記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年6月27日(水曜日)17時50分 於:タイ・バンコク)

冒頭発言

【河野外務大臣】就任以来,中東外交というものに重きを置いてやってまいりましたが,中東和平の取組に関して,例えば,昨年末のイスラエル,パレスチナ訪問あるいは今年四月の死海リゾートでの平和と繁栄の回廊の閣僚会合など,色々とやってまいりましたが,今回のCEAPAD閣僚級会合,これも日本のイニシアチブということで,タイあるいはインドネシアの外務大臣をはじめ,多くの関係者に集まっていただき,パレスチナからマリキ外務大臣にも来ていただきましたが,実りのある会合になったのではないかと思っております。アメリカのクシュナー上級顧問の中東訪問もありまして,アメリカの和平プランを巡る動きが予想されている中,パレスチナは依然として厳しい状況にあります。パレスチナがアメリカと対話ができる環境を作るということも大事だと思いますし,さらにパレスチナの経済を支えて,パレスチナの方々が将来に希望を持てるような状況を作っていくというのが大切だというふうに思っております。日本はアメリカ,パレスチナの両方に良い関係にありますので,和平プロセスに戻る環境をしっかり作りたいと思っておりますし,CEAPADに参加してくれたアジア各国としっかりと連携をして,日本が今までパレスチナでやってきた支援を三ヶ国間あるいは多国間に広げていきたいというふうに思っております。また,初めて,外務大臣に就任以来,タイを公式に訪問することが出来ました。ドーン外務大臣とは,3度目になります外相会談をやらせていただきましたが,冒頭,タイから大阪での地震に関して,300万円の義援金を被災地へということで,受け取らせていただきました。国民を代表して外務大臣あるいは先ほど首相にもお礼を申し上げて参りました。会談では,タイにおける産業人材の育成,東部経済回廊の開発,これは先日私もデンソーの工場を見せていただきましたが,日本としてもしっかり取り組んで参りたいと思っております。また,今日TPPに加入する意思というものの意思表明もはっきりといただきましたので,日本としてはタイと積極的に情報交換をしてまいりたいと思っております。また,メコン地域全体の開発について,あるいは北朝鮮,南シナ海といった地域情勢についても有意義な意見交換をすることが出来たのではないかと思っております。プラユット首相表敬についても,経済を始め,様々な二国間の問題,地域情勢,国際情勢についての意見交換をさせていただきました。また,プラユット首相,ドーン外務大臣に来年行われる予定の民政移管のための総選挙について,プロセスをしっかり進展させていただきたいということを申し上げて参りました。私からは以上です。

質疑応答

【記者】先ほどのCEAPADの共同記者会見でもありましたけれども,アジアの国からも支援へのコミットメントが示されました。その一方で,マリキ外相の話を伺うと,やっぱりアメリカの考えと距離があるという感じがありました。日本,アメリカとも良好な関係を持つ日本としてですね,かなりのまだ隔たりがある中で,CEAPADを含めて和平交渉の実現再開に向けてどのように歩むのでしょか。

【河野外務大臣】インドネシア,マレーシアをはじめ,東南アジアというのがイスラムの一つの大きなセンターになりつつある中で,シリアなどからの外国人戦闘員が流入して,テロの恐れが増えているというのが現実だと思います。中東の平和と安定というのは,東南アジア,東アジアにも直接我が身として関わってくることだという認識を共有できているのではないかと思います。そういう中で,CEAPADのメンバー国がパレスチナ問題をやはり我が身に関することと感じて,様々これから協力して支援をやって参りたいと思っております。昨日のパレスチナとの外相会談の中でも,アメリカとの対話の重要性について私も申し上げましたが,やはりパレスチナ側からは,現状ではアメリカと関わることは否定はしないけれども,これまでのようにアメリカが唯一の仲介者という状況ではないということをはっきり言われました。やはりアメリカのコミットメントというのは大事だと思いますが,そうしたことを含め,これからどのように和平プロセスを作っていくのか,今アメリカの和平提案というのが表に出ていない中でですね,少しいろんな動きが止まっているようなこともありますので,ヨーロッパ諸国をはじめ,様々な国と少し意見交換をして,このプロセスを前に進めていく努力はしていきたいというふうに思っております。

【記者】イランの原油についておたずねします。アメリカ政府は,イラン原油の輸入を11月までに完全に停止するよう日本を含む各国に求めました。今日午前中菅官房長官が日本企業に悪影響は及ばないよう,引き続きアメリカを含む各国としっかりと協議していきたいと述べられています。これについて,アメリカの要求に対して,日本側の結論を出す時期や,かつては段階的,例外規定の適用を受けていますが,日本政府としてどのようにお考えですか。

【河野外務大臣】ポンペオ国務長官との会談の中でイランの問題についてもたびたび触れて参りましたが,国務省,財務省をはじめとするアメリカの専門家と日本側と少しこの問題は詳しく協議をしようということで,アメリカから代表団に来ていただいて,先日協議が行われました。この協議はまだ継続中でございますから,今予断を持ってこれからどうするということを申し上げる状況にはございませんけども,日本企業にとって,影響が出ないように,また,日本はこのイランが核合意に残るということは非常に大切なことだと思っておりますので,そうしたことを踏まえながらアメリカとしっかり協議をしていきたいと思います。

【記者】例外適用の要請みたいなことは。

【河野外務大臣】今様々意見交換をしているところでありますので,結論が出ればお示しをしたいと思います。

【記者】北朝鮮非核化について,ポンペオ国務長官が,非核化の措置について期限は設けないと発言されています。これについて大臣は非核化2020年一つのメドとこれまでも仰っています。受け止めお願いします。

【河野外務大臣】ポンペオ国務長官が仰ってるのは,数ヶ月という短いタームの話をされているんだと思いますので,おそらく2020年あるいは2021年の1月という大きな項目の中で,中をどのように分けていくかという話をされているんだろうというふうに思います。これは政治的に大統領選挙までと我々が申し上げているのと,平行して,アメリカの専門家がいろんな日程を聞いているところですので,これはまた近々ポンペオ長官とも協議をしていきたいと思っております。

【記者】今の点なんですけれども,2020年乃至は21年1月という政治的な目標というのは,現時点では揺らいでいない,変えないということでしょうか。

【河野外務大臣】まだポンペオ長官と直接話をしているわけではありませんが,少なくとも発言を見ると,数ヶ月の単位の話をされていますので,大きな項目の中の小項目の話をされているんではないかというふうに思っております。

【記者】中東情勢について,今日の会議についても伺いたいんですが,日本はアメリカともパレスチナともいい関係を持っていると,日本が果たす役割はあると思うんですけれども,鍵となるのはアメリカの姿勢だと思いますが,今後アメリカに対してどのように日本として働きかけいくのかというのをお伺いできますか。

【河野外務大臣】クシュナー上級顧問が中東を歴訪して,和平プランについて様々意見交換されていると思いますので,まずアメリカ側の提案を見ると言うことが大事なのではないかと思っております。しっかりその中身を見た上で,アメリカともいろいろ話をしてまいりたいと思います。

【記者】先ほど,プラユットさんに対して民政化に向けてのプロセスが期待されるということを伝えたとのことですが,これに対してプラユットさんから何かお答え,選挙のスケジュールも含めてどのようなお答えがあったのでしょうか。

【河野外務大臣】首相からは,戴冠式の後,来年,総選挙を行うという話がございましたので,私からしっかりプロセスを進めていただきたいということと,もし何か日本で,このプロセスでお手伝い出来ることがあれば遠慮なく言ってくださいということは申し上げました。

【記者】来年のいつとか,選挙の期日について話がありましたか。

【河野外務大臣】特に,そこについてまだいつということではないだろうと思います。

【記者】南シナ海の問題について,プラユット首相とドーン外相と,行動コンタクト拘束力ある,コンタクトの作成ということについてどのような見解をされているのでしょうか。

【河野外務大臣】南シナ海については,日本側が極めて懸念をしているということと,COC交渉に関して,日本は様々なサポートをする用意があるということを申し上げました。また,ASEAN関連会合において強いメッセージを,声を上げていく必要があるのではないかということを,私から申し上げました。先方の話を公にするのは差し控えたいと思います。

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