記者会見
河野外務大臣会見記録
(平成30年8月28日(火曜日)14時05分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)障害者雇用に関する外務省の状況
【河野外務大臣】今般,厚生労働省からの再点検依頼を受けまして,厚生労働省の指針に基づいた調査を行った結果,当省における障害者の法定雇用率が達成されていないということが判明いたしました。大変申し訳なく思っております。
この事実を重く受け止めて,法定雇用率の達成に向けて,人事課に障害者採用班を創設し,採用活動にしっかりと当たってまいりたいと思います。
(2)日露次官級協議及び北方四島における共同経済活動の人の移動に関する局長級作業部会
【河野外務大臣】8月30日,モスクワにおきまして,森健良外務審議官とモルグロフ・ロシア外務次官との間で,日露次官級協議を開催いたします。日露二国間関係全般,あるいは北方四島での共同経済活動を含む平和条約締結問題,国際情勢等について議論する予定であります。
また,その前日の8月29日,モスクワにおきまして,宇山秀樹欧州局参事官とラティポフ・ロシア外務省領事局次長との間で,北方四島における共同経済活動について,人の移動に関する局長級作業部会を開催いたします。
今年9月のあり得べき総理の訪露を直前に控えて,有意義な協議となることを期待しております。
障害者雇用に関する外務省の状況
【朝日新聞 清宮記者】冒頭の障害者雇用の件ですが,どうして実際は法定雇用率に達していないのに,今までは水増しというか,多くなっていたのか,意図的なものだったのかについてお考えをお願いします。
【河野外務大臣】本来は,障害者手帳を持っている方をカウントすべきところ,医師の診断を受けた診断書ベースを含めて,今までカウントするということが慣習として相当長く続いていたようであります。意図的に水増しするということではなかった,と私(大臣)は理解をしておりますが,いつからこうしたカウントの仕方になったのかというのが,今の時点でははっきりしておりません。厚労省の今回の指針に基づいて調査を行なった結果,手帳を持っていない方もこれまで数に入れていた,手帳を持っている方を純粋に数えると法定雇用率を達成していなかったということが明確になりましたので,そうしたことについてお詫び申し上げるとともに,今後,この法定雇用率,これは民間企業にはお願いをしているものでありますから,当省としてもきちんと達成できるように努力していきたいと思います。
【毎日新聞 田辺記者】具体的な数字として,何%という数字が何%,何人という数字が何人に,というのをお願いしたいのですが。
【河野外務大臣】再点検に基づいた数値,外務省は算定の基礎となる職員数が6334人,雇用されている障害者の数が25人,実雇用率が0.39%,不足している職員の数が120人ということになります。
【共同通信 池田記者】今後の対応として,採用班を創設されるということなんですが,これは全省庁横並びの対応なのか,外務省独自の対応なのかということと,この採用班というのは具体的にどういう活動をしていくのか,イメージがあれば教えてください。
【河野外務大臣】すいません,ほかの省庁がどのような対応をするかということを,私(大臣),了解をしていないものですから,横並びかどうかというのは後で人事の方へお尋ねをいただきたいと思います。
厚労省やハローワークと少し連携をして,しっかりと障害者の方の雇用に努めていきたいと思います。それを担当する業務を主にこの採用班が行うということになろうかと思います。
ミャンマーに関する国連事実調査団による最終報告書の公表
【ジャパンタイムズ 吉田記者】27日の国連の人権委員会の方がミャンマーに派遣した調査団の報告書が出まして,ミャンマー側にジェノサイドの意図があって,軍の最高幹部を国際法に基づいて訴追すべきだと,こういう報告書が出ているんですけれども,これについて日本政府としての見解,また事実確認の把握なり,認識なりどうなのかと,この報告書に関してどう思われるかということと,日本としてミャンマーなり,国際社会に対して何かしらのアクションを取ることがあるのかどうかお願いします。
【河野外務大臣】この報告書がどのような調査に基づいて出された報告書かというのは,まだ把握をしておりませんので,そこについては,今,ちょっと申し上げるわけにはいきませんが,ミャンマー政府が外国人2名を含む独立調査団を設置をいたしましたので,日本としては,その調査団がしっかりと調査をし,提案を1年以内に出すと伺っておりますので,それをしっかりとやっていただきたいと思っております。
【ジャパンタイムズ 吉田記者】逆に,それが出るまでは日本としては特に反応しないということで。
【河野外務大臣】日本としては,バングラデシュに避難をされているラカイン州のイスラム教徒を始め,しっかりとミャンマーに戻ってきてもらうための努力を,今,バングラデシュ政府,ミャンマー政府両国がやっておりますので,それをしっかり支援していきたいと考えております。
秋葉事務次官の訪中
【共同通信 田窪記者】秋葉次官が,近く訪中すると報じられておりますけれども,総理の年内訪中を控えて,日中間では海の問題など懸案も横たわるわけですけれども,次官の訪中の意義,狙いについてお願いします。
【河野外務大臣】秋葉次官が8月29日から9月1日まで,中国に出張し,カウンターパートになります楽玉成(らく・ぎょくせい)中国外交部筆頭副部長と日中関係等について意見交換を行います。その後,深圳において現地の経済社会状況の視察などをして,戻ってくる予定になっております。
米・メキシコNAFTA再交渉をめぐっての2国間基本合意
【日経新聞 林記者】アメリカとメキシコがNAFTAの再交渉をめぐって,域内の部品調達率の引き上げで合意しましたが,日本企業への影響と,アメリカが日本に対して二国間交渉で譲歩を迫ってきた場合の対応についてお聞かせください。
【河野外務大臣】メキシコとアメリカの合意,近いという話は聞いております。先般,メキシコの次期大統領,あるいは現政権の外相代行にお目にかかって,NAFTAの交渉でメキシコの日本企業に不利な状況にならないように配慮をしていただきたいというお願いをしてまいりました。先方からは,キシコの日本企業に対する大変好意的な見方が示されましたので,我々としてはメキシコ,あるいはアメリカ政府と今後,しっかりと連携しながら日本企業が不利な立場にならないようにしていきたいと思います。日米の様々な経済交渉の中で,何か,日本が今迫られているということはございません。
北朝鮮における邦人旅行者の拘束疑い事案
【共同通信 福田記者】北朝鮮の邦人拘束について,今,把握している現状と今後の日本政府の対応教えてください。
【河野外務大臣】北京に出てこられたというふうに認識をしております。今後,特に日本政府として,お話を伺おうかとは思っておりますが,特にそれ以外にございません。
【共同通信 福田記者】今回,追放したというふうに朝鮮中央通信が報道していますが,これは日朝間の様々懸案がありますけれども,その話し合いに前向きなシグナルを向こうが送っているというふうに思われますか。
【河野外務大臣】先方の意図について申し上げる立場にはございません。
【朝日新聞 倉重記者】外交交渉のルートの中身になんですが,北朝鮮側は,罪名,拘束した理由についてどのように説明しているんでしょうか。
【河野外務大臣】特に伺っておりません。
【NHK 石井記者】日本政府は渡航に関しては,独自の措置として自粛をしていたと思います。今回,渡航してたということになると思うんですが,その意図をこれから聞くと思いますが,それについて,渡航したということについてどういうふうに,所見を。
【河野外務大臣】今,日本政府は北朝鮮への渡航自粛をお願いしているところでございます。これは自粛でございますから,それでも行かれるという方が今回のようにいらっしゃるという事実は承知をしておりますが,日本政府としては,引き続き渡航の自粛をお願いしたいと思います。
【朝日新聞 鬼原記者】理由について伺っていないということですが,今後の理由が分かった時点で,例えば,それが適切でないと判断された場合は,日本政府から北朝鮮側に何らか抗議みたいなものをするということはあり得るんですか。
【河野外務大臣】現時点で何も伺っておりませんので,今後のことを予断をもって申し上げることはできません。