記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年9月3日(月曜日)18時52分 於:アルメニア・エレバン)

冒頭発言

【河野外務大臣】今回,日本の外務大臣として初めてアルメニアを訪問いたしました。アルメニア,そして,コーカサスの重要性について認識を新たにしました。
 アルメニアの位置するコーカサス地域は,アジアと欧州のゲートウェイということであります。この地域の安定は,地域レベルの関心事に留まらず,国際社会の平和と安全に直結いたします。 今回の訪問では,ムナツァカニャン外務大臣との外相会談,サルキシャン大統領表敬,パシニャン首相表敬を行い,昨年日本とアルメニア外交関係樹立25周年を迎えましたが,この関係を更に発展させる方策について,有意義な意見交換ができたのではないかと思います。
 外相会談では,アルメニアを含むコーカサス地域の自立的な発展のための協力方針として,国造り作りを担う人造りの支援,そして魅力あるコーカサスを造るための支援からなる「コーカサス・イニシアティブ」を打ち出しました。
 アルメニアは,IT分野をはじめ,優秀な人材を擁するなど,日本企業との協力の潜在的な可能性を有しております。今年2月,投資協定に署名をいたしましたが,今般の「コーカサス・イニシアティブ」の発表により,日本とアルメニアの今後の協力関係が強化され,日本企業がさらに進出をし,両国間の様々なレベルでの人的交流が進むことを期待をしたいと思います。
 その他,今回の会談では,東アジア情勢,コーカサス情勢,あるいは中東情勢,国連をはじめとする国際場裏における協力などについて意見交換をいたしました。特に,北朝鮮に関しては,安保理決議の完全な履行が重要だということで一致をいたしました。
 この訪問を通じて,日本とアルメニアとの関係が,経済あるいは国際場裏において幅広く協力関係を深めていけるように努力してまいりたいと思います。

質疑応答

【記者】今日の外相会談の冒頭でですね,アルメニアが基本的価値を共有するパートナーだという発言もありました。この基本的な価値を共有するという具体的な意味について,特にこのコーカサス3か国とですね,具体的にどのような分野で共有しているとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】アルメニアは極めて民主的且つ平和的に政権の移行が今年行われました。自由民主主義あるいは法の支配といった共通の価値観を共有している国々と日本はさらに協力関係を深めていきたいと思っておりますし,このアジアとヨーロッパの結節点でありますコーカサスのこの3か国と経済的にも協力関係を深めていくたいというふうに思っておりますので,人造りあるいは環境ですとか,投資環境といった魅力あるコーカサスを造るための支援といった,この「コーカサス・イニシアティブ」を通じて,日本とこの3カ国の関係を深めていきたいというふうに考えております。

【記者】この地域はAIIBなどを通じて,中国も存在感を強めてきていますけれども,そういった中国の影響力等どのように今受け止めていらっしゃいますか。

【河野外務大臣】特に中国云々ということは今回考えておりません。このコーカサス地域と日本の関係をまずしっかりと強化してまいりたいと思いますし,特にこのアルメニアは先ほど訪問したTUMOセンターのようにですね,ITに関して非常に有能な人材を排出しているわけですから,日本の企業との親和性というのはあるんだろうというふうに思っております。そうした潜在的な可能性をしっかりと引き出せるように我々としても努力していきたいと考えております。

【記者】中国についてもう1点だけお伺いしますが,今日習近平国家主席がアフリカとの会議で3年間で6兆円以上のですね,拠出をすると表明されましたけれども,こうした中国のさらなるアフリカ等へのですね,影響力の向上というか,そういう動きについてどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

【河野外務大臣】中国のそうした経済的な関与が世界経済全体の発展につながるようなものであるならば,これは多いに歓迎をしたいと思います。ただ,インフラについては,やはり透明性,開放性あるいは受け手側の財政の健全性といった,やはり国際的なスタンダードをきっちりと満たしているという必要があろうかと思いますので,そうしたことに十分気をつけてやっていただきたいというふうに思っております。

【記者】最後に1点だけ,北朝鮮との関係で今日,拉致問題の解決への協力についても要請されたのでしょうか。

【河野外務大臣】拉致問題についても取り上げ,先方からはそうした問題についてもしっかりと協力していきたいというお話をいただきましたので,これは非核化,ミサイルの放棄と並んでこの拉致問題についてもアルメニア政府にしっかり認識をしていただいている,大変喜ばしいことだと思います。

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