記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年7月14日(土曜日)13時16分 於:フランス・パリ)
冒頭発言
【河野外務大臣】先ほど,革命記念式典パレードの参観をして,三日間のフランス訪問の予定は,(パリ郊外の)ジヴェルニー訪問を残すだけとなりました。
今般の西日本の豪雨災害の対応の指揮を執るために安倍総理が東京へ残られたということもありまして,代わりに参列させていただきました。マクロン大統領,ルドリアン外務大臣,それからパルリ軍事大臣に大変温かく迎えていただきまして,マクロン大統領とは,昨日の軍事大臣主催のレセプション,それから今日のパレードの前後でお話をする機会がありましたが,豪雨災害に対するお悔やみの言葉と温かい励ましの言葉をいただきました。外務大臣,軍事大臣からも同様の言葉をいただきましたし,マクロン大統領夫人からも温かい励ましの言葉をいただきました。フランスの皆様に改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
12日には,日本の文化の祭典であります,ジャポニスム2018の開会式に出席を致しました。日本の外交の中で,文化という新しい柱を立てる,そういう記念すべき行事になるのではないかという期待をしております。日仏の両国関係を強くするというだけでなく,パリから世界に向けて日本文化の発信をしっかりとやってまいりたいと思います。
昨日はパルリ軍事大臣との間で日仏の物品役務相互提供協定ACSAに署名をすることができました。日仏関係は安全保障・防衛分野でもさらに厚みを増していくことになると思います。国際社会の平和と安全に日仏両国で協力をして参りたいというふうに思います。
今朝,パレードの前に,フランス外務省でルドリアン外務大臣と朝食をともにしながら会談を行いました。おそらくルドリアン外務大臣とは4回目の会談になるのではないか,それ以外にも電話会談がありますが,直接お目にかかるのは4回目になるのではないかと思います。2国間の問題のほかに戦略的なさまざまな議論をさせていただきました。ロシア,イラン,北朝鮮あるいは昨今の貿易の状況についても話をさせていただきました。また来年のG7・G20の議長国として,しっかりと協力をしていこうということで一致を致しました。また,パレードの中で自衛隊の皆さんの雄姿を拝見することができまして,日仏のさまざまな分野での協力の新たな1ページになるのではないかと感慨深く拝見をしておりました。昨日の軍事大臣のレセプションの中で大統領あるいは大統領夫人,パルリ軍事大臣から,直接,今日パレードに参加する自衛隊隊員の皆さんに対して温かく,励ましの言葉をいただきました。軍事大臣や,大統領夫人は「しっかり見ているからね」という言葉をかけていただきましたし,マクロン大統領ともいろいろ話をした後,一緒に記念撮影を自衛隊の皆さんとやっていただきました。日本とフランスは特別なパートナーシップだということで,これまでもいろいろと緊密な協力をして参りましたが,さらにこの特別なパートナーシップ関係を強めていきたいというふうに思います。また,この三日間の滞在の中でさまざまなフランスの皆様から豪雨災害に関して温かい言葉をかけていただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。私からは以上です。
質疑応答
【記者】ジャポニスム2018について質問したいのですが,今日ルドリアン外相との会談の中で,今度日本においてフランスの文化行事を開催したいということだったのですが,先の開会式でも文化大臣が2021年に開催したいという意向を示しました。そうしたフランス側の動きについて,大臣の受け止めなり,感想をお聞かせ願えないでしょうか。
【河野外務大臣】オリンピックも日本からフランスへいきますし,来年はG7・G20それぞれの議長国ということで,この日仏両国関係というのが特に緊密になっている中で,このジャポニスム2018は非常に成功するのではないかという予感がもうすでにしております。という中でフランス側から日本でフランス文化についての発信をしたいという,かなり強いご意向があるというのは承知をしておりますので,両国関係のさらなる重層化に向けてお互い協力できるところはしっかり協力していきたいです。
【記者】外相会談の方で,包括的な海洋対話の立ち上げに応じたということで,包括的な海洋対話とは具体的にどういったことをフランスと話し合って,どのような成果や目的を果たしていきたいとお考えでしょうか。
【河野外務大臣】日仏両国は海洋国家でありますし,フランスは「太平洋国家なんだ」という話をされておりました。そういう中で,法の支配に基づいた自由で開かれた海洋というのは,日仏両国だけでなく,国際社会の平和と繁栄の礎だ,そういう考え・価値観で合意をしているところでございますので,12月に東京で海洋に関するセミナーの開催をし,その後,政府間で海洋政策に関する政策対話をしっかりと立ち上げていきたいというふうに考えているところでございます。両国間でしっかりと連絡を取り合っていきたいと思います。
【記者】さらに,昨日ACSAの協定にも署名されたと思うのですけども,フランスと安全保障面で連携を強めていくことの狙いと意義は。
【河野外務大臣】海洋を中心として,様々協力をできるところは多いと思います。平和,安全,あるいは防災,テロ対策,色々な分野で,日本とフランスがこの国際社会の平和と安全のために協力をしていくことができるのではないか,その際,このACSAがあることによって,協力がさらに一層スムーズに行くのではないかという風に期待をしているところであります。
【記者】今回残念ながら安倍総理はこちらへ来られなかったのですけども,河野大臣の方から今度はマクロンさんに対して,日本に来てくださいというようなお願いというのは今回されましたでしょうか。
【河野外務大臣】マクロン大統領から,安倍総理が来られなくて非常に残念だけれども,この豪雨災害の対応ということは十分に理解できるし,日本の皆様にしっかりと復興を頑張ってほしいという温かい言葉をいただきました。できるだけ早く,また安倍総理ともお目にかかりたいとの話がございましたので,できればジャポニスム2018が佳境を迎えるこの秋にでもですね,本当は総理に来ていただいてこの実際のジャポニスム展ができるところを見ていただくのがよろしいのではないかと思っているところであります。もちろん,マクロン大統領にもなるべく早く訪日をしていただきたいと思っておりますので,場所は,パリになるか東京になるか別として,早期の首脳会談というのを期待したいと思います。
【記者】具体的には。
【河野外務大臣】まだ,日程についてはこれからご相談させていただこうと思います。
【記者】今大臣おっしゃった,海洋対話のセミナーの後,政策対話を政府間でやる,これは2+2とは別の枠で何か対話の枠を考えているのでしょうか。
【河野外務大臣】海洋に関する対話ですから,おそらく日本は海洋担当大臣がやられるのではないかと思います。もちろん2+2,今年は東京でやりましたので,次回はフランスで2+2はやろうと考えておりますが,それとは別に,海洋の様々な分野での協力,あるいは政策の協調ということを議論する場があって良いかと思います。
【記者】日本からは外務大臣が担当大臣となられるのか。
【河野外務大臣】これは,海洋担当大臣がいますから,おそらく福井大臣になるのではないかと思います。