する予定と聞いていますが,総会ハイレベル・ウイーク期間中に日朝外相の接触を含めた交渉の進展,動き,働きかけについてはどのように考えられていますか。

【河野外務大臣】日朝の外相の接触というのは,それは国連総会でいろんな外務大臣と接触がありますから,インドネシアのルトノさんとは今日だけでも5回くらい接触してますから,日朝の外相の接触はあるかもしれませんけども,今の段階で会談その他決まっているものはございません。

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