記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年4月24日(火曜日)14時05分 於:スイス・ジュネーブ)
冒頭発言
【河野外務大臣】今日,NPT運用検討会議の第2回準備委員会に出席して,一般討論演説を行いました。
また,この機会に,中満国連軍縮担当上級代表,ブガイスキー準備委員会議長と有意義な会談を行った他,賢人会議の提言を紹介するサイドイベントに出席してごあいさつをさせていただきました。この後NPDIの各国の代表との意見交換と,それから,アゼベドWTO事務局長との会談も予定しております。
一般討論演説では,核軍縮をとりまく厳しい国際環境の中,軍縮と安全保障の両立を可能とするNPTの維持・強化が引き続き日本の取組の中心であることを強調いたしました。核軍縮の進め方をめぐる国際社会のアプローチの違いを橋渡しすべく,賢人会議をやりましたが,その取組として,透明性,あるいは検証,対話型討論などについての賢人会議の提言を紹介し,国際社会に具体的な行動を呼びかけました。北朝鮮の核・ミサイル開発は国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり,先週の北朝鮮による発表を,前向きな動きとして歓迎はしつつも,核武装した北朝鮮は決して受け入れられず,北朝鮮に対して,今回の発表以上の行動を求めていかなければならない,ということを呼びかけました。核実験の停止を確かなものとするように,北朝鮮のCTBTの署名・批准というものを求めました。また,北朝鮮によるすべての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの完全,検証可能,そして不可逆的な方法での廃棄を実現するために,国際社会は一致して北朝鮮に対して最大限の圧力を維持する必要性があることを訴えました。
中満国連軍縮代表とは,軍縮,北朝鮮問題,あるいはシリアの化学兵器,それからこの化学兵器が使われた後の調査メカニズムについて,率直な意見交換を行いました。
ブガイスキーNPT第2回準備委員会議長との会談では,日本政府代表団の同議長への最大限の支援を表明するとともに,賢人会議の提言について意見交換を行いました。
核兵器国と非核兵器国の双方が参加するNPTという枠組みを大切にしながら,NPDIの諸国とも協力して,2020年NPT運用検討会議に向けた国際社会の機運を高めるべく,さらに努力して参りたいと思います。私からは以上です。
質疑応答
【記者】ブガイスキー議長との会談ではですね,賢人会議の提言についてはどのような反応があったでしょうか。
【河野外務大臣】提言について,非常に有益だという反応をいただきました。議長の問題意識にかなり的確に提言が応えているという感じでした。
【記者】今回の大臣の演説の中ではですね,核兵器禁止条約にはあえて触れられてないようなんですが,これはどういったお考えからでしょうか。
【河野外務大臣】日本は核兵器禁止条約に署名をする考えはありませんが,様々なアプローチがあって良いんだろうというふうに思っております。いろんなアプローチの中で,やはりみんなの共通のゴールにたどり着く,そういう道筋を探していきたいと思います。
【記者】今回提言を携えての訪問になったと思うんですけれども,ブガイスキーさん以外にですね,提言についてどのような反応を得られているか,何かあればお願いします。
【河野外務大臣】PNNDのアラン・ウェアさんをはじめ,様々な方と会議場の中で意見交換をしましたが,非常にいい提言が出た,という認識を共有できていると思います。
【記者】被爆者の方と記念写真を撮られたりとか,またスピーチの中でも役割を高く評価されていましたが,改めて,被爆者のはたらきについてどうお考えですか。
【河野外務大臣】戦争の中で核兵器の被害を受けたのは日本だけですから,その実態というものを世界にきちんと知ってもらう必要があると思います。そういう意味で,これまでの被爆者の方々のコツコツとした努力というのは,大変高く評価されるべきものだというふうに思いますし,国際社会の中で,被爆者の皆様の行動というものに対する評価というのは非常に高いというふうに思っております。
【記者】北朝鮮の非核化について,大臣,おおまかな目安について報道で言及していたんではないかと思うんですけれども,時期的な非核化の目安,それについてお尋ねしたいんですけれども。
【河野外務大臣】北朝鮮はこのままなら体制の変更,政権交代というのはないわけですが,反対に,アメリカは2020年には大統領選挙というものがありますので,やはり,アメリカの今の体制の中で,きちんとゴールにたどり着く必要がある,様々,アメリカの中の政治体制が変わっていく中で,当初の目標,意気込みというものが薄れてしまってはなりませんので,アメリカの今のトランプ政権のうちに,しっかりとゴールにたどり着いてもらいたい,というふうに思います。
【記者】別件で恐縮なんですが,23日,アメリカでですね,上院外交委員会でポンペオさんが新国務長官として承認された,週内にも上院本会議で正式決定するという見通しになりましたが,そのことの受け止めと,大臣は早期の会談というのをする構えだと思われますけれども,その見通しについて,お話しください。
【河野外務大臣】カウンターパートが決まることは大変喜ばしいと思いますので,今週中にも,正式に承認されるという話を伺っております。米朝会談への準備ということもありますから,一刻も早く新しい国務長官が決まるということは歓迎をしたいと思いますし,新長官ともこれまでのティラソン長官と同様に,様々な意見交換をして,信頼関係をつくっていきたいと思います。
【記者】会談される時期とかっていうのはすでに見通しってあるんでしょうか。
【河野外務大臣】いや,まだ何も決まっておりませんが,なるべく早い時期にやりたいと思います。