記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年4月22日(日曜日)18時20分 於:カナダ・トロント)

冒頭発言

【河野外務大臣】G7のトロント外相会合が本日(22日)開幕をいたしました。私にとっては初めてのG7の外相会合でしたが,価値を共有するG7の外相と胸襟を開いた議論をすることができました。
 北朝鮮につきましては,G7の最優先課題のひとつとして,私がリードする形で議論を行いました。今般の北朝鮮による核実験及びICBM試験発射の停止,北部の核実験場の廃棄というのは,これまでと比べて一歩前進であって,前向きな動きとして歓迎をする,としつつも,核武装をした北朝鮮は決して認められないという点を申し上げ,ここについては,完全に一致をいたしました。核の放棄について,何もまだ言ってない,ということについては認識を共有したと思います。G7として,完全かつ不可逆的,そして検証可能な方法による,北朝鮮の生物化学兵器も含む大量破壊兵器,及びすべての射程のミサイルの廃棄を実現するということを目標とすることで一致をしております。また,北朝鮮に対して,非核化が行われるまで最大限の圧力を維持しなければならないということでも一致をいたしました。
 また,拉致問題につきまして,私から即時解決に向けて理解と協力を呼びかけ,賛同をいただきました。
 シリア情勢につきましては,困難な状況から如何に政治プロセスの進展につなげていくかにつき,活発な議論をおこないました。ジュネーブ・プロセスを通じた政治的な解決が唯一の選択肢であるということ,それから私から,ヨルダン,レバノンといった,シリアの難民を受け入れている周辺国を支援することが極めて重要だということ申し上げ,これらの点で認識の一致を見ました。
 最近のシリアやイギリスにおける化学兵器使用事案に議論が及んで,私からこの化学兵器使用に関する調査,あるいは使用者の特定の為の恒常的な国際メカニズムの必要性について指摘をし,そうした認識をある程度共有できたのではないかと思います。
 イランにつきましては,5月にもあり得る,制裁適用除外の継続に関するアメリカ政府の判断も踏まえて,核合意をめぐって各国の立場から意見交換が行われ,イランの核開発を防止する観点から,核合意の継続的かつ完全な履行が不可欠であるという意見が多数出されました。
 ミャンマー情勢に関しましては,各国から人権状況などについて厳しい見解が示されました。私からはラカイン州の状況改善のため,ミャンマー,バングラデシュ両国政府の取組を踏まえ,前向きな動きがみられることから,これをしっかりと後押しすべきであるということを指摘しつつ,これまでの日本の取組について説明をいたしました。
 この他,イスラエル・パレスチナ紛争,イラクなどの中東情勢に加えて,ウクライナ,ロシアといった地域情勢についても議論が行われました。この後,ワーキングディナー,また,明日,ということで議論が続いてまいりますが,アジアでただひとつのG7メンバーとして,積極的に議論に貢献をしていきたいと思います。私からは以上です。

質疑応答

【記者】北朝鮮問題について大臣の方がリードする形で進められたということですが,今回共有された認識等をですね,具体的な成果文書として何か出す形になるのかという点とですね,大臣からの呼びかけに対して,今回の北朝鮮の発表をですね,各国外相からどのような言及があったか,可能な範囲でお願いします。

【河野外務大臣】北朝鮮に関する認識はG7,完全に一致していると申し上げてよろしいと思います。文書については,今政治レベル,PDレベルでいろいろ調整しておりますので,これは最終的に近々出てくるというふうに思っております。北朝鮮に関して,認識はほぼ完全に一致していると申し上げてよろしいかと思います。

【記者】大臣,北朝鮮に関してですね,今度,南北の首脳会談,あるいは米朝首脳会談が行われますけども,その2つの首脳会談に絡めた,何かやりとりというのはあったのでしょうか。

【河野外務大臣】南北,米朝の会談で様々な進展があって,北朝鮮が本当に非核化に向けて行動をとるということに期待をするという声が多かったと思います。

【記者】大臣,すみません,イラン合意の話でですね,合意継続は不可欠だという意見が多数から出たとの紹介がありましたけども,全参加国からこのような意見が出されたわけではないということでしょうか。

【河野外務大臣】多くの声があったということです。

【記者】米国からはどのような意見が出たのでしょうか。

【河野外務大臣】個別のことは外には言わないことになってますので,差し控えます。

【記者】大臣,北朝鮮についてなんですけども,冒頭でも言及された先日の北朝鮮の発表を受けて,一部の国では制裁の緩和に言及するような国も出てましたけども,改めてそこから。

【河野外務大臣】全くありません。,/p>

【記者】北朝鮮の発表からさほど間を置かずに,このような確認をG7でできたことの意義について,改めてどういうふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】全く,制裁を解除するなどということは,当初からそもそもありません。

【記者】それから,明日ですね,アメリカのサリバン国務長官代行と会談されると思います。日米の関係では,首脳会談と,それから小野寺大臣とマティス国防長官と,それから大臣と,立て続けにですね,日米間で会談されると思うんですけども,このあたりの意義についてはどういうふうにお考えですか。

【河野外務大臣】日米間,総理が北朝鮮問題等については,すでにトランプ大統領とやっておりますので,そのほかカバーしなければいけないところをしっかりやっていきたいと思います。

【記者】大臣すみません,北朝鮮に対して圧力の強化ということで,具体的な方法をですね,例えば制裁逃れに対する対処の仕方とか,そこら辺の議論はいかがでしたでしょうか。

【河野外務大臣】瀬取りその他についての各国からの支援をお願いをいたしました。

【記者】各国からの反応というのは,概ね賛同を得られたということでしょうか。

【河野外務大臣】いろいろ検討されていると思いますんで。

【記者】北朝鮮の絡みで,生物化学兵器も含むといふうな御紹介がありました。化学兵器の関連で,例えばイラクですとか,国際的な拡散を防ぐ,そういった観点から,北朝鮮に対しては,どのような言及があったか,もう少し教えていただけますか。

【河野外務大臣】申し上げたとおり,すべての大量破壊兵器の完全かつ不可逆的そして検証可能な廃棄を求めるということで一致しています。

【記者】化学兵器の関連で,国際的メカニズムを提起されたということである程度共有できたという話しだったんですけど,大臣から構成メンバーとか安保理に設置するのかなど,具体的な構想は。

【河野外務大臣】まだ具体的な議論にはなっていません。

【記者】ある程度共有できたということですけども,その方向性で賛同を得られて,今後働きかけなどを強めていくと,そういう。

【河野外務大臣】そうしたことが必要だという意見もありましたので,少し,そういう議論をしていきたいと思います。

【記者】2点お聞きしたいのですけれども,イラン核合意については各国からアメリカに対して合意を離脱しないようにというふうに促す声があったのかどうか,という点と,それから,ロシアに対して制裁強化を求める声というのはあったんでしょうか。

【河野外務大臣】イランの核合意については,申し上げましたように,しっかりと履行していくことが必要だ,という声が多かった,というのが議論の中身です。ロシアについても,様々,厳しい意見はございましたが,北朝鮮問題を含め,ロシアの関与が必要な部分もある,ということを申し上げて,そういう認識も共有されたのではないかと思います。

【記者】ロシアに対しての制裁強化という方向性自体は,特段今回の会合では。

【河野外務大臣】特段ありませんでした。

【記者】シリアやイギリスの神経剤の関係でロシアに対する非難が強まっているところですけれども,そのあたりに対しては,今回は議論や何か合意というのはあったんでしょうか。

【河野外務大臣】先ほど申し上げましたように,使用者が特定できるような,国際的な,恒常的なメカニズムの必要があるのではないかということを私から申し上げまして,まあそうだなあという声が,いろいろありました。

【記者】北朝鮮の核実験の中止などの発表を受けて,今日の会合で,北朝鮮の非核化に向けた意思,コミットメントに対して,疑問視するような意見,声というのはなかったのでしょうか。

【河野外務大臣】一歩前進ではあるけども,核の放棄について言及してない,などから,完全な声明ではない,しかし,一歩前進ではあろう,という,そういう反応でした。

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