記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年4月27日(金曜日)21時50分 於:成田空港)
冒頭発言
【河野外務大臣】本日文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「朝鮮半島の平和と繁栄,統一のための板門店宣言文」に署名の上,発出されました。大統領および委員長が北朝鮮の非核化などについて真剣に議論し,また金正恩委員長による北朝鮮の非核化に向けた意思を文書の上で確認したことは,北朝鮮をめぐる様々な懸案の包括的な解決に向けた前向きな動きと歓迎をしたいと思います。また今回の会談の実現に至るまでの韓国政府の努力に改めて敬意を表したいと思います。今回の会談の結果を受けて,また,きたる米朝首脳会談を通じ,北朝鮮がすべての大量破壊兵器およびあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な検証可能な,かつ不可逆的な方法による廃棄に向けて,具体的な行動をとることを我が国として強く期待をしたいと思います。また引き続き北朝鮮の動向について我が国として重大な関心を持って情報収集,分析を行って注視していきたいと思います。拉致,核・ミサイルの包括的な解決に向け,新たに就任したポンペオ国務長官ともしっかり連携して日米韓三か国の間で緊密に協力をしてまいりたいと思います。
質疑応答
【記者】完全な非核化を共同目標とするとありましたけれども,今回の南北首脳会談で北朝鮮の非核化は進んだというふうに大臣はお考えでしょうか。
【河野外務大臣】これまで対外的に言及をしていなかった北朝鮮がこうした一歩を踏み込んだというのは大きな前進と言っていいのではないかと思います。具体的には米朝の首脳会談の中で非核化については議論されるというふうに思いますが,北朝鮮が意思を表明をしたというのは,一歩前進ととらえてよろしいのではないかと思います。
【記者】拉致問題については宣言の中で触れられていません。どのように受け止めていらっしゃいますか。
【河野外務大臣】拉致問題に関しては,様々北朝鮮に日本の思いというのも伝わっておりますし,日朝平壌宣言に基づいて核・ミサイル,拉致問題を解決し,国交を正常化する,その基本方針に変わりはないということも伝わっておりますので,これから様々な動きがあるというふうに思っております。
【記者】今,北朝鮮の非核化というふうにおっしゃいましたけれども,今日の宣言ではですね,非核化の対象が朝鮮半島ということになっていますけれども,この違いといういうのはですね,在韓米軍との関係も含めてどのように受け止めていますか。
【河野外務大臣】もうこれは既に過去,韓国は核兵器を持っていないし,在韓米軍も核がないということは表明をしておりますので,北朝鮮の非核化というのが朝鮮半島の非核化につながるわけですから,そこはしっかり,そうつながるように日本としても注視していきたいと思います。
【記者】最大限の圧力をかけ続ける今までの政策は,これは変わる可能性があるのですか。
【河野外務大臣】変わりません。北朝鮮が具体的な行動をとるまでは,国際社会はきちんと経済制裁を維持し,最大限の圧力をかけ続けるということは,様々な場で確認をしてきておりますので,今日のこのことによってそれが変わることはありません。
【記者】拉致に関するやりとりは今日情報は入ってきていますか。
【河野外務大臣】韓国から様々情報を入手して分析をしていきたいと思っています。
【記者】記者会見のほうで金正恩委員長のほうから具体的に非核化という発言が自分の口からは出てこなかった点に関してはどのようにお感じになっていますか。
【河野外務大臣】様々見方はあると思いますが,今まで対外的に全く言及していなかったことに比べればここ最近の北朝鮮の動きは前に向かって進んでいるのではないかと思いますし,具体的な非核化についての議論は米朝の首脳会談で行われるものと認識しています。