記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成30年7月27日(金曜日)10時54分 於:本省会見室)

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冒頭発言

(1)第7回アフリカ開発会議(TICAD7)及び野口英世アフリカ賞授賞式の開催

【河野外務大臣】本日の閣議で,第7回アフリカ開発会議(TICAD7)を,2019年8月28日から30日まで横浜において開催する。またその機会に,第3回野口英世アフリカ賞授賞式を実施する旨了解をいただきました。
 またその準備のために,本年10月6日及び7日に東京においてTICAD閣僚会合を開催予定です。
 アフリカは,21世紀最大のフロンティアでもあり,TICAD7の開催を通じて,アフリカ自身が主導する発展を我が国,官民を挙げて後押しをしてまいりたいと思います。

(2)ASEAN関連外相会議出席,及びロシア,ミャンマー,バングラデシュ訪問

【河野外務大臣】私(大臣)は,7月30日から8月8日までの日程で,ロシア,シンガポール,ミャンマー,バングラデシュを訪問する予定です。
 ロシアではモスクワを訪問し,日露外相会談,日露外務・防衛閣僚協議(「2+2」)及び貿易経済日露政府間委員会共同議長間会合を行う予定でございます。
 それぞれの会談では,平和条約締結問題を含め,二国間関係,安全保障あるいは喫緊の国際情勢,8項目の「協力プラン」の進展を含めた日露経済関係について議論を行ないたいと思っております。
 シンガポールは,ASEAN関連外相会議に出席いたします。一連の会議において,ASEANとの協力強化,EASの強化,ARFにおける信頼醸成のための取組を含む諸課題に加えて,北朝鮮,南シナ海など,地域・国際情勢について協議し,地域の平和と安定に向け,参加国との連携・協力の強化といったことに注力してまいりたいと思います。
 また,この機会に,ASEAN議長国でありますシンガポールとの外相会談等も併せて実施するほか,その他の参加国との間での二国間あるいはマルチの会談を実施する方向で調整中です。  ミャンマーでは,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣を始めとする政府要人と会談を行い,ミャンマーの民主的な国造り,あるいはラカイン州情勢について意見交換を行う予定にしております。
 バングラデシュでは,アリ外務大臣を始めとする政府要人と会談を行い,バングラデシュとの二国間関係,ミャンマー・ラカイン州北部からの避難民問題などといった地域情勢について意見交換をし,日本のメッセージをしっかり伝えたいと思っております。

(3)日韓文化・人的交流推進に向けた有識者会合

【河野外務大臣】10月に「日韓パートナーシップ宣言20周年」を迎えるにあたりまして,私(大臣)の下に有識者会合を立ち上げます。第一回会合につきましては,8月10日を予定しております。
 両国間の文化・人的交流などを含めた,交流の拡大に関する方策について提言を頂きたいと思っております。

ASEAN地域フォーラム

【朝日新聞 田嶋記者】シンガポールのARFに関してですね,北朝鮮から李容浩(リ・ヨンホ)さんが出席するかどうか,今,日本政府としてどのように把握しているでしょうか。

【河野外務大臣】ほかの国から誰が来るかについては,その国にお問い合わせください。

【朝日新聞 田嶋記者】仮に李容浩さんが来られた場合に,去年と同じように,何かしら日朝の接触というのは,したいというお考えでしょうか。

【河野外務大臣】二国間については,まだ何も決まっておりません。

カンボジア下院総選挙

【NHK 石井記者】カンボジアの下院総選挙についてお伺いしますが,29日に投票ということで,従前から言われている選挙の正当性に対する疑念というのが払拭さえないまま,投票を迎えることになりそうなのですが,支援をしている日本政府の立場として,この選挙のあり方を改めてどう考えるべきか,そしてどういった結果を望むかお聞かせください。

【河野外務大臣】日本政府として,この選挙についての技術的な協力,投票箱あるいは投票箱を移動する手段といったものについての協力をさせていただきました。選挙については,まだ結果も何も出ておりませんので,見守りたいと思います。

フィリピン・ミンダナオ和平に関する法案

【読売新聞 梁田記者】昨日,フィリピンでミンダナオの自治法が発効となって,大臣としても談話を出されていますけれども,やはり地域の中でも日本との関係も深い重要な国で,日本としてもいろいろな和平の支援というのはこれまでもやってきましたが,改めて安定に向けてどういった点がこれからの課題で,どのような支援を行なっていくのが適切というふうにお考えかお聞かせください。

【河野外務大臣】アジアの中で様々内戦がありますが,これは日本としても積極的に関わって,和平を進めていくお手伝いをさせていただきたいと思っております。  特にフィリピンにつきましては,これまでも日本がいろいろやってまいりましたが,なるべく早く国民の間の和平,そして国家的な統合というのができるように,日本としてはできる限りのことをしっかりやってまいりたいと思っております。フィリピン側から様々ご要請があれば,日本としてそれに積極的に応えてまいりたいと思います。

中国ウィグル族に関するペンス米国副大統領の発言

【朝日新聞 田嶋記者】中国に関連してですね,アメリカのペンス副大統領が講演で,中国政府がウィグル族を不当に収容しているという懸念を表明したようですけれども,これについて日本政府としても同じようなお立場でしょうか。

【河野外務大臣】中国国内のウィグル民族については,これは中国の国内問題,内政問題という認識であります。他方,どこの国においても,人権とか自由といった基本的な人権・価値観というのは尊重されるべきであろうというのが日本政府の立場でございます。

ODA有識者懇談会

【日経新聞 林記者】先日,ODAの有識者懇談会が開かれたと思いますけれども,次の概算要求に反映できる部分で,何か検討されていることはありますでしょうか。

【河野外務大臣】有識者会議は,もう少し概算要求よりも先に提言のとりまとめということはなると思っておりますので,有識者会議の中で出された一つ一つの具体的な提案につきましては,間に合うものについてはきちんと反映をしていきたいと考えておりますが,提言全体につきましては,その後,外務省の中でしっかり協議をして,その次に出していきたいと思っております。
 実は,具体的な提案があの場でもいくつかありましたので,概算要求に反映できるものについては,これから少し対応できるものに関してやっていきたいと思っております。

【日経新聞 林記者】概算要求に関する話なんですけれども,大臣はODAの中の無償資金協力と円借款の比率というのは,やはり少しずつ削減して別の民間活力を活かすとか,昨日おっしゃっていた国際連帯税を増やすべきだというお考えなのでしょうか。

【河野外務大臣】国際連帯税につきましては,これは私(大臣)の個人的な考えですけれども,例えば,為替取引などに広く薄くかけて,それを各国政府を通さずに何らかの形で国際機関に集め,人道あるいは開発の問題といったところに使えるようになるべきではないかというのは,個人的な考えでございますが,それが実現するのは国際間の合意というのも当然必要になってきますので,国際連帯税が開発の問題に活かされてくるのはまだまだ時間がかかると思っております。
 他方,例えば日本ではNGOがODAを実施してくれる割合というのは,OECD諸国と比べても極めて低い状況になっております。技術協力はJICAとか別に決まっているわけではありませんので,コストあるいは効果といったものをもう一度きちんと見ながら,実施主体の最適化というのはやっていかなければならないと思っておりますし,有償・無償の区分けというのは,これは一つのパイではありませんから,こっちを削って,こっちを増やそうというのは財政当局ともきちんと相談をしなければいけない話で,これは外務省だけで決められる話ではありませんので,そこは提言全体を見た上で,財政当局ともじっくり時間をかけて,相談をしていきたいと思っておリます。

日韓文化・人的交流推進に向けた有識者会合

【共同通信 鳥成記者】冒頭発表された日韓の有識者会合についてお伺いたいのですが,今回,有識者会合を設置する狙いと,それから日韓の間には慰安婦問題や竹島の問題,そういった懸案がありますけれども,こういった難しい懸案をこの有識者会合でどのような形で扱うのか,おっしゃったのは文化交流や人的交流の拡大ということですけれども,こういった懸案をどうやって扱うのか,それから,日韓共同パートナーシップ宣言のような共同の文書とか声明を,こういったものをこの10月,20周年に合わせて出すようなお考えはあるのかどうか,この辺りをお聞かせください。

【河野外務大臣】文章については,まだ何も決まったことはありません。今回のこの有識者会議は文化交流・人的交流を含めた様々な両国間の交流について,提言をしていただこうということで,慰安婦問題その他について,何かお願いをすることはございません。

ASEAN地域フォーラム

【テレビ東京 坪内記者】ARFの会合で,大臣就任から1年になるわけなんですけれども,この時点での成果,大臣,どのように振り返るかということと,これまで積み重ねてきたことをARFの場で,どのようにリーダーシップを発揮していきたいかをお願いします。

【河野外務大臣】去年,8月3日に就任をして,広島の式典の後,当時,マニラで行われたASEAN関連外相会合へ行って,それから見ればちょうど一回りしたかなという感じがいたします。やはり,これだけ国際化が進んでいく,また,日本の経済力というのが相対的にASEANを始め,諸外国が経済発展を遂げている中で,日本の経済的な相対的な地位というのが小さくなるというのは,これはある面やむを得ないことだと思いますが,だからこそ,外交力を発揮しなければいけない部分というのが増えてくるだろうと思います。諸外国,P5などと比べて,軍事力を対外的には使わないわけですから,外交で様々なことをやっていくのがこれからの日本に求められているのだろうと思います。
 そうすると戦後,これまでを振り返ってみて,今までやってきたやり方,つまり欧米に追いつけ,追い越せという状況から,日本に追いつき,追い越せと,諸外国が日本を目指して努力をされている,また国際化が進んでいる,経済的にもASEANを始め諸外国が相対的な大きさというのが大きくなっている中で,日本の外交というのは大きな転換期を迎えていると思っております。これまでの線上で,それを伸ばしていって何かできるからというよりは,全く違うベクトルに飛び移らなければいけないという状況になっているというのは,ひしひしと感じます。
 昨年のASEAN関連外相会合一連の中でも,やはり日本の主張をどうやって通すかというのが,段々難しくなってきているというのを,いきなり骨身に沁みるという状況がありました。それは恐らくこれからも続いていく中で,しっかりと諸外国と連携をしながら,日本の訴えを国際的に普遍化していかなければいけないというと,やはりこれからの日本の外交努力というのは,今までにも増して,質・量共に必要になってくるだろうと思いますので,外務省を預かる責任者として,当面,できることはしっかりやってまいりたいと考えております。

沖縄県知事による普天間移設事業撤回に向けた表明

【NHK 徳橋記者】先ほど,沖縄の翁長知事が記者会見されまして,普天間基地の移設に関連しまして,辺野古の埋め立て承認を撤回に向けて手続きを取られるということを表明されましたが,これについての受け止めと,日本政府のこの問題の取組・方針についてお聞かせください。

【河野外務大臣】普天間基地の安全を考えれば,一刻も早い移設が必要だと考えております。その取組を一生懸命やっている中でございますので,それに向けた努力を政府としても続けていきたいと考えます。具体的な対応については防衛省にお聞きいただきたいと思います。

自民党総裁選挙

【共同通信 池田記者】自民党総裁選について伺います。大臣はかねてより,総理・総裁を目指す考えを表明されておられますけれども,9月の自民党総裁選,どのように対応されるお考えでしょうか。

【河野外務大臣】総裁選に立候補しますということには変わりはありません。どの総裁選を目指すかは,これから慎重に考えていきたいと思います。

【共同通信 池田記者】今回も,9月の総裁選も可能性があるということなのでしょうか。

【河野外務大臣】前から言っているとおり,総裁選に立候補はいたしますが,どの総裁選に出るかはこれから考えるということ,何も変えておりません。

【共同通信 池田記者】関連なんですが,一自民党所属議員として,自民党総裁選というのは,どのような形であるべきだとお考えでしょうか。どのように争うべきだとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】それは,その時々によって状況は違いますから,一概に,一般論で言うことはできないだろうと思います。

【産経新聞 小川記者】24日に菅官房長官が都内で講演した時に,将来の自民党総裁候補として,河野大臣の名前も挙げられて,自民党と日本にとって極めて大事な政治家だと述べています。まず,長官からこういうふうに言われた受け止めをお願いします。

【河野外務大臣】ありがたく受け止めたいと思います。

外相就任1年の所感

【産経新聞 小川記者】外相に就任して1年くらいになるのですが,実際に外務大臣をやって見て,日本外交の強み,逆に弱点というか課題というか,それはどんなふうに感じていますでしょうか。

【河野外務大臣】日本外交の強みは,やはり日本に対する信頼だと思います。各国とも日本に対する信頼というのを非常に厚いなというのは,いろんな方と話しをしていて,ひしひしと感じるところはございます。
 弱点はやはり,残業時間200時間を超えている者がたくさんいる。あるいは子育て・介護といったものがあって,残念ながら,一人一人が能力を最大化に発揮できているかというと,やや疑問を持たざるを得ない。今のような霞が関の状況が続けば,新しく有能な人材を取る,今,外務省はおかげさまで外交をやりたいという有能な人材をかなり集められていると思っておりますが,霞が関全体として,それがいつまで続くんだろうかという不安感というものはあります。日本の外交は,やはり人でもっている部分というのが非常に大きいわけですから,霞が関の働き方改革というのは本当に急務だと考えております。

【産経新聞 小川記者】日本への信頼というのは,具体的にはどういうものに対する信頼だったりするのか,そしてその背景には何があるというようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】日本が第二次大戦後,やはり,しっかりと経済的な復興をやった,その日本の戦後の成長についての尊敬というのもあるでしょうし,その間に出てきた公害ですとか,あるいは交通渋滞とか,発展途上国の経済が拡大するにしたがって,多くの国が同じような問題を抱えている中で、日本としてそれを一つずつ着実にクリアしてきたということに対する,やはり尊敬をいうのはあるのだと思います。
 それから,我々がやってきた様々な開発支援,人道支援,非常に丁寧に相手のことを考えて,先輩方がやってきてくれたということに対する信頼というのは,これは長年の積み重ねがあって,それは判断が遅いとか,様々日本の弱点はあるのかもしれませんが,日本は一度やると決めたら,徹底的に最後まで確実にやってくれる,そういう部分というのは非常に大きいだろうと思いますし,例えば東日本の震災を始め,日本の災害が起きた時の多くの国民の皆様の非常に冷静な,礼節をそういう状況にあっても失わない態度というものが国際的にも報道され,また日本を訪れた多くの外国の方が,日本人一人一人の礼儀正しさですとか安全とか,清潔といったものにやはり心打たれているということはあるのだろうと思います。そういうものが,一つずつ積み重なって,多くの国に日本というのは,本当に信頼できる国だというものがある。外交を行っている中でそれは非常に感じますし,それは日本の外交にとって大きなアセットの一つだというのは間違いありません。

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