記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年7月11日(水曜日)14時26分 於:マレーシア・クアラルンプール)
冒頭発言
【河野外務大臣】外務大臣就任後初めてのマレーシア訪問となりました。日本とマレーシアは昨年外交関係樹立60周年ということで,両国の戦略的パートナーシップを深めて参りました。今年のマハティール新政権の誕生を受けて,両国関係をさらに深いものにしていきたいというふうに思っております。
午前中,賢人会議のメンバーお二人,ゼティさんと議長のダイム議長,それぞれお目にかかりました。賢人会議の取り組む課題あるいは新政権に向けての意気込みといったようなことをお話しさせていただきました。
先ほどサイフディン外務大臣と外相会談を行いました。後ほどマハティール首相にも表敬をさせていただくことになっております。ワン・アジザ副首相並びにサイフディン外務大臣から,西日本豪雨の被災者に対するお見舞いの言葉をいただきまして,心から感謝申し上げました。サイフディン外務大臣は7月の2日に就任されたばかりで,外相会談は今回の私が初めてということで,なんとなく去年の私の最初の外相会談を思い出しました。先方は若干緊張されていたかなという気がいたしますが,8月にASEANの関連外相会議がありますので,そこに向けて地域情勢あるいは二国間の問題,国際情勢についての意見交換をやらせていただきました。マハティール首相が1981年に東方政策のもとで,教育,人材育成,技術移転,あるいは産業協力といったことを進展させて,日本とマレーシア両国民の絆を深めて参りましたが,こうした重層的な両国の関係というのはこれからも非常に重要になってくると思いますし,新政権との間でもこれまでの東方政策を引き続き活性化させていきたい,協力関係を拡大していきたいというふうに思っております。またそういう認識で一致したと申し上げてよろしいかと思います。日本の自由で開かれたインド太平洋戦略について少し丁寧に説明をさせていただきました。また,北朝鮮問題,拉致問題,南シナ海など,地域の課題についても意見交換をさせていただきました。
それから午前中にマレーシア日本国際工科院,MJIITを訪問して,アリ委員長他,関係者のお話を聞き,日本式のものづくり教育の現場を視察させていただきました。日本マレーシア両国の協力の大きな成果の一つだと思いますし,今後人材育成といった,あるいは教育の協力といったことをマレーシアの方からも問題提起されておりますし,マハティール首相も東京でそうしたお話をされておりましたので,こうしたものを核にしてさらに発展させていくのはいいことではないかと思っております。これからのマハティール首相への表敬については,6月のマハティール首相の訪日をしっかりフォローアップして,二国間関係を深めていく重要な機会にしていきたいというふうに思っております。
質疑応答
【記者】外相とのやりとりですけれども,北朝鮮問題についても取り上げられたと思うんですが,どういったやりとりがあったのかもう少し詳しく教えてください。
【河野外務大臣】先日の日米韓外相会談の中で,引き続き北朝鮮の全ての大量破壊兵器と全てのミサイルのCVIDが国際社会の目標であり,それを達成するまで,安保理決議に基づいた制裁の履行というのを国際社会できちんとやっていかなければいけないという共通認識についてお話を申し上げ,ご理解をいただきました。また,拉致問題についても少し意見交換をさせていただきました。
【記者】拉致問題について先方からはどのような。
【河野外務大臣】日本の抱えている拉致問題について,よくご理解をいただいたというふうに認識をしております。
【記者】開かれたインド太平洋戦略については,もう少し具体的にどのようなやりとりがあったのでしょうか。
【河野外務大臣】日本の自由で開かれたインド太平洋戦略説明をさせていただいて,こうした枠組みの中で,例えば,マレーシアの海上法令執行庁というんでしょうか,MMEAに対する支援,あるいは巡視艇の供与,連結性を強化するためのインフラ投資,あるいはテロ対策,防災といった人材育成,キャパビルについての協力をこれまでもしてきて,また,今後もそういった枠組みの中でやっていきたいということと,ASEANも同じような戦略を検討しているところですから,ASEANとしっかりと意見交換していきたいというようなことを申し上げました。
【記者】サイフディンさんからは何か。
【河野外務大臣】それに基づいていろいろ話をいただきましたが,先方の話は差し控えたいと思います。
【記者】TPPに関してなんですけれども,マハティールさんはTPPの再検討というようなこともおっしゃっていますが,今日はそのいわゆる自由貿易の推進であるとか,TPPであるとか,そういったことに関しては何か意見交換あったのでしょうか。
【河野外務大臣】TPPについては,日本として新しい貿易,投資,その他かなり大がかりな新しいルールをこの地域で作るというのがTPPの目的であり,マレーシアがそのオリジナルメンバーとしてしっかり加わっていただくということが大事だということは申し上げました。TPPについては,決して向こうは否定的というわけではないと思います。新政権になっていろんなレビューをしているということでしたので,日本側の考えをお伝え申し上げて,今後も意見交換しっかりやっていきたいというふうに思います。
【記者】マハティール首相が8月に中国を訪問することが予定されているんですが,これに関して何か今日やりとりはありましたでしょうか。
【河野外務大臣】地域情勢の話をする中で中国について,あるいは南シナ海についていろんな意見交換はさせていただきました。
【記者】マハティールさんですね,北朝鮮との大使館,マレーシアの大使館,国交をまた再開されるということが報道ベースで出ていますが,そのことに関して今日は何か。
【河野外務大臣】北朝鮮問題について全般的に意見交換をさせていただきました。先方の話は差し控えたいと思います。
【記者】高速鉄道の計画に関して見直しだったり凍結だったりというような発言をマハティールさんはされていますけれども,会談の中でお話はありましたか。また,マハティールさんとお会いするときに会談で取り上げますか。
【河野外務大臣】午前中の賢人会議のメンバーの皆さんとの間でも少し鉄道についてのやりとりはさせていただきました。いろんなお考えが当然あろうかというふうに思います。日本としては,マレーシアの交通網をアップグレードするための協力というのは,いかなる方法であっても協力できるところはしっかり協力していきたいと思っています。