記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年6月14日(木曜日)14時17分 於:韓国・ソウル)
冒頭発言
本日(14日)10時45分から30分間,日米韓の外相会合を行いました。また,12時5分ぐらいから30分間,ポンペオ国務長官との間で日米外相会談を,12時50分から約1時間,康京和(カン・ギョンファ)外交部長官との間で日韓外相会談をそれぞれ行いました。北朝鮮情勢につきましては,電話会談に続いてポンペオ国務長官から日米韓,あるいは日米外相会合の中で,さまざまな詳細な説明がありましたが,その他少し突っ込んだやりとりをやらせていただきました。米朝首脳会合の実現に至ったトランプ大統領のリーダーシップ,それからポンペオ国務長官のハードワークに感謝を申し上げたところでございます。この米朝首脳会談の結果を北朝鮮による具体的な行動に繋げていく必要がやはりあるんだろうというふうに思いますので,そこは日米,日米韓,しっかり緊密に連携をしていきたいというふうに思っております。日米同盟,韓米同盟,このアジアの平和と安定を維持してきた,いわば要の公共財でございますから,これからもこの同盟関係はしっかりと発展をさせていきたいというふうに思っております。また,康京和長官とは,今年が日韓パートナーシップ宣言20周年ということもありまして,二国間少し未来志向で前向きにやっていこうというような確認をさせていただきました。また今日15時から文在寅大統領に表敬をするという予定になっております。
私からは以上です。
質疑応答
【記者】一連の会談の中で,北朝鮮の非核化に向けた具体的な期限など,今後の進め方について,どのような話があったのか,また,一致した点があったのか,お聞かせください。
【河野外務大臣】これからの状況について,かなり,いろんなやりとりをさせていただきました。ほぼすべての点で,日米一致をしていると申し上げてよろしいかと思います。
【記者】拉致問題について,日米韓,日韓,日米,でそれぞれどんなやりとりがあったのでしょうか。
【河野外務大臣】日本側は北朝鮮と,拉致問題を含む,様々な懸案事項を話し合う用意があるということを申し上げました。これまでも,日朝平壌宣言に基づいて,核,ミサイル,拉致問題を包括的に解決し,国交を正常化するということは,繰り返し申し上げてきたところでございますが,この拉致問題は,日朝が直接話し合いをする必要がございますので,日本としては,それに向けた様々な準備をしていく用意があります。
【記者】ちなみに,どの会談でそのやりとりが出てきたのか,具体的なやりとり,ちょっとでもお聞かせいただければ。
【河野外務大臣】日米韓,日米,日韓,それぞれ,多少の量的な多い少ないというのはありますが,いずれの会談でも,日朝関係,これからの日朝関係についての話は出ました。
【記者】それぞれ大臣からはどのようなことをおっしゃったのですか。
【河野外務大臣】さきほど申し上げたようなことです。
【記者】一番多かったのはどの会談で。
【河野外務大臣】どれでしょうね。日韓ですかね。
【記者】日韓ですか。わかりました。あと,日米と日韓なんですけど,拉致以外どのような話をされたのでしょうか。
【河野外務大臣】日米は,北朝鮮が中心ですが,そのほか,日米間を巡る様々な状況,その他中東の話ですとか,も若干させていただきました。
【記者】アメリカ側からは非核化の期限などについて同行記者団にしゃべっているような部分もあると思うんですが,そのようなお話っていうのは共有されたんでしょうか。
【河野外務大臣】これからのやりとりについては,いろんな話し合いがございましたが,手の内になってしまいますので外向けには差し控えたいと思います。
【記者】米朝が行われる以前にですね,拉致問題について,日本政府は米朝の結果を見て判断ということを繰り返されていたと思うんですけれども,今回,大臣いまお話になったように話し合う用意があるというご意向を伝えられたということですけれども,米朝があって,フェーズが変わったというか,日朝をやるという流れは,新たな段階に入ったというご認識なのでしょうか。
【河野外務大臣】米朝以前からも,日朝の間で様々なやりとりをして参りましたが,この米朝会談で,北朝鮮が非核化ということを明確にコミットしてきた,という意味では,新しいフェーズに入ったんだろうと思います。日朝平壌宣言で核,ミサイル,拉致問題というふうに申し上げて参りましたから,少なくとも,核とミサイルの観点から言えば,北朝鮮がこの二つの問題を国際社会との間で解決する方向へ一歩踏み出したと言ってよろしいんではないかと思いますので,そういう意味で,拉致問題もその一歩に遅れずに解決ができるようにしていきたい,という観点から,新しいフェーズに入ったと申し上げてよろしいかと思います。
【記者】拉致問題解決に向けて進むにあたって,日朝の首脳会談は,これは一番最後にくるものなのか,それとも交渉の段階でも実現し得るものなのか,それはどのようにお考えですか。
【河野外務大臣】それはこれから様々日朝のやりとりがあってからだというふうにと思います。
【記者】北朝鮮の完全な非核化に向けた具体的な行動というのは示されているとお考えですか。
【河野外務大臣】これから北朝鮮が様々具体的な行動をとっていくというふうに考えております。
【記者】今までは,対話に関して,具体的な行動が示されない限りは応じない,というスタンスだったと思うんですけれども,そこは論理の逆転は起こっていないんですか。安倍総理も,CVIDとか,北朝鮮の具体的な行動が示されない限りは対話に応じないと国会でも発言してきていますが,今,具体的な行動はこれから示されるとおっしゃいましたよね。順番が逆転しているのではないでしょうか。
【河野外務大臣】特にそうは思わないです。
【記者】IAEAの査察費用などの日本の費用負担については議論になりましたでしょうか。
【河野外務大臣】それはすでに,以前やっております。
【記者】具体的な金額についても話し合ったりは。
【河野外務大臣】ありません。
【記者】様々一致したっていうんですけれども,いわゆる,非核化に対しては,プロセスの話はしたということで。
【河野外務大臣】プロセスを含め,いろんな話をさせていただきました。
【記者】それでそれなりの進展はみられるというか,みられたという。
【河野外務大臣】進展があるかどうか,これから北朝鮮がそれに向けて具体的な行動をどうとるか,ということだと思いますんで,進展があることを期待したいと思います。
【記者】基本的にはアメリカが工程表を描くというかですね,プロセスのメインを描くっていうスタンスで,それに対して日・韓がどうコミットしていくかっていう感じでしょうか。
【河野外務大臣】アメリカが様々プロセスを描いて,それに日韓が協力していく,ということになろうかと思います。
【記者】ポンペオ長官がおっしゃる前に,大臣は前々から2020年をメドに非核化を,というようなお話をされていましたが,そういう点でも,今日は日米韓でほぼ一致しているという。
【河野外務大臣】プロセスの中身については,ちょっと対外的にまだ申し上げていいかどうか,というところあるかと思いますんで,それはちょっと差し控えたいと思います。
【記者】認識としては一致している。
【河野外務大臣】ほぼ,日米,いろんなやりとりを今日させていただきましたけども,ほぼ一致していると申し上げてよろしいかと思います。
【記者】今日の日米会談などでどのようなやりとりがあったかということをご紹介いただけないでしょうか。
【河野外務大臣】在韓米軍の撤退について,アメリカの中で具体的な計画その他は一切ないということでございます。韓米の軍事演習については,どういうものが対象になるか,その他については,これは韓国と米国との間でこれから調整が図られるということでございます。
【記者】ということは今日のポンペオ長官からそういった説明があったという理解でよろしいですか。
【河野外務大臣】今日の日米韓の中で理解を共有しているということです。
【記者】関連で演習の中止は,非核化のコミット次第だと大臣が仰っていましたけれども,そこも確認を3者の中で行ったということでしょうか。
【河野外務大臣】その通りです。
【記者】体制保証の話を今日,日米韓でされていたと思うのですけれども,共同声明の中で体制保証ということはありつつも,記者会見では現時点では保証されていないと,完全な非核化までだと,そこは融和的なムード,そうではないんだよということを指したというふうに受け取れるのですけれども,どういった。
【河野外務大臣】申し上げたとおりで,体制の保証というのは,CVIDに応じて与えられるものだということですから,現時点で体制の保証ということはないよということでそのとおり受け取っていただくしかないと思います。
【記者】中国が制裁緩和の検討の必要性について言及しているのですが,これについて大臣どのようにお考えですか。
【河野外務大臣】制裁は,これは安保理の決議に基づいているものですから,これは北朝鮮が安保理決議に応じた行動をとらない限り,各国は足並みを揃えるということで変わりは特にありません。
【記者】非核化の期限の話に戻るのですけれども,北朝鮮の完全な比較化にはやはり期限というのは設けるべきだとお考えですか。
【河野外務大臣】非核化が遅れれば,それだけ制裁が長続きするということだろうと思います。
【記者】期限を設けるならばやはり政権交代の可能性があるアメリカの大統領選までということになるのでしょうか。
【河野外務大臣】それは私(大臣)が以前そのように申し上げたことはあります。
【記者】それは2020年ということでしょうか。
【河野外務大臣】というふうに以前私が申し上げたことはあります。
【記者】今はそうはお考えになっていないのでしょうか。
【河野外務大臣】今は手の内はあかせないわけですから,以前私がそう申し上げたと繰り返し申し上げるしかありません。
【記者】今日の会談の中で,北朝鮮と話し合う用意があるというふうにお伝えになった先方の反応はそれぞれいかがだったでしょうか。大臣が北朝鮮と話し合う用意があるというふうにお伝えになって,ポンペオ長官と康京和長官からそれぞれどのような反応があったのでしょうか。
【河野外務大臣】それは米韓承知している話ですから,特に目新しい反応はありませんでした。
【記者】日韓外相会談の方で,歴史認識をめぐるやりというのはありましたか。
【河野外務大臣】今日は,主に北朝鮮の話,それから日韓パートナーシップ宣言の話でした。
【記者】日韓なのですけれども,拉致問題を一番多く話したのが日韓だと思いますが,北朝鮮と交渉していく上でも,橋渡しというかパイプを活用して後押ししてもらうことになったということでしょうか。
【河野外務大臣】日朝これまでも色々なルートでやっておりますので,それでしっかりやっていきたいと思います。