記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年8月17日(金曜日)19時15分 於:メキシコ・メキシコシティ)

冒頭発言

【河野外務大臣】約3か月ぶりのメキシコ訪問となりました。デ・イカサ外務大臣代行と会談した後,ロペス・オブラドール次期大統領を表敬訪問いたしました。
ビデガライ外務大臣がワシントンでNAFTAの交渉の大詰めで戻って来れないということだったものですから,我々としては,それは状況はよく理解をしているということで、デ・イカサ外務大臣代行と昼食をとりながら会談をいたしました。
 豪雨災害の時に,お見舞いのお言葉,或いは支援の申し出をいただいたことに対してお礼を申し上げました。
 TPP11については,日本・メキシコ双方が国内手続を終えたということを踏まえて,早期発効と今後の拡大に向け,さらに協力していくことを確認いたしました。
 また,NAFTAの再交渉につきまして,メキシコ政府がメキシコ国内にあります日本企業に相当配慮してくださっているということについて感謝申し上げ,引き続きそうした配慮を続けていただきたいというお願いをいたしました。
 日本とメキシコの二国間が,かつてなく緊密に連携をできることになったということを,メキシコ側に感謝申し上げるとともに,新政権についても,この関係をしっかり維持できるようにしていきたいということで、先方と一致をいたしました。
 北朝鮮問題,或いは太平洋同盟との今後の強化ということについて一致をし,また核軍縮,安保理改革といった国際場裏での協力についても意見交換をいたしました。
   ワシントンのビデガライ外務大臣から,わざわざお電話をいただきまして,ちょっとそこでやりとりをいたしました。
 大統領選挙で勝たれた次期大統領ロペス・オブラドール次期大統領との間では,この日本とメキシコの関係,400年の歴史があり,正式な外交樹立130周年というのを迎えることになった,この良好な関係をさらに発展させていきたい。また,先方からも,さらに強化していきたいというお話がございました。
 日本とメキシコの経済関係は,これまでになく緊密な関係にあり,1000社を超える,いわば中南米最大の数の日本企業が進出していることに触れ,NAFTAについて,引き続きご配慮をお願いをいたしました。先方からは,日本企業がこれまで非常に長い間メキシコに投資をし,また雇用を作り出してくれていることに感謝の言葉があり,こうした企業の利益を守れるように最大限配慮をするという決意を伺いました。
 TPP11の早期発効,或いは拡大,太平洋同盟との対話の強化といったことを通じて,両国の関係を一層強めていきたいということ,エブラル次期外務大臣が訪日をされる予定もございますので,今後緊密に連携をしていきたいというふうに思っております。
 また,今朝、移住120周年を迎えました,日本・メキシコとの関係,日系人のメキシコ移住との関係で,日墨会館を訪問をし,これまでの移住者のご苦労を偲びながら,さまざま,今後の日本とメキシコとの関係について,或いは日系人の方々との関係について,意見交換をさせていただきました。

質疑応答

【記者】ちょっと全体的な話になるんですけれども,今回,4か国,中南米歴訪されたかと思うんですけれども,中でも経済面の話が,連携だったりというところがかなり重点を置かれたのかなと思います。その部分で,大臣としての成果,それからその成果を踏まえて,日本政府これからどのようにしていくのかという部分についてお伺いできればと思います。

【河野外務大臣】この4つの国々は,今日本が推進をしている自由で開かれたインド太平洋戦略とも密接に関わってくる4つの国であります。メキシコ,ペルー,TPP11の早期発効に向け,また,その拡大に向け,協調して参りたいというふうに思っておりますし,エクアドルは太平洋同盟参加に向け,努力をしているところであります。また,コロンビアとも,さまざま,貿易の強化に向け,話をすることができました。先方からは,EPAについて,さらに交渉を加速化していきたいという話もありましたが,貿易を通じて,こうした4つの国々と関係を強化をしていくと同時に,太平洋同盟,今,エクアドルも太平洋同盟への加盟を進めているところですけども,この,価値観を共有する太平洋同盟との関係を強化することによって,こうした中南米の国々との経済関係のみならず,政治的な関係,あるいは国際場裡での協力といったことを進めていきたいというふうに思っております。また,日系人が頑張っている国々でもありますので,この,日系人の方々が築いてこられた信頼というものが,この4つの国の国民のみなさんの間で,日本に対する信頼にもつながっているということを実感をし,この4つの国の日系人社会との日本とのつながりをこれから強化するための,さまざま,方策をとっていきたいというふうに考えているところであります。

【記者】ロペス・オブラドール氏との会談ですけれども,NAFTAの再交渉について,現在のペニャ・ニエト政権は日本企業への最大の配慮,先ほど大臣からご説明あったように,オブラドール氏もそのような同様の決意が見られたということですが,ロペス・オブラドール氏との会談を通じては,ペニャ・ニエト政権と同様に,同じように,日本企業への配慮というのをしてもらえるというような確証を得られたということでよろしいでしょうか。

【河野外務大臣】日本企業に対する最大限のご配慮をいただけるというふうに考えております。現政権が今交渉している中でも,オブザーバーという形で次期政権の関係者が入って,交渉についてしっかりフォローしてもらっておりますし,現政権と米国の間のこの交渉は非常にうまくいっているという評価をされているということを考えても,現政権の日本企業に対するご配慮というものは継続していただけるというふうに思っております。

【記者】ロペス・オブラドール氏のTPPに対する姿勢というのが,これまであまり表立って報道なんかを通じても,なかなか伝わってこなかったんですけれども,日本がペニャ・ニエト政権と進めてきたTPPの早期発効あるいは加盟国拡大,こういった方向性についても,ロペス・オブラドール氏は一致したということでよろしいでしょうか。

【河野外務大臣】今日,大統領,あるいはエブラル次期外務大臣と,このTPP11についても,さまざま,意見交換をさせていただきました。もうメキシコは批准をしておりますので,早期発効に向けてしっかり連携をしていきたいということで,エブラル次期外務大臣が訪日された折などを使って,しっかり連携をしていきたいというふうに考えております。

【記者】さらなる加盟国の拡大についても,そういった方向で一致したということでよろしいでしょうか。

【河野外務大臣】我々としては,それがこのTPP11の効果を増していくんだというようなご説明を申し上げました。

【記者】自由貿易の関連なんですけども,自由貿易の維持については,ロペス・オブラドール次期大統領はですね,この,メキシコと日本というのがやっぱり主導的な立場でやっていくんだいうことに関しては一致されたんでしょうか。

【河野外務大臣】私の方から,このTPP11について,日本とメキシコが果たした役割は大きいということを申し上げまして,次期大統領の方からは日本との経済関係をさらに強化していくために,さまざま,やっていきたいというようなお話がありました。我々としては,新しい外務大臣を通じて,こうした貿易面でもしっかり話をしていきたいというふうに思っております。

【記者】先ほどの大臣の発言に関連してなんですけれども,日本が重視してるインド太平洋戦略というところにも関わってくるということなんですけれども,その部分についてはやっぱりインド太平洋戦略に関しても,一生懸命一緒にやっていこうということでロペス・オブラドール次期大統領と一致したのでしょうか。

【河野外務大臣】自由で開かれたインド太平洋戦略については,改めてエブラル外務大臣と意見交換をしていきたいというふうに思っております。今日は残念ながらそこまで時間がありませんでしたので,日本の自由で開かれたインド太平洋戦略について詳しく説明をする間はありませんでしたけども,今後,次期外務大臣との間で,そうした話をしてきたいと思います。

【記者】先ほどの自由貿易の話の関連で,今,メキシコはすでに,鉄鋼・アルミの輸入制限がアメリカに課されて,なおかつ,NAFTAの交渉が進んでいるようで,どこまでかわかりませが,具体的にロペス・オブラド-ル氏から,NAFTAの現況,あるいは,世界の自由貿易体制について,どういうふうな認識があるか,というような発言はあったんでしょうか。

【河野外務大臣】NAFTAについて,現在の政権にオブザーバーという形で移行グループから関係者が入っていらっしゃいますが,現政権の交渉は非常にうまくいっているというような認識をされておりました。また,一般的にメキシコとアメリカの関係についてもトランプ大統領と電話でさまざまやりとりをした,というお話もありました。そのやりとりの詳細については,ここで私からは申し上げませんが,そういう意味でメキシコとアメリカの間の関係というのは,非常に明るいというふうに考えていらっしゃるというふうに私は受け止めました。

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