記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成30年7月24日(火曜日)10時36分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

ジャパン・ハウス ロサンゼルス全館開館

【河野外務大臣】ロサンゼルスのジャパン・ハウスが8月24日に全館オープンいたします。昨年の12月に一部ソフトオープンという形で,一部先行で開いておりましたが,8月24日に全館オープンということになります。日本文化をアメリカでもしっかりと発信をしていただきたいと期待をしているところであります。

北朝鮮情勢(「38ノース」の発表)

【記者】アメリカの「38ノース」が北朝鮮の北西部の発射場の主要施設で,解体が始まった形跡があるとの分析を明らかにしましたが,大臣,受け止めをお願いします。

【河野外務大臣】特に,「38ノース」の発表にいちいちコメントすることは差し控えたいと思います。

米国の経済政策

【記者】G20の財務省中央銀行総裁会議の方が終わりまして,貿易戦争という,関税のかけ合いですが,そちらの方にはどめがかかる状況でないというようなことが,段々と見えてきたのですけれども,日本としてもかなり次の自動車関税に影響がかかれば大きいわけで,改めて日本としてはどのように,G20あるいはG7の枠組みを使って対応していきたいとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】貿易に関しては,WTOの枠内でそれぞれ各国が対応すべきものだというのが日本の方針であります。日本としても必要があれば,このWTOの枠組みの中で対応をしてまいりたいと考えております。
 自動車の関税につきましては,当のアメリカ国内で支持する声がほとんどないわけでございますから,アメリカ政府に対して,こうした動きはアメリカ経済にとっても国際経済にとってもメリットがないということをしっかりと訴えてまいりたいと考えております。

【記者】大臣も,これからしばらく各国の外相といろいろお会いになったりとか,ご予定はあると思うのですけれども,そういったところでもやはり認識を共有したいというお考えでしょうか。

【河野外務大臣】もう既に,そうした認識の共有を始めているところであります。

日本のNGO関連

【記者】NGOの件なんですけれども,昨日,NGO・NPOの検討をする会から提言を受け取られてたと思うのですが,その際に,南スーダンへのNGOが行くことをまず実績を作ってということを大臣がご挨拶の中でおっしゃっていたと思うのですが,NGOに南スーダンに入ることについてどのようにお考えなのでしょうか。

【河野外務大臣】NGOが様々な地域で活動をしたいという要望があるのは,これまでもNGOとの話合いで理解をしているところであります。確かに国際NGOの中にいる日本人が,国際NGOが出て行く所へNGOの一員として行っている。しかし,日本に本拠地があるNGOが,政府資金を使って行なう業務については認めていないという混在が起きているという現実もあります。
 ただ,日本政府としてNGOの一員であれ,邦人である以上,邦人保護というのは政府のしっかりとやらなければいけない業務であります。自己責任という議論もありますけれども,ここ最近,「自己責任で行きます」と言ってほとんど準備ができていないような方もいらっしゃいましたので,外務省として,「それは無理です」ということを申し上げたこともございますので,一概に自己責任だから「どうぞ」というわけにはいかないのだろうと思っております。
 ここにつきましたは,やはり国民のご理解ということもしっかりと踏まえながら,一つずつそうした対応ができるNGOを育てていく,そしてNGOの皆さんにもきちんと準備をしていただいて,リスクを本当に最小限にした上で,そういう業務ですから完全にリスクをゼロにするのは無理だと思いますが,考え得るリスクを最小限にした上で,必要な業務をやりに行くという体制が取れるかどうか,というところを政府としてもNGOと一緒になって,きちんと準備ができていることを確認しながら一歩ずつ進めていきたいと思っております。
 NGO,今日からジャパンプラットフォームを始め,何人かが南スーダンの状況の視察に入られておりますので,そうした結果を踏まえながらいろいろ議論をしていきたいと思っております。

ODAに関する有識者懇談会

【記者】明日から,ODAの関係の実施主体の評価ということで懇談会始まると思うのですけれども,そもそもその前段で,ODAのあり方自体について,就任1年たちますけれども,どのようなお考えでしょうか。

【河野外務大臣】財政の制約が非常に大きくなる中で,かつての日本がやっていたODAの総額から見れば,相当ODAは予算を縮減してきております。そういう限られた予算の中で,効率的・効果的にODAをやろうとしたら,どういうやり方がいいのか,それは実施主体を含め,議論していかなければいけないと思っておりますので,有識者の皆様にはこのODAのあり方まで立ち戻って,しっかりとした議論を期待したいと思います。

ロシア国営石油会社が日本の資源開発会社を提訴

【記者】ロシアのロスネフチが,日本の官民が出資する自然関連の開発会社を提訴したという情報があるのですが,把握されている事実と今後の対応を教えてください。

【河野外務大臣】特に,今のところありません。

イランによるホルムズ海峡封鎖を示唆する発言

【記者】イランのローハニ大統領が,アメリカのトランプ大統領がイランへの制裁強化を言及していることに反発して,ホルムズ海峡の閉鎖も辞さない考えを示していますが,日本にとっても重要な海上輸送路だと思うのですが,どのように見ていらっしゃいますでしょうか。

【河野外務大臣】報道があることは承知をしておりますし,このホルムズ海峡の脆弱性についてはこれまでも取り沙汰されているわけですから,日本としてしっかり対応ができるような準備は,様々進めていかなければならないと思っております。
 ただ,EUとイランの間の議論の中でも,イランは依然としてJCPOA,枠内に残る意向を示しております。日本もイランに対して保障措置,あるいは査察受入れその他のトレーニングをやる計画で,これについては今のところ,粛々と進んでいるわけですから,アメリカにもイランにも冷静な対応をしていただきたいと思います。

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