記者会見
河野外務大臣会見記録
(平成30年6月1日(金曜日)8時43分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)ワールドカップ・ロシア大会に向けた邦人安全対策
【河野外務大臣】ワールドカップの日本代表メンバーも発表されました。遠藤航君の活躍に期待したいと思いますが,外務省はロシアに観戦に行かれる方の安全対策,しっかりやりたいと思います。臨時の事務所も開設をいたしますし,ホームページ上に様々な安全対策に関する情報を載せてあります。サポーターの皆様は,是非それを参考にしていただきたいと思います。
(2)海外在留邦人数・進出日系企業数調査の公表
【河野外務大臣】外務省は海外在留邦人数,約135万人,進出日系企業数,75,500社を公表いたしました。それぞれ過去最多を更新しております。
(3)在外選挙「出国時申請」の開始
【河野外務大臣】今日6月1日から,在外選挙のための申請が転出時に市区町村で行うことができるようになります。これにより,在外公館での申請が不要となるなど,手続が簡略されることになりました。在外投票,非常に申請率,投票率低いものですから,手続の簡素化によって,在外投票やってくださる方の数が増えることを期待したいと思いますし,総務大臣とも来年の参議院選挙で,インターネット投票ができるように努力を続けているところでございます。
米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置
【記者】鉄鋼・アルミの輸入制限措置に関してお伺いしますが,新たにEU,メキシコ,カナダへの措置を取ることになりましたが,改めてその受け止めと,これまでも対抗措置の準備があるというふうに伝えていらっしゃるかと思うんですが,新たなステップに,日本として進める考えはあるか,また,各国との連携,どういうふうにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】日本としましては,このWTOをベースとする自由貿易というのが,これまで国際経済の繁栄を支えてきたと認識をしております。WTOのルールから逸脱するような輸入制限措置というのは,基本的に日本としては反対でございます。様々な国と少し情報交換をしながら,この問題にしっかりと当たってまいりたいと思います。
【記者】長期化の様相も見えなくもないのですが,これに関してはどういうふうにご覧になっていますか。
【河野外務大臣】これは様々な場面で,日米,情報交換をし,また必要な働きかけはアメリカに対してしっかりやってまいりたいと思います。
北朝鮮情勢(米朝首脳会談関連)
【記者】米朝首脳会談に関連してなんですが,ラヴロフ外相が北朝鮮で金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談して,その際の話として朝鮮国営通信が,非核化については段階的なものを望むというふうに伝えていますが,だとすると,これまでの主張と変わらないと,米朝に向けて,果たして影を落とすような発言じゃないかと思うんですが,どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
【河野外務大臣】北朝鮮のメディアは,これまでも様々なことを発信しておりましたが,今,米朝会談については,アメリカと北朝鮮の間で直接準備のための会談が行われていると思いますので,そうしたメディア一つ一つの報道に惑わされることなく,アメリカとしっかり情報交換をしながら,米朝会談,バックアップしていきたいと思います。
【記者】非核化に向けては進展があるというふうに感じておりますか。
【河野外務大臣】日米間,いろいろと米朝間のことについても情報のやり取りをしております。また,総理のトランプ大統領との様々な会談も事情が許せば予定をされておりますので,そうしたところでもいろんな議論が行われるのではないかと思います。
北朝鮮情勢(アメリカ研究機関の発表)
【記者】北朝鮮なんですけれども,アメリカの研究機関が北朝鮮の核再処理施設から煙が出ているという結果を発表していますけれども,事実関係と北朝鮮の狙いというか,どういう動きだと見ておられるかお願いします。
【河野外務大臣】そういう報道があったということは,承知しております。今,北朝鮮の動き一つ一つについて,その意図を申し上げる必要もないかなと思います。
イージスアショア導入計画
【記者】イージスアショアに関してなんですけれども,今日,防衛省が導入の地元に説明に行くということですけれども,イージスアショアの導入の前提が北朝鮮の脅威ということを上げていましたけれども,北朝鮮が今,各国と対話を進める中で,導入の前提が崩れているのじゃないかという指摘もありますけれども,これについてはどうお考えでしょうか。
【河野外務大臣】まだ北朝鮮は,米朝の用意はしているところですけれども,何も変わっていないというのが私(大臣)の認識です。
米太平洋軍の改称
【記者】米軍の太平洋軍が名称変更して,インド太平洋軍となりました。このインプリケーション,かなり大きなものですが,どういう受け止めでしょうか。
【河野外務大臣】米軍としては,その時々の情勢に合った軍の組織,編成というのをやっているのだろうと思います。
【記者】日本が掲げる,インド太平洋戦略と符合するところがあるかもしれませんが,その辺はいかがですか。
【河野外務大臣】日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」というのは,法の支配に基づいた海洋の自由を,沿岸国あるいは関係国,みんなで盛り立てていこうということで,特に軍事を使って何とかということではありません。
【記者】ただ,そのアリーナをですね,太平洋とインド洋を一体として扱うというところで見て・・・。
【河野外務大臣】太平洋とインド洋というのは,海でつながっておりますから,別に米軍や,「自由で開かれたインド太平洋戦略」だけでなく,様々な所で,インド洋,太平洋を一体として使っていることはあると思います。
日露関係
【記者】冒頭,ロシアワールドカップの話もありましたが,多くの日本人が行く予定だと思いますが,今回のワールドカップが日露関係の関係の進展とか,ひいては条約交渉に影響する,どのような期待をされているでしょうか。
【河野外務大臣】ラヴロフ外務大臣との会談の中でも,できれば決勝,日露でやりたいよね,というような話をいたしましたが,そのようなことになるかどうかは別として,多くの日本人のサポーターが行かれると思います。ロシアにおける日本年ということもありますので,是非,民間交流を活発にしていただいて,日露の間の人の友好関係というのをしっかり築いてきていただきたいと思います。
在釜山総領事館前の「労働者像」の撤去
【記者】昨日,韓国で徴用工像が釜山の総領事館前から撤去されました。その受け止めをお願いします。
【河野外務大臣】韓国政府の努力には敬意を表したいと思います。