記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年6月25日(月曜日)13時43分 於:インドネシア・ジャカルタ)

冒頭発言

【河野外務大臣】外務大臣就任以来,初めてのインドネシア訪問となりました。今年は国交樹立60周年という節目の年に伺うことが出来て大変良かったと思います。両国の「戦略的パートナーシップ」を強化する良い機会だというふうに考えております。また,インドネシアが国連安保理の非常任理事国の選挙に当選したということもありまして,お祝いを申し上げました。まず,ジョコ大統領に初めての表敬をさせていただいて,二国間協力,地域情勢について意見交換をいたしました。ルトノ外務大臣とは3度目の外相会談になりますが,基本的価値あるいは戦略的利益を共有する日本とインドネシアの「戦略的パートナーシップ」を一層強化するものとして,会談は非常に良かったのではないか,様々な分野での協力を深めていこうということで一致をいたしました。まず二国間協力については,海洋国家同士ということもありまして,海洋分野における協力を強化することを確認いたしました。この関連で,インドネシアの離島の漁港施設・市場整備のための無償資金協力に関する交換公文を締結をいたしました。また,暴力的過激主義対策及び穏健な社会構築の支援ということ,テロ対策分野での支援も継続してまいります。様々なインフラ整備,投資環境整備を進めることに加え,双方向で100万人,今たぶん双方向で80万人から90万人の間だと思いますが,双方向で100万人の観光交流を実現しようということで一致をいたしました。日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」と,インドネシアの「世界海洋軸構想」は,非常にコンセプトが同じ方向を向いております。この二つを連携させ,シナジーを追求していこうということになりました。北朝鮮に関しましては,安保理決議の厳格な履行を継続し,全ての大量破壊兵器,及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全で検証可能な,かつ,不可逆的な廃棄を求めるという方針で一致をいたしました。また,南シナ海情勢,パレスチナを始めとする中東問題,その他の国際社会の課題について意見交換をいたしました。特にCEAPADは第一回を日本でやった後,第二回をインドネシアでやっていただいて,今回も高級実務者会合をインドネシアにホストしていただきましたので,明後日のバンコクでのCEAPADは,私とルトノ外務大臣と一緒に参加をし,パレスチナ支援についてしっかりと進めていきたいというふうに思っております。その後,ワーキング・ランチ,昼食会をやっていただきまして,デザートに私の好きなドリアンを出していただいて,大変感激をしたところでございます。この後,ルフット海洋担当調整大臣と会談を行った後,ジャカルタのMRTの様子を視察してまいりたいというふうに思っております。また,明日は,カリバタ英雄墓地で献花した後,ASEANのリム・ジョクホイ事務総長と会談をし,CEAPAD出席のためにタイへ向かうことにしております。ルトノ大臣も,明日にはバンコクに向かわれるのではないかというふうに思います。私からは以上です。

質疑応答

【記者】まず,インドネシアですけれども,地域大国であり,そして日本と同じ海洋国家でもあります。この連携,法執行能力とかですね,法の支配というものを重視する日本として,どのように具体的に連携していくつもりでしょうか。

【河野外務大臣】海洋国家ということもありますので,離島の振興発展に日本として協力をすると同時に,海上法執行能力を強化する,能力向上のお手伝いをさせていただこうと思っています。また,2+2を今年日本で開催しようとしております,本来はインドネシアで開催することになるのですが,様々な条件を考えると日本で開催するほうが良いと判断し,日本で開催することで日程調整に入ります。また,ジャカルタとスラバヤ間が現在11時間掛かっていますが,これをなるべく短縮する鉄道の高速化のお手伝いあるいは,ティンバンの港の整備,スマトラの道路の整備,こうしたものの支援をしっかりやっていきたいと思っております。このようなことが,日本を始め,様々な世界からのインドネシアへの投資の促進につながるだろうと思っておりますし,またテロ対策,そして暴力的過激主義対策というところも,日本としっかり一緒にやっていこうということでございますので,日本としては引き続き,様々な形で支援を続けていきたいと思います。

【記者】今,大臣が仰った日・インドネシア2+2ですが,年内に日本国内で行う方向で調整ということでよろしいでしょうか。

【河野外務大臣】今年中に日本国内でということで調整に入ろうと思います。

【記者】北朝鮮情勢ですが,北朝鮮の非核化に向けて日本は,IAEAの査察費用を負担する考えを総理も大臣も示されていますが,それ意外にも,専門家の関与や,人的貢献のようなものの考えはあるか。

【河野外務大臣】恐らく,北朝鮮が本当に,真剣に,前向きに非核化というふうに,一歩踏み出していくということになりますと,恐らく相当な数の専門家が必要になってくるとおもいますので,日本として,日本の得意分野で人的貢献を含め,実施していきたいと思っております。朝鮮半島が非核化されることによって,多くの国が現状の危機的状況を脱することができるわけですから,そのような恩恵を受ける国が様々な形で貢献をしていくことは普通だろうと思っております。

【記者】人的貢献とは具体的にどのようなものでしょうか。どのような貢献をイメージされているのでしょうか。

【河野外務大臣】これから,どのような形で非核化を進めていくか,ポンペオ国務長官を中心に北朝鮮側と議論が行われていくことになりますので,詳細について今申し上げる段階ではございませんが,日本として貢献できる分野については,前向きに検討していきたいと思っております。

【記者】安倍総理は資金拠出,IAEAの費用負担などを巡って費用負担で国際的枠組みを設ける可能性があるというふうに言及されています。首脳会合の開催など具体的にどのように進めていくのか,お考えをお教えください。

【河野外務大臣】まだ,何も決まっておりません。まず,ポンペオ国務長官が中心となって,北朝鮮と今後の非核化,ミサイルあるいはその他の問題についての交渉がこれから始まることになりますから,まだ現時点で決まっていることはございませんが,緊張緩和で恩恵を被る国がその後,様々な議論をするということはごく普通のことではないかと思います。

【記者】明日,ASEANの事務総長とお会いになるかと思うので,ASEAN関係について伺いたいのですが,特に中国との関係でASEAN内でも南シナ海や経済協力を巡って,ASEAN内でも立場に差が出ているとは思うのですが,日本としてはそういった中で,ASEANとどう付き合っていくべきかお教えください。

【河野外務大臣】ASEANの一体性あるいは連結性といったものをしっかりと重視をしながら,このアジアにおける,パートナーとしてのASEANの役割は非常に大きくなってきていると思いますし,またインドネシアを中心にASEANが提唱しようとしているインド太平洋に関する構想と,日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」というのは,非常に親和性が高い,同じ方向を向いているものだと思いますので,そういった意味で,しっかりと協力できるところは大いにあると思っております。また,ASEANという地域性から,この自由で開かれた海洋,法の下の航行の自由,こうした基本的価値を日本とシェアするところが,多々ございますので,そうしたことは普遍的なものとして世界にむけてきちんとと発信を共にしていきたいと思っております。

【記者】もう一点,RCEPについてお話される予定はありますか。

【河野外務大臣】明日,事務総長と様々な意見交換をさせていただきたいと思っておりますが,当然RCEPもそうですし,あるいは日本とASEANの技術協力協定についてもそろそろ交渉をまとめていきたいというふうに思っております。また,今日本が批准をしようとしているTPPについてもですね,ASEAN諸国の中で,前向きに検討してくれている,さらに加えて,当初のTPP11の加盟国に加えて前向きに検討してくれている国がございますので,そうしたことについても,話し合いをしていきたいというふうに思います。

【記者】今日の大統領以下との会談の中で,TPP11についての話題というのは出たのでしょうか。

【河野外務大臣】今日は,日本とインドネシアのEPAについて,それから,RCEPについて,そして私からTPPについて,それぞれ話題にさせていただきました。

【記者】中国の海洋進出の現状について,どのように大統領,外相と話をされたのかと,今回支援しされるところはですね,インドネシアが見せしめの意味を込めて拿捕して爆破したりとかですね,わりと緊張関係の高いところを民間的な支援でやろうというところなんですが,現状どのように話し合われて,大臣どのようにお考えかお伺いできますか。

【河野外務大臣】自由で開かれた海洋,あるいは海洋法を中心とした法の支配,こういう国際的に当たり前に,スタンダードになっているものについては,やはり日本とASEANとで,共通に発信をしていく必要があろうかと思っております。また,南シナ海のCOC交渉については,日本もASEANをしっかりバックアップしてまいりたいというふうに考えております。

【記者】今後,沿岸警備能力の強化というのも懸案に入っていると思うのですが,今回洋上支援というのは今後どのような計画が具体的にあるかお伺いできますか。

【河野外務大臣】東南アジアの海域の中でも海賊対策というのが必要となっているという現状は,残念ながら顕在化しているかと思います。法執行能力を高めていくということは,そういう意味でも大切だと思いますし,テロリスト対策という意味でも,やはりそうしたことが求められているというふうに思っております。

【記者】インドネシアは,歴史的に北朝鮮と非常に関係が深いと思うのですけども,(インドネシア)大統領以下との会談の中で,拉致問題に対して我が国の方針を説明されて理解はいただいたのでしょうか。具体的にインドネシア側から北朝鮮に何か働きかけるような話はありましたでしょうか。

【河野外務大臣】拉致問題について,わたくしから詳細に説明させていただいて,先方のご理解をいただいたのではないかと思っております。詳細について,対外的に申し上げるのは差し控えたいと思います。

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