記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年6月23日(土曜日)16時45分 於:ブータン・ティンプー)

冒頭発言

【河野外務大臣】日本の閣僚として初めてブータンを訪問することができました。ブータンは伝統的に日本の友好国でありますし,地政学的にも大変重要な国でありますので,これを機会にさらに二国間関係を発展をしていきたいと思っております。ブータン,第11次の五カ年計画が近々終了し,第12次5カ年計画が始まります。ブータンの経済的社会的な発展を日本としてもしっかり支えて参りたいと思っております。今後も経済協力の促進,あるいは日本語教育に力を入れてくださっているので,それをバックアップし,また柔道場の建設といった交流の具体的な話を少しさせて頂きました。またブータンの人材育成をサポートするという観点から,無償資金協力で人材育成奨学計画の署名式を行いました。ブータンの優秀な若手の行政官僚を将来の国造り,あるいは日本との友好関係の強化ということでぜひ育てていくお手伝いをしていきたいと思います。北朝鮮問題,その他地域情勢についても意見交換をいたしました。北朝鮮情勢については,米朝首脳会談の結果,日米韓,あるいは日米外相会談で様々な議論をしたことなどをお伝えし,引き続き安保理決議にもとづいた経済制裁に関するご支援ご協力をお願いすると同時に,拉致問題についてもご理解を頂きました。国王陛下,それから第4代の先の国王陛下にも拝謁をさせて頂きまして,国王陛下あるいは王妃とは非常にプライベートな中で,かなり率直にいろんな話をさせて頂きました。また、先の国王陛下とは世界情勢に関する意見交換などをしながらお昼ご飯をやっていただきまして,本当に温かく王室にお迎えを頂きました。日本とブータン,これからもしっかりこの温かい関係をさらに発展させていきたいと思っております。

質疑応答

【記者】大臣からも冒頭お話ありましたが,日本の閣僚として初めてブータンを訪問されましたけども,率直なご感想をお願いします。

【河野外務大臣】ブータンは1964年に,まだ国交が樹立される前に,西岡さんという農業の専門家が派遣されてきて,そこから28年間最後ブータンでお亡くなりになりましたが,ブータンの国の人は,誰もがこの「ダショー西岡」と呼ばれている西岡さんのことをよくご存じというところから,両国の人間関係というのが着実にできていると思います。日本からも,多く皇室の皆様にご訪問いただいておりますし,今のブータン国王は,震災の後,福島にも足をお運びをいただきました。また,眞子内親王殿下がご訪問されたことは,多くのブータンの方が非常に良い思い出として語っていただいている,そういう,極めてハイレベルな皇室王室の人間関係もあり,もっともっとこの関係を強めていきたいという風に思っているところであります。様々,ブータンと協力をして,国連をはじめ,国際場裏でもしっかりと連携をしていきたいと思っておりますし,第12次の五カ年計画に,日本としてもしっかり支援していきたいと思っております。

【記者】今回の初訪問を受けてですね,日ブータン関係今後どうしていきたいというのは具体的にどんなものというのはあるのでしょうか。

【河野外務大臣】一つは,日本に今700人を超えるブータンの学生さんが来ていらっしゃいます。日本語の検定試験もブータンで始める用意を今着々と進めておりますので,そういう若い人間関係をですね,しっかりと作っていきたいと思っております。また,柔道場の建設,また,パラリンピックのコーチを日本に招聘をする,それから,私の地元の大磯町では今もう既に,陸上競技やアーチェリー3名のブータンのアスリートがオリンピックを目指してトレーニングをしている,というような状況もありますので,様々な人間関係をしっかりと育てていきたいと思っておりますし,やはり,実際に来てみて本当に良い国だなと,これは人間も,人間関係もそうですし,人間の温かさですとか親しみやすさ,あるいは自然環境,日本からも多くの人がこのブータンに足を運んでいただきたいと思っておりますし,西岡さんだけではなく,多くの青年海外協力隊の方が,このブータンの地で様々足跡を残してくれています。そうしたことも,是非若い日本の方に知っていただきたいというふうに思います。

【記者】一方で,日ブータン両国,双方に大使館がまだないのが現状なんですけども,その現状についてどのようにお考えかということと,かつては日本政府は予算要求したり,作ろうという機運もあったと思うんですけども,なかなか実現しない理由はなぜなのか教えてください。

【河野外務大臣】日本側としては,しっかりとブータン側と意見交換をしながら,お互い準備が整ったところで,両方同時にやるというようなことをやりたいと思いますので,今後とも総合的にいろんなことを意見交換しながら進めていきたいと思います。

【記者】若干話は変わりますが,ブータンと昨年,中国との国境付近でインドも絡んで緊張が高まる場面がありましたけども,今回の一連の会談で,そういった話題については話し合われたのかということと,法の支配などを重視する日本政府としては,中国が張り出してくるような現状についてどのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】さまざまな方と今回,地域情勢,国際情勢について意見交換をさせていただきました。ブータンというのは、もう民主主義,人権,法の支配というのがしっかりと定着しているところでありますから,さまざまな国際場裏でも日本とブータン,いろいろ協力ができるというふうに思っておりますので,外交的な関係もしっかり強めてまいりたいというふうに思っております。

【記者】本日,日本では沖縄の戦没者追悼式が営まれておりますが,そこに寄せるお言葉があればお願いしたいのと,例年,外務大臣は追悼式に出席されておりますけども,今回、出席を見送った,外交をしているからという部分もあると思いますが,出席を見送った理由を教えてください。

【河野外務大臣】今回は外交日程ということもありましたので,佐藤副大臣に代わりに沖縄の追悼式に出席をしていただきました。沖縄の地政学的な重要性ということもございますが,やはり,沖縄の県民の皆様には,本当に戦後,さまざまな負担をおかけをし,ご迷惑をかけているところでございますので,この現状が,このまま固定化されることは許されることではないというふうに思っております。外務省としてもさまざまな努力をしながら,まず米軍の運用が安全に行われるということ,そして,沖縄の負担軽減に向けてできるところは着々と進めてまいりたいというふうに思っております。北部訓練場の返還のような,大きな基地の返還と言うこともありましたので,これからも県民の皆様の負担軽減に向けてしっかりと努力をしてまいりたいと思います。

【記者】追加で,ドクラムの件ですけども,まさに法の支配が脅かされるような事案だったと思いますけども,今回のツアーでインドネシアとかでも合わせて,海洋の法の支配とかで日本は支援を表明することになると思いますけども,ブータンに対して法の支配のフロントを持っているブータンに対して,法の支配の面で支援していくという考えはあるのでしょうか。

【河野外務大臣】ブータン側からは,様々この12次5カ年計画の中で,要請があったことについては日本としてもできることは真摯にやってまいりたいというふうに思っているところでございます。現時点ではむしろ,病院とかですね,医療の提供,あるいは人材育成といった要請をいただいておりますので,要請の優先順位に基づいて,日本としてしっかり対応していきたいというふうに思います。

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