記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年8月25日(土曜日)9時22分 於:米国・ロサンゼルス)

冒頭発言

【河野外務大臣】ホノルルに続いて日系人コミュニティの大きなカリフォルニアのサンフランシスコ及びこのロサンゼルスを訪問を致しました。特にロサンゼルスは日系人の数でも全米随一でありますし,米国の中で最大規模の日本人街,リトルトーキョーが所在するなど,日系人コミュニティのロサンゼルスにおける存在感は非常に大きいと言ってよろしいかと思います。サンフランシスコを日本の外務大臣が訪問するのは田中真紀子外務大臣以来,実に17年ぶりということになりますし,ロサンゼルスは前任の岸田外務大臣が訪問されて5年ぶりになります。ただ,その岸田大臣の前は19年間を空けて河野洋平外務大臣ということで日本の総理,外務大臣のワシントン・ニューヨークの訪問は多いんですけども,なかなかこのこの日系人コミュニティのある,ホノルル,サンフランシスコ,サンノゼ,ロサンゼルスといったところにこれまでなかなか足を伸ばせていなかったというのは少し反省点ではないかと思います。日本人による初めての海外移住,いわゆる「元年者」から今年150周年,来年はサンフランシスコの近郊に若松コロニーができて150周年という大きな節目の年になります。日系の移住者の方々が多くの苦難に直面し,それを乗り越え,あるいは第二次大戦の間の強制収容といった様々な歴史を乗り越えてこのアメリカ社会の中でも日系アメリカ人の方々が大きな信頼を勝ち得てきたということを我々日本人もう少し広く知ってもらう必要があるのではないかというふうに思っております。サンフランシスコではMIS陸軍情報部の歴史教育センターを訪問し,第二次世界大戦中に太平洋戦線でも活動してきた様々な日系人の方々の歴史に触れると同時にベテランの方にもお目にかかることができました。このロサンゼルスを含め,訪問した3つの都市それぞれで日系の代表の方々にお目にかかって,意見交換することができましたし,外務省が2000年から始めましたJALD,全米各地の日系人のリーダーを日本にお招きをするというプログラムの参加者と久しぶりにお目にかかることもできました。このJALDのメンバーは様々な分野で活躍されている方でもあり,そうした方が日本とのつながりを再構築しようということに大きく関わってくださっており非常にありがたいと思っております。アメリカ国内でも日本に対してこうした日系人の方々を通じて関心を高めると同時に日本国内でこうした日系人の歴史あるいは現在の活躍をもっともっと広めていきたいというふうに思っております。昨日はジャパンハウスLAのグランドオープニングの式典に参加を致しました。サンパウロも先日お邪魔しましたのでこれで3つのうち2つを訪問したことになります。サンパウロは年間の入場者数15万人目標で,もうすでに100万人を突破するという大変な成功を収めております。ここロサンゼルスでも大変大勢の方に昨日出席をしていただき,YOSHIKIさんの祝賀の演奏もありました。ジャパンハウスに対する関心を大いに高めることができたのではないかというふうに思っております。このロサンゼルスから少し,日本の文化・技術といったものに関心を持つ人を増やしていきたいというふうに思っております。また,昨日の正午過ぎから約10分間,サンフランシスコからでありますけども,サンフランシスコにおいてポンペオ国務長官と電話会談を致しました。北朝鮮への訪問の中止とその背景について国務長官からご説明をいただき,引き続き,安保理決議を国際社会として順守していく必要性,そして瀬取りの対応について日米あるいは同志国の間で更に強化をしていくということで話し合いをさせていただきました。私の方からは以上です。

質疑応答

【記者】今話もありましたけども,ポンペオ国務長官と昨日訪朝の中止を受けて電話会談をされたかと思います。会談の内容について,もう少し具体的に,もしお話しできることがあれば一言,それから今回のアメリカの対応に関する受け止め,そして,日本政府の対応についてお伺いしたいと思います。

【河野外務大臣】ポンペオ長官が,来週にも訪朝するということで,その後の日程についても相談しておりましたが,訪朝しないということになりました。その背景について,公にすることは差し控えたいと思いますが,いずれにせよ,この北朝鮮の非核化を進めるために,国際社会が一致団結して安保理決議を守っていく,遵守していくことの必要性,並びに,この瀬取りが大きな抜け穴になっているということから,日米のみならず関連各国で,この瀬取り対策について少し強化をしていこうと,そういうことで一致をいたしました。今後も日米緊密に連携しながら,北朝鮮の非核化に向けて,しっかり後押しをしていきたいと思います。

【記者】ポンペオ長官の訪朝が今回キャンセルになったわけですけども,やや数日前には行くということで調整されていて,今回キャンセルと言うことで,やや全体的に振り回されているということもあると思うのですが,むしろ,こういった中で日朝をやっていくというか,そういったことを以前からやられてますけども,それの意気込みというのは。

【河野外務大臣】極めて,正当な理由での訪朝キャンセルですから,振り回されているという感覚は全くありません。日朝については,様々なルートでこれまでもやり取りをしてきております。

【記者】歴史認識を巡る,ジャパンハウスの活動についてお伺いします。サンフランシスコに慰安婦像が設置されたことを,今回の訪米でも意識されたことがあったと思うのですが,今後どのようにジャパンハウスを慰安婦像について理解を求める上で活用されていくのでしょうか。

【河野外務大臣】特に,そういうつもりはございません。ジャパンハウスは,日本の一般的な文化なり,情報なり,技術の発信ということをやっていきたいと思っております。この,ハリウッドという場所で設置したのは,今まで日本についてあまり興味がなかった方々にも,積極的にこのジャパンハウスに足を踏み入れていただいて,日本に対する関心をもっともっと持っていただきたい,ということであります。

【記者】訪朝の中止のことについてですけども,トランプ大統領は,今貿易摩擦のある中国が非協力的だということも理由のひとつということで上げておりますけども,そのことについてはどう思われますでしょうか。

【河野外務大臣】やり取りの中身については差し控えたいと思います。

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