記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年5月24日(木曜日)17時49分 於:メキシコ・メキシコシティ)

冒頭発言

 初めての中南米訪問の最後を締めくくる今日は,ビデガライ外務大臣と会談を致しました。ビデガライ外務大臣とは昨年9月の国連総会,それからブエノスアイレスのG20でお目にかかって三回目となります。会談では外交関係樹立130周年を迎えて基本的価値を共有する日本とメキシコが戦略的グローバルパートナーシップのもと,より一層関係を強化し連携していくことを確認致しました。特に,自由貿易の旗頭としてアジア太平洋地域において水準の高い貿易投資の枠組みを構築するためのTPP11を含め様々な連携をしてきている中で,参加国中一番乗りとなりましたメキシコのこのTPP11協定の承認を早期発効に弾みをつけるという意味から高く評価しているという旨,申し上げました。また,日本企業がグローバルな製造拠点として,メキシコに注目をしており,昨年の進出企業は1,182社に至っている,本当に密接な経済関係ができつつあるというふうに思います。大臣からはNAFTAの再交渉において日本企業の利益に配慮するというご発言もあり,私の方から感謝を申し上げました。その他,北朝鮮を含む国際情勢,あるいはベネズエラを筆頭とする地域情勢,あるいはAIなどを巡る問題について様々意見交換を致しました。今後メキシコと一層の連携をしていきたいというふうに思います。なお,トランプ大統領から金正恩委員長宛の書簡が発出されましたが,重要なことは米朝の首脳会談が開催されることそのものではなくて,この会談が核ミサイルそして,拉致問題が進展するそういう機会となることだと思います。引き続き日米,あるいは日米韓,連携をしてこの北朝鮮問題にしっかり当たって参りたいというふうに思います。私からは以上です。

質疑応答

【記者】北朝鮮問題,まさに米朝の首脳会談の関係でお伺いしますけれども,トランプ大統領として今回そういう判断をされたということに関して,率直にまずどういうふうに大臣として思われましたか。

【河野外務大臣】会談をやって成果が出ないでは意味がありませんし,会談をネタに北朝鮮が様々なゲームを仕掛けてくるということでは,会談自体の意味がないんだろうと思います。北朝鮮の非核化に向けて,あるいは拉致問題の解決に向けて,しっかりした首脳会談ができるように日米連携をしてまいりたいというふうに思います。

【記者】この間,北朝鮮側から非難であるとか,そういった言葉の応酬みたいなのもあったというのをアメリカ政府,ポンペオ長官,おっしゃってましたけれども,非核化ということに関して言えば,完全な非核化を求めているものの実現が遠のいたと,そういうふうにお感じになりますか。

【河野外務大臣】もともと米朝首脳会談の中で北朝鮮がどのようなことにコミットするかというのを注目しておりましたが,最近の情勢から見て,とてもそうしたことにつながらないという判断があったのではないかというふうに思います。しっかりとした準備をし,北朝鮮が現実の非核化にコミットできる,そういう情勢のもとで,首脳会談をしっかりと開催していただきたいというふうに思っておりますし,日本としても引き続き果たすべき役割を,日米連携する中で果たしていきたいというふうに思います。

【記者】そういう意味では今回の判断というのは多とするというか了とするというか。

【河野外務大臣】今後もしっかり日米連携してまいりたいというふうに思います。

【記者】拉致問題に関してですけれども,常々米朝の結果を見て,これは最終的に日朝の直接的な交渉によって解決するものとおっしゃってました。拉致問題に関しては今回のその判断の持つ影響というのはどうお考えですか。

【河野外務大臣】米朝会談が成果を生まないような会談であるならば,当然に拉致問題の成果につながらなかったんだろうと思います。しっかりとした会談ができるように,我々としても連携をしていきたいと思います。

【記者】別件になりますが,トランプ大統領が関税に関しまして,自動車,輸入車に対する関税を検討する方針でして,最大25パーセントということなんですけれども,そうした表明と,仮に発動されるのであれば影響というのはどのようにお考えですか。

【河野外務大臣】こうした貿易の問題はWTOの枠組みの中で解決されるべきものだというふうに思っております。茂木(経済再生担当大臣),ライトハイザー(米通商代表)の間で行われるFFRでも当然取り上げられる問題だろうというふうに思っておりますので,そうした会談を待ちたいと思います。

【記者】北朝鮮問題に関して,今後の日本の政策なんですけど,現在維持している最大限の圧力,これについてはどのように対応していくおつもりでしょうか。

【河野外務大臣】国際社会全体として,北朝鮮の非核化がきちんとできるまで,この最大限の圧力を続けるということでやってまいりましたので,国際社会全体の方針として変化があるとは思っておりません。

【記者】北朝鮮の関連で,北朝鮮を巡る融和のムードは,米朝会談の当面の決裂ということで,少し遠のいたと見られる中で,去年のように北朝鮮がまた日本も標的とするような形で,ミサイル発射したり核実験を行ったりするような,そういう懸念というのは今お持ちでしょうか。

【河野外務大臣】そもそも会談が行われるから融和ムードだということがおかしいわけで,北朝鮮がきちんと非核化をするというのが国際社会の目標でありますから,そうしたムードに流されることなく,やるべきことはきちんとやっていきたいというふうに思っております。北朝鮮が核実験を,実験場を本当に放棄したならば,核実験が繰り返されるということはないというふうに思っていますし,北朝鮮が真摯にこの問題に取り組もうとするならば,ミサイルを発射するということはないというふうに思っておりますので,北朝鮮の対応をしっかりと注視しながら,日本としてもきちんと万が一に備えた対応をできるようにしてまいりたいと思います。

【記者】安倍総理は国会の答弁などで,米朝会談後の拉致問題解決のための日朝会談の,首脳会談の必要性について言及されていたと思うのですが,米朝会談が行われない場合,やはり日朝会談の可能性というのも遠のくことになるというご認識でしょうか,大臣。

【河野外務大臣】次の米朝会談に向けて,日米でまずしっかり連携していくところから始めて行きたいというふうに思っております。

【記者】当然ですが,米朝首脳会談っていうのは,今回は取りやめというか中止という考えが示されましたが,当然これは行われるべきだというふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】北朝鮮の準備がしっかり整えば,当然に米朝首脳会談に出てくるだろうというふうに思っております。

【記者】昨日のポンペオ国務長官との会談では,6月12日に米朝首脳会談をやらないということは通告があったのでしょうか。

【河野外務大臣】日米の連携の中で,いつ何がどのように通告されたかというのは申し上げないようにしております。

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